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42-2 突然のお客様

 さて、そろそろ卒園式の御時間だ。

 もうすぐエミリオ殿下がやってくる頃だろう。

 そしてスマホが鳴った。


「アルー、御迎えに来てー」

「今行きますよ~」


 ゲートを繋いで殿下御一行を迎えた。

 さっそくミニョンが飛びついていって殿下にじゃれる。

 どうやら殿下の事を「かわいい」と思っているようだ。


 彼は伝説のプリティドッグからも可愛いもの扱いなのか。

 エミリオ殿下も、当分姉達の着せ替え人形的存在からは抜け出せそうもないな。


 そして来賓席の一番前に陣取るプリティドッグ。

 犬って自己主張が激し過ぎないか?


 街の重鎮達もぞろぞろと姿を現した。

 商業ギルドの面々に冒険者ギルドの面子。

 アドロスの代官に、各ブロックの責任者達もいる。


 街の有力者達に、フードコートの責任者達、もちろんエリも当然来ている。

 アンドレ師匠が王都の冒険者ギルドとオルストン家を代表して来てくれた。

 バルドスの爺も一家で来てくれて、真理とにこやかに談笑している。


 俺もにこにこして、みんなを出迎えた。

 そんな頃、何か馬車がやってきたという。

 今日はアルスにも応援を頼んであり、来賓はほぼゲートで迎えているので馬車で来るような人はいないはずなのだが。

 はて?


 門まで出迎えに行ったら、馬車の側面に見た事の無い紋章を付けている。

 だが、何かケモミミのマークも付けているな。

 なんというか、ケモミミ園児の頭の形をシンプルなマークにしたような奴だ。


 いいな、アレ。

 うちの園にもああいう紋章が欲しいや。


「?」


 他の面子も同じように不思議そうな顔をしている。

 なんだろうな。


 その馬車はケモミミ園の中へ入ってきた。

 そして馬車の中からその人物は降りてきた。


「私はメルス大陸が獣人国、ケモミミハイム王国の大使でベルモットと申します。

 貴方がグランバースト公爵様であられますか?」


 あ、可愛い。

 このおじさん、タヌキだ。

 可愛いらしいという意味での。

 あのミミは是非とも撫でたいなあ。


 うちの国にもタヌキ大使はいるけどな。

 可愛くない方の意味での。

 あれから、あの如才のないマリウス伯爵は、本国へ帰ってきて出世したと風の噂に聞いた。


 ケモミミハイムか。

 ケモミミっていう言葉は武あたりが残したのか?


 それにしても、この人は先触れもなく突然に来たな。

 一応、俺は正規の公爵扱いをされているはずなのだが。


「そうですけど、またいきなりですね。

 というか、獣人国なんてあったんだ」


 獣人国ケモミミハイム王国か。

 なんて魅惑的で、もふもふな響きなのだろう。

 前回メルス大陸に行った時は時間が無くて、あまり回れなかったからなあ。

 今度、暇を見て絶対にケモミミハイム王国へ行ってこなくちゃ。


「ああ、その件なのですが、是非一度ここへ視察にと思っておったのです。

 年初からの行事が一段落したので、都合をアルバの王宮へ問い合わせたのです。

 そうしたら卒園式というものをやられるとの事でしたので、見学を申し込ませていただいたのです。

 王宮からは快く了承の御返事を頂きまして、こうして御邪魔させていただいたというわけです」


 いつからそんな事を王宮で決められるようになったのか。

 まあ王宮の奴らも、いきなりそんな申し入れをもらって困ったのだろう。

 さして問題になるような相手でもないので寄越したのか。

 エミリオ殿下もいるのに、変な相手だったら許可を出さないよな。


 まあ、この人のミミが可愛いから喜んで許す。


「そうですか。

 突然の御来訪なので何の御構いも出来ませんが、よろしければこちらの来賓席へどうぞ」


 俺は大使と、その護衛の騎士らしき人を来賓の席に案内した。

 レーダー画面で敵意の無い事は確認してある。


 いきなり予定に無い事になったのでアルバトロス王国騎士団が警戒していたが、Sランクのアルスをエミリオ殿下に付けたので収まった。

 空中庭園事件で大活躍したアルスは、今もなお王国騎士団から信頼が厚いという。

 アルス自身もエミリオ殿下の護衛をやっていた事があるようだ。

 だからエミリオ殿下も彼に懐いているみたいだし。


 ああ、やっぱりあのタヌキミミはいいなあ。

 なんとか触る口実はないものだろうか。

 さすがの俺も今日初めて出会った大人の獣人(男性)のミミを勝手に触るのは躊躇われる。

 うちの子じゃないんだからな。

 おまけに相手は要人なのだ。


 大使さんのミミに未練を残しつつ、俺は式典の準備に向かった。

 だが、ふっと気配を感じて、振り返ったらなんとミハエルが片手を上げていた。


 俺は目を丸くした。

 これはまた珍しい事があるもんだ。

 どういう風の吹き回しだろう。

 いつもと逆だな。


「よお、どうしたい。

 来賓として来てくれたのかい?」


「いや、ケモミミハイムの人は警戒心が強くて、なかなか会ってくれないからな。

 向こうから催しに来てくれる機会なんていうものは滅多にない。

 せっかくなので交流を持っておきたいと思ってね。

 帝国とのゴタゴタが片付いたのでメルス大陸に目を向けているのは、お前だけじゃないっていう事さ」


 へえ。

 相変わらず仕事熱心な事だ。

 こっちはメルスとの取引は、食い物目当てがメインなんだけどな。


 そしてケモミミ国にはきっと大勢いるのに違いない。

『可愛い、もふもふなケモミミの赤ちゃん達』が。

 その子達を写真に撮ってネットに投下してやったら、掲示板の奴らが悶え死ぬのに違いない。


 とりあえずは式典開始の準備だ。

 あの大使さんとは後でしっかりと親交を深めておこう。

 出来れば、あの可愛いタヌキミミへのタッチを通して。


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