33-1 面倒な事は丸投げに
メリーヌ王女の結婚式でハイドへ行った時に見聞したら、結構いろんな物が流通していた。
今までも商業ギルドに頼んで色々な商品の取り寄せとかをやっていたのだが、個別に扱うと面倒くさい。
俺も専門の総合商社みたいな会社が欲しくなってきた。
もっぱら、俺の欲しい物を好きなだけ取り寄せてくれる感じの奴をだ。
ついでにアルバトロスその他で商売して、たっぷりと金も稼いでくれる感じで。
とりあえずは商会という事で、 アルフォンス商会というものを作ってみる事にした。
実際には、雇う人はアドロスの商業ギルドで管理してもらう。
無論、御給料はうちで払うという形で。
本当に今更感が半端無いけどね。
ついでにお金関係の整理もしておく。
いろんな報奨金や賠償金などで、かなり金を貰ったしなあ。
それに売却で、魔法金属に魔法金属の武器道具、上級ポーション、ミシンや布地にラッピング素材、そして調味料関係の収入などがある。
日本食の食材、便利魔道具、魔物素材、玩具の特に知育系の物などもかなり売ったし。
後は日本の道具類などをコピーして売った代金か。
使う方も結構派手だったのだが、収支は大幅に黒字のようだ。
手持ちは一枚一億円相当の白金貨換算で三千枚以上あった。
これが地球なら十分に大富豪で通るな。
アメリカの経済雑誌で世界長者番付に載るくらいの金は楽勝にある。
大陸外のマーケットが気になるな。
色々と良い物がありそうだ。
直接の取引はハイドの商会を代理店にするとしても、現地企業の視察や顔合わせはしておきたい。
向こうの商会も、誰も顔を知らないような信用出来ないかもしれない人間と取引はしたくはないだろうし。
幼稚園卒園式の準備や小学校開校準備も順調の一途だ。
少しくらいなら園を空けても大丈夫だろう。
そう思い、アドロスの商業ギルドへ顔を出す。
ロゴスが目聡く、俺を見つけて現れた。
「やあ、今日はどうしました」
「いやあ、今も色々と商売をしているわけなんだけれど、今度小学校も始まるからね。
どんどん忙しくなるし。
商売の窓口というか、商会みたいな物を作ろうかと思って。
そうすればハイドの商会なんかにも代理店契約をしてもらったりとか出来るから」
「そうですね。
その方が色々と御手を煩わせる事もなくて、よいのかもしれませんね」
ロゴスも思案顔でアイデアを巡らせてくれているようだ。
「ハイドを見てしまうと、あっちの品物も本格的に欲しくなるし、こちらの販路を増やす意味でも悪くはないし。
一回、隣の大陸へも行ってみたいしね」
それに一度行っておけば、あとは転移魔法でいつでも行けるしな。
「それでは人材を集めて商会を立ち上げておけばいいというわけですな」
「そうしておいてもらえれば助かるよ。
責任者には、能力よりも信頼できる人間かどうかを重視してくれるとありがたいな。
無論、それなりに能力も欲しいけど」
「わかりました。
それでは、こちらで色々と見繕っておきましょう。
つきましては、設立費用といたしまして白金貨五十枚ほどいただければ。
余った分は商会の準備金といたしましょう」
「了解。設立なんかの手数料はちゃんと取ってくれ。
じゃ、御願いね~」
お金を渡して俺は軽いノリで頼んだ。
本来、商会を立ち上げるだけならこんなに金は必要ないのだが、初期支度金として結構かかるだろう。
ハイド王国や、御隣の「ひよこ大陸」との貿易も考えると、それなりの資金は準備しておく必要がある。
ひよこ大陸は大陸自体がひよこのような形をしている。
なんていうか、御土産で有名なあの『ひよこ饅頭』みたいな形をしているのだ。
ちょっとあれが食べたくなってきてしまった。
商業ギルドから帰った後で頼んだら山本さんが出してくれた。
あの饅頭は昔から地方の和菓子屋さんでも作って売っているような気がするのだが、なんであれが東京名物なのだろう。
日本中どこでも鶏を飼っていたから雛なんて珍しくもないはずだ。
ちょっと田舎の川付近の和菓子屋さんへいくと、どこでも『鮎最中』なんかを売っているのと同じだ。
こいつは向こうの大陸の人への土産物にいいかもしれない。
こんな形をしているので、向こうでは受けるかもしれない。
あと何か変わったものがあれば持っていきたいのだが。
ミシンでもいいかな。
あれも販売にはミハエルの許可が要るけれども。
ま、作っているのは俺だしな。
ミシンなんて、この世界ではそう簡単に作って真似されてしまうような物ではない。
あのドワーフにだって作るのは厳しいんだから。
もしも作れる奴がいるというのなら、いっそ外注業者としてうちで雇うわ。
あとは、たこ焼き型や鯛焼き型も悪くない。
向こうは砂糖がよく出回っているだろうから、綿飴製造機でもいいかもしれん。
あとはそうだな。
エリのケーキでも手土産に持っていくか。
向こうの宗教がよくわからんのだが、ロスは世界中で崇められているらしいから、是非ファルも連れていこう。
時々忘れているが、この子は親元から預かっているだけで、正確にはケモミミ園の子じゃないんだよな。
何しろ卵から自分の魔力で育てているので、一番自分の子供のような錯覚があるけれども。
しっかりと刷り込みも入っているしなあ。
成長速度も他の子と全く違う謎生物だし。
まだ生まれて一年にもならないが、他の子には無理な難しい言葉も喋るだけは喋るし。
体もかなり大きくなった。
どんどん能力も高くなってきている。
やる事だけはいつもと変わらんのだけど。
この間は、あの謎の翼を広げて自力で大空を散歩していてびっくりした。
豪く楽しそうだったな。
鳥や飛行精霊をたくさん引き連れて大名行列していた。
多分レインも昔はああいう事をやっていたのだろう。
彼女も羽根があるし。
そういうところって人間でも親に似る。
武も俺みたいにびっくりしたのだろうか。
レミがついてきたそうな顔で見ていたが、御仕事の雰囲気を察したのか今日は我侭を言わなかった。
成長したのだろうか?
それは嬉しくもあり、また寂しくもある。
娘が無条件で『父親』にむしゃぶりついてくれる時間はとても短い。
レミとファルは完全に物心がつく前にケモミミ園へ来た子なので、この二人だけは俺の本当の子供のように接してきてくれる。
片一方は謎生物なので、レミにはなおさら後ろ髪を引かれるのだが、今日のところは仕方が無い。
他の子達は、大方の子はもうすでに野生児としての己を確立していたので、園長先生は『よそのおっさん』モードなのだ。
それくらい逞しくないと、ここアドロスでは生きていけなかった。
「おっさん、御世話になっているぜ!」的な雰囲気だ。
日頃は遠慮の一つもないけどね。
幸いにしてプイっと出ていってしまうような子は一人もいなかった。
せっかくの人生のチャンスは生かしてほしいな。
小さい子は、大方真理が拾い集めてきた子が多い。
みんな「副園長先生」が御母さんなのだ。
だからこの間、真理がピンチになっていた時は子供達が大パニックしていた。
母は(立場)強し。




