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堕天使の策謀 前編

 雪菜はある魔法を実行後、即座に飯倉桃子、勇気と雪菜のクラス担任である彼女を追いかけた。

 飯倉桃子は学校の中に入っていく。

 廊下を進んだ彼女が入ったのは視聴覚室だ。

 パソコンなどの機材があるその部屋になんのようがあるのか。

 緊張に手汗を握って部屋を覗いた。

 中では信じられないことに例の的場良治らしき死体を床に置いて魔法陣を展開していた。

 何かの儀式を始めるつもりらしい。

 雪菜は嫌な予感がした。


「そこまでよ!」


 雪菜はもう、一か八かの賭けにおいて飯倉桃子という人間を演じている悪魔を相手にすることにした。

 しかし、勝ち目があるのかと言えばなかった。

 それでも、勇気の信頼を得るためにもこれはやらなくてはならない指名だと思った。


「あら? あなた久遠雪菜さん? どうしたのよ? こんな時間に学校内にいてはダメなのよ」

「とぼけないで。その足元にあるのはなに? 死体よね? それにこれは魔法陣。あなたの正体は割れてるのよ!」

「…………そっか、ばれてしまったの」


 急に空気が凍るかのように変っていく彼女の雰囲気。

 彼女から膨大な闇の風が吹き荒れる。

 次第に彼女の姿も変っていく。

 背中から蝙蝠のような黒い二つの翼を生やし、顔に不気味な赤い入れ墨が走り黒い肌へ。さらに赤い瞳に変貌する。

 そうして、最後に頭部から二つの角を生やし終えると彼女は獰猛な笑みを浮かべた。


「あーあ、もっと楽しみたかったのだけど残念」

「目的は堕天使の邪魔?」

「くくっ、あははは! 邪魔ぁ? うくふふっ、なにそれぇ?」


 あまりにも予想外の反応とその態度に雪菜は腹が立ち扉を殴り付けた。


「黙りなさい。答えなさいよ。私の邪魔をするためにこれだけで大事を起こしたの?」

「はぁー、正確には邪魔じゃないわぁ」

「なんですって?」

「堕天使なんか近づくで排除できるもの。私はそんな面倒なことはしない主義よ」

「じゃあ、なんであんな凄惨な事件を起こしたの!?」

「絶望を味わうため」

「え」


 意味がわからずにきょとんとしてしまう。

 絶望を味わう。

 その言葉が記憶の奥底から思い出した。

 悪魔がそれを意味するのは栄養。

 堕天使が人の悪意を栄養とするならば悪魔は栄養とするのは人の絶望の感情だ。


「私がずっと目をかけて育てていた子にねぇどこともしれない堕天使が突然とひっついて現れた。本当に嫌になってしまうわよねぇ。だからさぁ、今回は少し計画を変更して絶望をよりよくするためのシナリオを作っただけよ」

「つまり、私が現れたことでこの惨事を引き起こしたというのね?」

「ええ、そう堕天使の久遠雪菜さん。あなたが堕天使だってすぐ気付いたわよぉ。だって、臭いんだもの。すっごく堕天使臭くって嫌になったわぁ」

「っ!」

「本当に目をかけて育ててきたのにねぇ。とことん、絶望を与え続けて私の栄養分にしてきたあの子。このクズ男も使って彼の絶望を生みだすか手にまでしたわぁ。本当にいい餌。だけど、全部あなたが現れて台無し」


 すっと、飯倉桃子は語りながら指を突き刺した。

 頬に何かが掠めた。学外で爆発が起こる。


「あー、大丈夫よ。今のはわざと外したの。あなたはここで殺さないシナリオだから。だって、堕天使が絶望する味も私味わってみたいのよぉ」

「くっ!」

「本当に最高だったわぁ。わざと現場に証拠を残したりして警察に行くように仕向けさせた。だって、私は彼の性格を十分把握してるんだもの。小さい頃からずっと見てきたわけだしねぇ」

「小さい頃?」

「あら? 知らないの? 私はあの子の本当の両親を殺してるのよ。今の両親は義理なのよぉ」

「なっ!」


 雪菜は勇気から両親のことについては詳しくは知らされていなかった。

 この飯倉桃子と言う悪魔はずっと彼、黒野勇気に付きまとい彼を養分にし絶望を味わい続けていたのだ。

 彼がこれまで悲惨な人生を送ってきたのはすべては今目の前にいる悪魔が元凶だった。

 仕組んでいたのだ。


「黒野君の義理の父親を催眠状態にかけて虐待生活にかえたあの時期は実に美味な味わいだったわねぇ。そしたら、面白いことに姉弟依存! ちょっと癪でいじわるで姉を殺そうと思ったけどやめていいことを思いついたの! 何かわかる堕天使さん?」


 悦に入ってもうべらべらとしゃべる彼女に怒りすらわく。

 堕天使であるはずの雪菜はでも、自分がなんでこんなにも怒るのかわかっていなかった。

 無自覚で怒っている。


「さぁ、わかるはずない。あんたみたいな私以上のゲスな奴の考えなんて」

「じゃあ、教えてあげる。さらなる絶望を味わうためにもう一度彼をどん底に落とすのよ。そう、姉との間に出来た子供を幼いころに私が殺し、そして姉を目の前で殺すの! その時に彼が見せた絶望を味わう! さいっこうだと思わない?」


 まさに悪魔だった。

 そんなために彼女は黒野勇気を支え続けた黒野芽衣を殺すことをやめたという。

 彼女ならばいつだって黒野芽衣を殺せたはずだった。

 しかし、さらなる絶望を味わうための糧とするためにその行為を打ち止めした。


「もしかして、彼から悪意を取れなかったのはあなたの呪いが彼にはついてるからね?」

「うん? ああ、そういえばあなたも彼と契約をしたのねぇ。そうよぉ。二重契約ではそう言った阻害も起こるでしょうねぇ」


 黒野勇気から悪意という感情の漏えいが引き起こらなった。善意がなくならなかったのは悪魔の呪いが原因であった。

 つまり、彼には元々悪魔と契約した証のようなものが存在していた。

 その上にさらに堕天使の契約を行い障害としてそのような結果が生じた。

 契約の存在に気付かなかったのに心底、雪菜は恥じた。

 失態である。


「まぁ、そのおかげで私は気付いたのよぉ。あなたと言う堕天使が私のお目付に手を出したってねぇ。おかげであなたから絶望を味わうなんて言い計画を思いついちゃったぁ。まぁ、いろいろと見てこのクズを使っていろいろと起こさせてもらったわけぇ」


 的場良治の殺人事件それは堕天使の絶望を味わうため。

 さらに、あの現場に行ったのも彼女の計画のうちであった。

 そうして、勇気は捕まり雪菜を裏切り者扱いした経緯。それさえも、彼女の計算だったのだろう。


「勇気と私の仲を引き裂いたのもそのため?」

「それ以外になにがあるのぉ? あのときあなたが絶望したのは実にいい味だったわぁ。私の使い魔もよくやってくれたわぁ」

「使い魔はあの刑事ね」

「正解よぉ。この町から絶望を得るためには彼だけでは足りないからねぇ他にもいろんな人から得たわぁ。そのたびに死体は増えたけど隠す場所として警察の地下の留置場が一番良かったしねぇ。だけど、あなたに正体がばれたのは想定がいねぇ。現場の証拠を隠滅しに行った時にでも見てしまったのかしらぁ」

「ええ、まさかあなたが悪魔だったとはおもわなかったわ。それにそこまで最低な計画をもって動いてたこともね」

「悪魔にはほめ言葉よぉ」


 雪菜は右手に黒い光の槍を形作りそれを彼女へ向け投擲した。

 すっと、素早く彼女は避けいつの間にか雪菜の背後に回っていた。


「危ないじゃなぁい」

「っ!」


 裏拳が顔面に入り、雪菜は部屋の中を横転して吹き飛んだ。

 壁を瓦解し埋もれて血反吐する。

 そのまま、歩み寄った飯倉先生が雪菜の腹を踏みにじり痛めつけた。

 激痛に顔を歪ませて絶叫する。


「痛い? ねぇ痛い? あははは! いいわぁ! 絶望感があふれてるぅ!」

「うぐぐっ、ぅぁ!」


 渾身の力を込めて腕を振りあげて飯倉先生の頭部に光の玉を直撃させた。

 顔がほころんだ。

 しかし、それは束の間のほころびだった。

 煙が晴れて見せた頭部は無傷。

 飯倉先生は雪菜の頭部を掴み壁から引きずり出すと窓に叩きつけて外へ抛り捨てる。

 2階からの落下で背中から衝撃を受け雪菜は過呼吸状態へ。

 裏庭の芝生の上でのたうちまわりながら空を見上げれば飯倉先生が見下ろしていた。

 そして、膨大な闇色の炎を撃ち落とした。

 業火に焼かれ消滅していく雪菜。

 堕天使の黒い羽があたりに散っていく。

 ふと、飯倉先生は不審に思った。


「主!」


 そこへ飯倉先生の使い魔であり、的場良治を殺した真犯人である駆動捜査官が駆け付けた。

 飯倉先生は悦に入って語ってると見せかけて使い魔を呼んでいたのだ。



「遅いわよぉ。駆動、堕天使の亡きがらを確認なさぁい」

「えっと、この燃えてるやつで?」

「そうよぉ」


 駆動は上空からの主の指示を受けてすぐに眼前に燃えるものへ近づいた。

 そこで、駆動は信じられない者を目にした。


「主これ、魔物っす」

「何?」


 魔物。それは駆動と同じ存在だった。

 つまりは堕天使の使い魔だ。


「じゃあ、本人はどこぉ?」


 飯倉先生は考えた。

 そこで、ある推測が出てきた。


「駆動、まさかここに全警察官を来させてないわよねぇ?」

「街の警察官は全員来させましたっすよぉ。だって、爆発事故起きたッスし主に呼ばれたッスからねぇ」

「何してんのかしらぁ!  今すぐ署にもどりなさぁい! 逃げられるわぁ!」

「え」

「彼をどこかへ連れてかれたらおしまいよぉ!」


 

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