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あいはぐ  作者: おじぃ


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10,子供たち みんな揃って お引っ越し

「絵乃、ちょっと先の話だけど、お引越しする事になった。大丈夫、小学校を卒業するまでは引っ越さないから」


突然、お父さんからそんな話を聞いた。最初はそんなの信じられなかった。十二年間、私はずっとこの村で暮らしてきた。これからもずっと、この村で、この村の誰かと結婚して、子供を産んで、幸せに暮らしていくつもりだった。


「でも引っ越す事はみんなには内緒だよ? どうしても、内緒にしなきゃいけないんだ。そうじゃないと、大変な事になる。絵乃も、みんなも、とても辛い思いをしてしまうんだ」


急に引越しだとか、みんなに内緒だとか言われてもどうすればいいのか分からない。


翌日の日曜日、私は学校の飼育小屋に行って動物たちの世話をしていた。


「ブロイラー、私、引っ越すんだって。友達には内緒だって言われてるんだけど、君たちには秘密にしなくていいよね」


「コケッ、ケコッ… コケーッ!」


このニワトリ、バカそうに見えてもちゃんと返事するから凄い。つくづく感心。


ぴよぴよとヒヨコたちの声も響き、飼育小屋はうるさいくらい賑やかになった。


雄鶏のブロイラーと雌鳥のガーデンが同居を始めてから日は浅いが、ガーデンは子供を産んだ。ブロイラーが父親だとは考えにくいが、そこは敢えて触れないようにしている。飼育委員での暗黙の了解だった。


「絵乃ちゃん、引っ越すの?」


「えっ!?」


しゃがんで出来るだけブロイラーと目線を合わせながら会話をしている私の背後に、在る筈のない姿が…。


「な、なんでここにいるの? 今日は日曜日よ?」


出来るだけ平静を装う。


「僕も今日、飼育当番だから」


背後にいるアスタは、実はある筈のある姿だったようだ。私はなんて間抜けなのだろう。動物たちのお世話は基本的に二人作業なのに。


「それより引っ越すって、本当?」


お父さんから秘密にするように言われていた引っ越しを早速友達に知られてしまった。しかし秘密だからといって誤魔化すのは友達のアスタに悪い。


「ええ、本当よ。でもいつ引っ越すかも、引越先も分からないわ」


「そうなんだ。実は僕も来年、引っ越す事になったんだ。引越先は、近くの街らしい」


なんて奇遇だろう。もしかして小学校か中学校、もしくは両方とも廃校になってしまうのかしら?


◇◇◇


月曜日、遅刻ギリギリで教室に入ると、私を除いて五人しかいない全校生徒が集まってざわざわと話し合っていた。


「おはよう、みんな、どうしたの?」


「おはよう絵乃。なぁ、絵乃も引っ越すのか?」


「ええ、もしかして大介も引っ越すの?」


「ああ、っていうか、この六人全員」


「うそ!? なんで!? もしかして中学校が廃校になるの?」


「さぁな、大人は事情を知ってるんだろうが、ぜってぇ答えねぇだろ。だから今日これから、それを探ろうと思う」

それから私たちは六人で手分けして、用事を無理矢理作って職員室に出入りしたり、耳を澄ませながら校長室の前をゆっくり通過したり、村の子供たちが引っ越さなければならない理由を探ろうとした。けれどそう簡単に情報は入らなかった。


15時半、陽が少し陰り始めた放課後の教室で、私と大介は居残って真実を突き止める作戦を立てていた。


考えられるのは小中学校の廃校ともう一つ。後者は絶対に避けたい答えだった。


いくら考えてもそれ以上思いつかない。


行き詰まり、大介がバンッ、と両手の平を机に叩きつけた。


「よし、こうなったら美佐島先生に直接聞きにいくべ!」


「そうね、駄目元でやってみる? でも、どんな事実を突き付けられても、それと冷静に向き合う覚悟はあるの?」


「ああ、あるさ。でも事によってはみんな(下級生たち)には内緒だな」


「そうね。じゃあ、行きましょうか」


五年生の大介と六年生の私は、真相を突き止めるべく職員室へ勇み足で向かった。

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