中節 尋問
○×警察署の尋問室にて黒野芽衣は事情聴取を受けていた。
朝方、学校へ来てすぐに警察関係者に取り囲まれて容疑者として確保された芽衣はそのまま警察者にまで連行されたのであった。
そのことで芽衣の心には不安が集う。
さきほどから繰り返し繰り返し彼らは同じ質問をしていた。
「的場良治君との関係は? 知り合いではなかったのかね?」
「だから何でも言ってます。彼とは面識はありません」
「でも、彼は君のことを凄く慕っていたようだよ。学内の君のファンクラブなるもの会員だとか。まぁ、その容姿だ。君を慕う生徒は多いだろうしファンクラブなんてあってもおかしくはない。だけど、その会員のメンバー3人が女のトラブルを起こした。その翌日にはその一人は死亡。しかも、家族までだ」
「私はファンクラブがあったこと事態知らなかったんですよ。それに、何度も言うように彼とは面識はないんです」
「へぇー、では、君の弟君が彼と親しい間柄にあったということも知らないのかね? いや、この場合親しいという表現は正しくないね。正確には犬猿の仲だったようだが」
芽衣はじっとこちらを見てくる駆動警察官の眼光にいすくめられて震えあがる。
下唇を噛んで泣くのをこらえた。
「そうそう、例の暴動の事件現場には君の指紋が出ていた。女というのはこれは明らかに君だ。そうまでしてなぜ嘘をつく? それは君が犯人だからだ。そうだろう」
「私は無実よ!」
「そうそう。事件の犯人はそうやって無実を主張するんだよ。どうせ、君は男たちをいいように弄んだ。そして、的場君の反逆にあって返り討ちにして家族もろとも殺した。そのあとに遺体を学園のグラウンドに移動させた」
「違います! だったら、弟に聞いてみてください! 私は昨日の夜からどこも出かけてはいません! 家にずっといたんですから!」
「ふーん。だからといって弟君が君を庇うことも考えられる。なにせ、君と彼には何かあると私は考えてる」
「っ!」
まるで、見抜いたかのような駆動の言い回しにぞっとする。しばらくして、芽衣は口を閉ざした。
「まぁ、いいさ。事件にはもう一人、いや二人か。関与者がいると私は考えてる。そうだねぇ、それが弟君ではないかねぇーっとね」
「ち、ちがう! ユウくんは優しい子なんです! そんなことしません!」
「へぇー、ずいぶんと彼のことになると熱くなるねぇ。君と彼は調べたところ義理の姉弟だ。何かあってもおかしくはない。それにお母様の件に関しても少々不思議なことも多くある。昨晩、パトロールしていた警察官が君たち家族が口論してるのを目撃してるんだ」
「っ!」
「さぁ、話せ。君なんだろ?」
「私はやっていない!」
頑固として無実を主張し続けた。
実際に芽衣は殺しはしてはいないが『暴動事件』の関与はしている。
しかし、それに関してはあくまで最初だけ。あそこまで可逆的な暴動に発展して言ったのはあくまで彼らの自己責任によるところである。
記憶操作でそうなったにしてもそうだと自分は悪くはないと思った。
「チッ、君はまだ学生だ。しかも、女性。それで少年院に入ればよりひどい目にあうぞ。それは嫌だろう? 真実を話せば今後の生活には融通を利かせる。さぁ、話すんだ」
「私は無実です」
「そうか。なら、いいさ。彼女を監房に入れておけ」
「え? 彼女はまだ未成年ですよ?」
「何をしでかすかわからん。監視付きで監房に入れればいいさ」
「わ、わかりました。では、一人看守をつけて監房に入れておきます」
そういって傍らにいた駆動の部下は芽衣を立たせあげて手錠をされた状態のまま彼女を連行して言った。
駆動は煙草を吸いながら手元の資料を見つめる。
例の3人による暴動事件の資料。それから、的場一家殺人事件の資料。
その二つの事件の写真を見て溜息をついた。
「いやな役回りをさせられてるぜ」
そう誰にも聞こえないように愚痴をこぼしたのだった。




