一線を越えるとき
咽び泣きつかれた勇気は茫然と天井を見つめていた。
「大丈夫ですか? 落ち着きました?」
この時ばかり、勇気の愛する姉はいつもの優しい姉に戻って勇気を気遣ってくれている。
背中をさすってその身体を抱きしめてくれる。姉のぬくもりが心地よく身体は眠気を求め始めた。
「眠いのですか? なら、眠ったらいいです」
「いいや、だめだよ。芽衣姉さん。眠ったら時間の無駄になる。今は一刻も早くココから出る作戦を考えないと」
「ユウくん、気持ちはわかりますけど出ることはできませんよ。周囲をもう一度よく見てください。死体だらけ。これは彼らが出られなくってここで死んでいったということですよ」
「芽衣姉さん! あきらめたらだめだ! 俺たちにはやることが――」
勇気はそこまで口走って、言葉が止まった。
もう、目的は達成させられたのだと先ほど知ったばかりであった。
「やることはもうないでしょう? なら、ココでともに生きていきましょう」
「な、何言ってんだよ! いくら目的が達成させられても俺は芽衣姉さんと外に出て平和な生活を送っていきたい!」
「っ! それは一種のプロポーズでしょうか?」
「あ」
後になって勇気は自分がとんでもない言葉を吐いたことに羞恥を抱いて顔を真っ赤に染め上げた。
「うふふっ、うれしいです。でも、どうやって出るんですか? 出られる道なんてないんですよ」
「姉さん!」
勇気は大好きな姉で恋人の手を握りしめる。
「そんなことはない! もっと前向きに考えないと。どうにか出れるはずだ。ここは地下の留置所に違いない。なら、かならず出口はあるはずだよ。ドラマとかでもあるだろ。脱出劇みたいなの」
「ユウくん、あれはフィクションであって実際に出来るわけないんですよ」
「やってみなくちゃ分からない」
勇気はさっそく細かなものを探した。
鍵穴に刺さりそうなくらいの細長いものを。
鍵穴にさしてピッキングするためである。
「これもダメだ、これも違う。くそっ!」
「ユウくん……」
哀れな弟の後姿を見つめていると芽衣の中に眠っていた欲望がふつふつとわきあがる。
今、この場で生き残っていくしかないというのならば、より子孫を残していく。
せめてものあらがい。生へのあらがいだ。
そっと勇気の首筋に手を伸ばし後ろから抱き締めた。
「姉さん?」
「ユウくん、ここで暮らすのはダメなのですか?」
「ダメに決まってる! どうやって暮らすんだよ! 食べ物もない水もない! こんな暗がりで生活なんてできるわけない」
「そんなことないです。食べ物ならあるじゃないですか。そこに」
姉の視線を追って勇気はぞっと背筋が凍りついた。
姉の視線の先にあるのはミイラ化した的場の友人二人の死体だ。
「じょ、冗談だよね芽衣姉さん?」
「冗談? あはは。この状況で冗談なんか言うと思いますか?」
勇気は今姉に背後を取られてる状況がさらなる怖気を感じさせる。
今、一歩でも動けば自分は姉に食われると思った。
指先さえ、動かせなくなり蛇に睨まれた蛙のような状態を味わう。
彼女の舌先が勇気の首筋を這う。だんだんと上に向かい耳の中をねぶるように舌がうごめいた。
その感触はまるで感じたこともないような快感だった。
おもわず、呼吸が荒くなっていく。それは、姉もだった。
「ね、姉さん?」
「ここでしよ、ね?」
首に回った手は徐々に勇気の下腹部に伸びていく。
姉と今までしたことなど一回もない。
いくら恋人だといっても姉弟だったからその一線を食い止めてきた。
一緒に寝たということはあったがその先はいつまでたってもなかった。キスは幾度かしたことはあった二人だったが今、ここで勇気は一線を越えようとしている自分の心に問いかけた。
本当にこれでいいのかと。
「んちゅ……ちゅっ……ちゅる」
濃厚で濃密な熱いキスが二人の間で交わされ、姉の手はついに勇気の大事な部分にズボン越しに触れた。そのままチャックをおろし始めた――
18禁版ではないのでここまででストップ。他作品ではそんなのお構いなしに入れていますがこの作品に関してはあくまで復讐劇メインですので申し訳ないですがエロシーンは抜きです。
要望があれば追加シナリオで書きます。要望は感想まで




