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41-2 精霊の森の雛祭り

 レインのところへも行ってみた。

 そこには可愛い御雛様が飾ってあった。

 武がレインのために作ってくれたものらしい。


 御雛様というより、殆ど折り紙に近い代物だった。

 あの頃は、これが精一杯だったのかもしれない。


 レインは武とずっといられたわけではないのだ。

 この御雛様を大事に、それは大事にしていたらしい。

 よく見ると、それからもバルドスの魔力が感じられた。


 あの、おせっかい爺め。

 ここでも状態保存の魔法を厳重にかけていた。

 あの爺竜は本当に子供に甘いな。

 その点に関しては、俺もあまり人の事は言えんのだけれど。

 幼いレインに甘えられて顔が蕩けているドラゴンの顔が容易に脳裏に浮かぶわ。


 あの爺のドラゴン形態は結構ゴツイからな。

 典型的な中世ファンタジードラゴンと違って、なんかカッキンカッキンに装甲板をニョキニョキっと生やしているような感じだし。

 防御は固そうだ。

 一際メカっぽい訳ではないのだけれど。


 とりあえず、精霊の森にもファルの御雛様を飾っておいた。

 割と日本の家庭にあるような普通のサイズで。

 ファルも自分の御雛様が「実家」にあるのは嬉しいらしく、御雛様にいつもの「よしよし」をやっていた。


 ちなみに俺の部屋には、ミニョン用の御雛様がちゃんと飾ってある。


 それから爺のところへも顔を出した。

 ジェニーちゃんのところへも井上人形店謹製の御雛様を贈っておいたのだ。


 雛祭り用のおやつも無論届けてある。

 ちょびっとドラゴンハーフな雛祭りを楽しんでから帰る事にした。


 この子は爺から習って日本語の雛祭りの歌を上手に歌っていた。

 武がレインのために歌っていたものらしい。

 きっと日本の真理さんへの想いもあったのだろう。


 そういえば、三月三日は「ミミの日」でもあるんじゃないか。

 頑張ってミミをもふもふしよう。



 どうも、男の子には雛祭りというものは退屈な部類に入るらしい。

 御菓子は雛祭りの方が美味しいと思うのだが。

 端午の節句の方はがっつり系が多いし。


 奴らを野放しにしておくと絶対に碌な事にならない。

 というわけで、急遽雛祭りバトルトーナメントを開催する事にした。

 使用するのはレギュレーションに沿った仕様の小型ゴーレムだ。

 まあはっきり言えば、俺が作った「格闘専用の御雛様」だ。


 もう、本物の御雛様で荒っぽい事をされるくらいならば、格闘用の雛人形を作ってしまえというわけだ。

 それには、さすがに女の子達も呆れていたのだが、男の子達の雛人形に対する狼藉の抑止力にはなったようだ。


「お前ら、ちょっと待っとけな。

 それまで御菓子でも食っとれ」


 もちろん、それはパーツの組み換えが可能なタイプだ。

 この辺の、パーツの組み合わせ如何によって能力が大きく変わってくるようなスタイルがいいな。


 まあその辺は組み立てる各自のセンス次第っていう奴よ。

 パワータイプ・スピードタイプ・重量を武器にするものなどなど。


 パワーを重視すればフレームも重くなり、パワーユニットはレギュレーションによって決められているので、動きが鈍くなる。


 スピードタイプは捕まれば脆い。

 軽量のため、ハイパワーのパワーユニットは積めない。


 重量タイプも、防御は硬いし半端な攻撃は受け付けないが、何しろ重い。

 重くしすぎればパワーが全く足りなくなる。

 そういう訳で各タイプなりにバランスは大切なのだ。


 ルールとしては、転がして起き上がれなくする・完全に押さえ込む・バラバラにするなどで相手が戦闘続行不可能になったら勝ちという丼ルールだ。

 いかにバランスをとって、工夫でゲームを楽しめるかがポイントだ。

 なんたって、これは只の雛祭りの御遊びなんだからな。


 トーヤとエディの御稲荷コンビが、目をキラキラさせて作業中も齧り付きだ。

 ファルも、わくわくしてトーヤの背中にくっついている。


 二時間後、ついに諸々が完成した。

 これは、もはや雛プラとでも言った方がいいのか。

 だがプラモデルとは違い、各種パーツを選んで組んでいくスタイルなのだ。

 どっちかっていうと自作PC製作に近い雰囲気だ。


 あるいは格闘戦が可能なカスタマイズ組み立てラジコンロボットっていう感じか?

 まさに雛祭りに相応しい逸品だ!(どこが)


 どうせなので、あちこちから色々な面子を呼ぼう。


「よ~。

 ちっと面白いオモチャを作ったから、お前も来ねえ?」


 スマホでアルスに声をかけてみた。


「えー、本当?

 行くよー。

 今、こっちはエルフさんの御雛様姿が凄くてさ~」


 なんだとお。

 しまった、電話じゃなくて俺がそっちへ行くべきだったか。

 後で覗いてこようっと。


 いや、うっかりと見損なわないように先に見に行っておこう。

 早速エルフ新町へ向かう。


 これは素晴らしかった。

 妖艶な生き雛様のオンパレードだ。

 これはもう見学だけでお金が取れるレベルだな。

 園長先生の鼻の下も金メダル級に伸びた。


 あちこちを回って記念写真を撮りまくった。

 眼福、眼福。


 いけねえ、寄り道しすぎた~。

 まだ行くところがあるのだ。

 王宮へ向かったら、例によってエミリオ殿下が御雛様になっていた。

 うん、可愛いな。


「アルー、助けてー。

 母上達が酷いんだよー」


 俺は笑って御雛様王子を救出し、ワンコ雛を連れてきて代わりに置いていった。

 オヤツと専用の御雛様コスチューム(犬用)を置いていく。

 ミニョンはこっちの方がいいらしくて、大喜びで駆けてきた。


 もう王族の女性陣から、ちやほやされまくって有頂天だ。

 王女様方も満足この上ない。

 それにどうせ彼女達の母親がケモミミ園へやってくれば、ワンコを離さないのに決まっている。


 ミミの日だし、これもいいか。

 一応、ミニョンも女の子だしな。

 前にギルドで過去の文献を見せてもらったのだが、プリティドッグって大概こんな感じなものらしい。



 ルーバ爺さんと騎士団員を伴って、エミリオ殿下を連れてケモミミ園へ戻った。

 既にアルスも組み立てにかかっていた。


「どうだい? わかるかな」


「うん、今トーヤに教えてもらいながらやっていたところさ。

 部品がワンタッチで付けたり外したり出来るんだね」


「ははは。まあ楽しんでくれよ」

 

 トーヤが転移魔法でドワーフ達を連れてきていた。

 仮組みしたものを見せびらかしに行っていたらしい。

 それで彼らも押しかけて来たというわけだ。


 メインの筐体は各種作ってある。

 例によってドンガラなので、スピード勝負で作り上げた。

 魔石を利用したパワーユニットは内臓魔力で各部のパーツを動かしていく感じだ。


 外側からの魔力干渉は受け付けない仕様で、内蔵魔力が切れるとガス欠となる。

 そういう事なので、あまり負荷をかけ過ぎても燃料切れで負けが確定だ。


 腕時計型の指令装置で命令を出すと、それに応じて動くのだ。

 この辺は魔法と同じでイメージによって動かすが、指令は必ず言葉にしなければならないという制約がある。

 どうせ遊ぶなら、子供達が玩具と会話出来たら楽しいだろ?


 パワーユニットはシンプルに三タイプ用意した。

 それに、どのボディを組み合わせ、どんな動きをさせるかで勝負は決まる。

 しかもトーナメントだから相性によってはどうなるか。


 そのへんの工夫というかセンスというか、そういう物が必要だ。

 あと組合せ次第で勝負が転ぶようなところもあって、その辺は運にもよるし。


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