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絡みつく闇と共に歩く  作者: バージ
1/6

1章 記念館での声との出会い

愛原優真あいはらゆうま 

高校2年生 年齢:17 男 一般人

筋力:10 体力:11 速力:13 知性:13 精神:17

心:85 回避:26 ダメージボーナス:0 幸 運:85

H P:11 M P:17 非現実:0  Lv:0


[技能]

視覚95-15=80 武道[空手]71 蹴り85-15=70

etc


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


少年に特別は無い。

特殊な出生も、異彩を放つ家系樹も、過去の秘密も無い。

物語は唐突に始まり、それに気付くかも不確定だ。

過去が無い、のでは無い。

この物語こそが、過去の支点となるのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――




俺の名前は愛原優真。

関東に住むごく一般的な男子高校生。

善人です、あと非現実的な事態に出会っても受け入れます。

以上。


「ふぅーーー……」


そんな俺はぼんやりと明るい記念館の一室で一人、静かに深呼吸した。

周りには誰もおらず、目の前には空の刀掛台が鎮座している。


「それで、これからどうするのかしら?」


何も無い場所から、女性の興味深げな声が聞こえる。

その綺麗な声は、実際に周りに発されているのではなく、俺の頭の中に直接響いているらしい。


「とりあえず、刀を探す。それをここに戻すことが、多分目標の一つだと思う」


別に口に出さなくてもテレパシーよろしく会話できるのだが、俺はわざと声を出す。

その声は誰もいない、無音の記念館ではやけに大きく聞こえる。


どうして俺がこんな事態に陥ってしまったのか。

それはある日、友人から記念館のチケットをもらったところから始まったのではないだろうか。










「すまん、愛原。この埋め合わせは必ずするから」


そう言って電話を切ったのは、我が友人、新堀しんぼり紀秋のりあき

同級生であり、生徒会に所属している。

言動は軽いが、仁義に厚い、お人好しだ。

そんな奴が唐突に記念館のチケットを送ってきた上、何かキャンセルしてきた。

約束事にはうるさい彼がそれを気にしないわけもないので、電話越しだが本気で謝られた。

俺としては文句の一つも言いたいところだが、そこは普段の行いが出るというもの。

相手が良い奴だと知っているので、二言目、いや三回目だったか?には彼を許していた。


そんなわけで一人でやってきたのは、とある画家が住んでいたという記念館である。

時刻は午後零時半。

家からそれほど遠くもなかったそこは二階建てで、そこまで巨大な建築物ではない。

部屋の数も全部で十個に満たないだろう。

一階は入り口横に喫茶店兼お土産やさんがあり、まあ高速道路のパーキングにある店の小型版だと思えば間違ってない。

記念館に喫茶店とか大分謎だけどね。

人影もまばらで、むしろ少ない。

静かに見て回る分にはその方が良いだろう。

俺としては芸術にそれほど興味があるわけでもないので、適当に見て飯食って帰るつもりだ。

そんなわけで俺は土産をチラ見した後、パンフレットを手にとってさっさと絵を見に行った。


この画家は複数の絵でストーリーを作っており、この記念館にはそのうちの一シリーズが丸々飾られている。

確かシリーズ名は「悪魔屋敷における少年の冒険」だったか。

パンフレットを開き、間取り図を確認する。



一階   二階

123     6

45    87



建物には一階に五部屋、二階に三部屋、合計で八部屋ある。

正面にある1、2、3、の三部屋は入り口、売店、喫茶店とつながっている。

その裏には廊下を挟んで4と5の二部屋があり、展示室の様だ。

二階にも廊下があり、正面側に6の部屋、裏側に7と8の部屋がある。

7と8は部屋と部屋がつながっており、真ん中横一線の通路の奥に階段がある。

階段は3と5の間から6と7の間の通路に通じている。

展示室部分は全部で五部屋であり、俺はそれらを順番に回っていく。



4の部屋は、画材やら何やらが散乱している。

眺めていると、突然背筋が寒くなった。

ビクッとして後ろを見てみるが、そこに誰かがいると言うことは無い。


5の部屋には、森の中に入った少年がたたずむ屋敷に入っていく絵が飾られていた。

屋敷の中は暗くおどろおどろしい雰囲気に包まれている。

いくつも絵が飾られているわけだが、物語性があると楽しくて良いな。

階段を上がり、6の部屋へ。


6の部屋では哀れな幽霊を助けるために少年は米を探しに行く絵があった。

最終的に少年は幽霊から鍵を受け取っている。


7の部屋では女性からなぞなぞを出題され、少年がそれに答えているようだ。

それに正解し、女性が守っていた宝箱を、先ほどの鍵を使って開ける。

少年は輝く刀を手に入れた。

ちなみにその刀の元になったという刀も展示されているが、こちらはもちろん輝いてなどいない。


8の部屋。

少年は輝く刀を使い、悪魔を退治する。

そして屋敷から出て行くところでこのシリーズは終わりのようだ。


それぞれの部屋に複数の絵が飾ってあり、まるで絵本や紙芝居の様だ。

一通り見て回った俺は、多少興味を引かれた刀の前に立つ。

感想と言えば、芸術など分からない一般人のそれだろう。

「それなりにすごいのだろうけど、良く分からない」

それだけだ。

俺は肩をすくめて飯でも食うか、と刀の前を離れようとしたとき、目の前が真っ暗になった。










そんなわけで気がついたらこの暗い記念館にいたのだ。

数人はいた人影は全くなくなったいるし、周りも太陽が出ている正午とは思えないほど薄暗い。

壁に飾ってある絵も全て真っ黒になっており、それが絵であるとも思えない有様だ。

そもそも雰囲気が異常だ。

本能的にこの場所が、日常に生活している場所ではないとわかる。



愛原優真 心判定 0/1D3 85⇒20  成功



しかも追い打ちを掛けるように、何も無い場所から聞こえてくる声。


「こんにちは。ここはこの家に溜まった澱の中」


ゆっくりとした、そして聞き取りやすい女性の声。

驚いて周りを見てみるが、辺りは静まりかえっており、人影はない。


「こんな所に入り込むなんて、悪い子ね」



愛原優真 心判定 0/1D3 85⇒71  成功



分かった、聞き取っているのではない。

声を理解しているのだ。

俺はとり乱すことなく、その声に答える。


「好きで入ったわけじゃないから……事故だね」

「うふふ……冷静なのね」


女性?は楽しそうに笑った。


「それより、あなたはどちら様で?」

「あら、こういう時は自分から名乗るものなんじゃないかしら?」


そう言われてしまった。

名前を聞かれてそう答える人には初めて会ったな。


「名前は愛原優真。優しい真実で優真。お好きなようにお呼び下さい」

「良い名前ね。私のことは……そうね。アケヤ、と呼んでちょうだい」


アケヤ……漢字か?


「それで、あなたは何者なんで?」

「そうね、ちょっとした幽霊、みたいなものかしら」


幽霊かぁ。

そう思っていると、彼女が重要な話しを始める。


「思ったよりも冷静みたいだから、最初に重要なことを言っておくわね」


俺は黙って拝聴する。


「まず、私はあなたの行動に手出しはしないわ。見ているだけ」

「こういった事態に関する質問には答えないし、手助けもしない」

「私はあなたにつきまとって、たまに話しかけるだけよ」


とのこと。


「一切攻略には関わってこない会話するだけのキャラな訳ね」

「うふふ、そうよー」


女性はうれしそうな声で笑った。








そんなこんなで回想終わり!

俺は沈黙し刮目し、超常に挑む者、"探索者"の如きメンタリティとバイタリティでこの世界から脱出するのだ。


現状としては、まず8の部屋への扉が開かない。

鍵穴もないため何らかのギミックを解かなければ開かないと推測する。

単に後ろ側から抑えられてるとかは考えない。

まあ手詰まりになったらぶち破れないか試してみよう。


俺は外に出て、一階の5の部屋へ。

冷静なように見えて内心ではビビっている。

しかし、この超常的な事態にある程度ハイになっているため割と堂々としている。


5の部屋に行くと部屋の真ん中に、あまりにもそれらしい幽霊がいた。

半透明な体は足先に近づくほど薄くなっており、体はどこか青白い。

俺は部屋の外から様子をうかがっていたが、その幽霊が動かないので警戒しつつも中に入ってみる。

青ざめた表情をしたおじさんの幽霊は、部屋に入ってきた俺に話しかけてきた。


「青年…私は餓死した者だ。この場所に縛られ、動くこともできない。できれば、最後に何か食べたいのだ。もしよければ、何か食べ物を恵んでくれないだろうか」


おじさんはゆっくりとした声でそう言った。

その目は悲しそうで、俺の目には本気でこちらを頼っているように見える。

絵で見たストーリーにそっている様に思える。


「分かった、探してみるよ。ただ期待はしないでくれ」


そう言って俺は部屋を後にする。

向かう先は喫茶店、3の部屋だ。

無駄と分かりつつも道中で入り口のドアを押してみるが、ビクともしない。

それどころか外は視界ゼロと言っても良いほどの闇だ。


「無駄よ…ここに限らず、こういった事態、普通に出口から出られることなんてないわ」


何も無い場所から頭の中に声が聞こえる。

姿は見えないが、アケヤはしっかりと付いてきているらしい。


「まあ、知ってた」


やはり物理的にはでれないらしい。

ですよねー。


なので予定通り喫茶店に付き、俺は厨房に入る。

探すのは米だ。

施餓鬼米……と言うわけではないが、どうせならパンより米が良いだろう。



愛原優真 視覚 80⇒04  成功・クリティカル!



探し始めて数分もしない内に、商品であろう握り飯を見つけることができた。

俺はそれを四つほど盆に載せ、先ほどの部屋に戻る。


「平然と持っていくのね」


どこか呆れたような声で言う。


「現実には影響ないでしょ、多分」

「あなたは食べないのかしら?」

「まあ、黄泉戸喫ヨモツヘグイ…はないとは思うけど、念のため。切羽詰まるまでは止めとくよ」

「慎重なのね。良いことだと思うわ」


これって褒められたのか?

相手の顔も見えないし、良く分からないな。

そんなことを言いつつも部屋へと帰ってくる。

幽霊はこちらを見て顔をほころばせた。


「そこで見つけてきたものだけど、良ければどうぞ」

「ありがとう、本当にありがとう」


幽霊は俺からお盆を受け取ると、握り飯を一つ食べる。

そのまま体が薄くなっていき、幽霊の男性は消えてしまった。

さっきまで幽霊がいた場所には盆だけが残り、その上には鍵が乗っていた。

俺は鍵を拾い、この部屋を見渡す。



愛原優真 視覚 80⇒60  成功



しかし部屋には真っ黒になった絵が飾ってあるぐらいで、めぼしいものは見つけられない。

とりあえず俺はこの部屋の探索を止め、4の部屋へと移動する。

その部屋の中身は、現実世界で行ったときと変わらないように思える。



愛原優真 視覚 80⇒71  成功



乱雑な部屋を探していると、棚の中に丸められた紙が入れてある。

何も無い中に一つだけあったものであり、大きさは縦横50センチほど。

開いてみると、高いところから森を俯瞰したような絵だった。

黒く大きい屋敷が森の中に描かれているところを見ると、少年が迷い込んだ森のようだ。

とりあえず俺はそれをバックに丁寧に突っこみ、探索を再開する。


「次は二階へ向かうのかしら?」

「いや、一応喫茶店周りもざっと調べておきたい」


2と3の部屋に到着。

俺はやはりざっと見て回る。



愛原優真 視覚 80⇒82  失敗



が、何も見つけられなかった。

元々記念館とは関係無いと思われる施設だし、そんなものだろう。


俺は二階に上がり、6の部屋へ。

外から見ても特に何も無かったのだが、中に入ってみるとすーっと何も無い場所から人が出てくる。

そこそこの年齢の女性騎士……の、幽霊?だ。


「我が問いに答えよ」


そう言って紙をこちらに手渡してくる。

その紙にはこう書かれていた。



   ある弁護士が死に、遺言で奇妙なこと言い残した。

   11台の車を長男が全体の1/2、次男が1/4、三男が1/6で分ける。

   それぞれ何台ずつ車をもらえるか



なにやらずいぶん現代的なクイズだった。

とりあえず俺はちょっと考えてみる。


「これって……素直な答えで良いのかな?」

「良いんじゃないかしら?それ以上の意味は無いと思うわよ」

「……聞いておいて何だけどさ、助言はしないんじゃ?」

「あ」


アケヤは考えてなかったというような声を出す。

おーい、アケヤさん?


「まあ、細かいことは気にしないの。どうせそれほどひねくれた問題でもないのだし」

「……そう」


間違ったときにどうなるか分からないが、アケヤの言葉もあるし、俺は最初に思ったことを答えることにした。


「長男が6、次男が3、三男が2で11台。現実的に考えるとこうだと思うけど」


そう言って女騎士の幽霊を見上げる。

浮遊しているため、俺より顔の位置が高いのだ。


「正解だ」


幽霊はそう答えると、フッと姿を消す。

そうすると入れ替わるように、大きな宝箱が出現する。

俺は一階の幽霊からもらった鍵を使って宝箱を開けると、探していた刀が入っていた。

柄から抜いてみれば、刃は青色に淡く輝いている。

俺は一緒に入っていた紐、と言うか帯を腰の位置で回し、縛って刀を挿す。


それにしても真剣、それも輝く刀とかめっちゃテンション上がる。

まあ俺は空手部であって剣道部ではないから多分この刀の出番は無いけど。

一応俺はこの部屋も見て回ることにする。

見落としが怖いからね。



愛原優真 視覚 80⇒79  成功



やはり、見回してみても特に何も見つからない。

まあ、でっかいイベントこなしたし、この部屋はそれで終わりなんだろう。


そうこうして俺はこの世界?に来た部屋、7の部屋へと帰ってきた。

そういえばこの部屋をまだ詳しく探索していないことを思い出し、俺は今更探索を開始する。



愛原優真 視覚 80⇒20  成功



よくよく見てみると、展示物の中の一つ、壺の中に何か入っている。

慎重に中から取り出してみると、それは水色と白のリストバンドだった。

おそらく空と雲を表しているんだろう。


「これ、なんだろ?」

「そうね……これは、付けていれば少しだけ素早く行動できるわ」


何かアケヤさん、かなり助言くれてない?

そりゃ真実である保証はないけどさ。


「マジックアイテム的な物?デメリットはないの?」

「魔術的なアーティファクトね。とりあえずデメリットはなさそうよ」


俺は多少悩むが、結局リストバンドを左腕に着ける。


「あら、慎重なあなたなら、それは付けないかと思ったわ」

「人はとりあえず信じるタイプだから。疑わないわけじゃないんだけどさ」


何となく、これまでの会話で彼女は信じて良いんじゃないだろうかと思う。

いや、完全には信じてないけど。


「でも、付けてもメリットは多少速くなる程度。もし悪い物だった場合を考えれば、少し早計じゃないかしら?」

「……確かにね」


言われて見ればそうかもしれない。

俺は少し落ち着いて考え直してみる。


「少し、この異常な事態に興奮してたのもあるだろうけど…次回からは気をつけよう。それで、アケヤ…さん」

「あら、アケヤで良いわよ。それでどうしたのかしら?」

「では。アケヤ、あなたは俺を騙しますか?」


直球。

何がしたいかと言われれば、言質が欲しい。

嘘は言わない、とでも言ってくれれば、俺も気が楽になる。


「思ったより、あなたはまっすぐな人間なのね」

「単純でね……嫌いかな」

「いえ?私は良いと思うわよ。そうね、隠し事はするけれど、嘘は言わないことにするわ」

「ありがとう」


心がすっと軽くなった気がする。

俺は刀を腰から抜き、刀掛台に置く。

すると奥の部屋へと続く扉が、ガチャッと音を立てた。


「刀は持って行きなさい」


アケヤが声を掛けてくれる。

助言をしてくれることに俺は大分じーんとしながらも、もう一度刀を腰に差す。

これが罠だったとしても、盛大に文句は言うが恨みはしない。

俺は大きく深呼吸をし、奥へと続く扉に手を掛けた。









俺は扉を開け、おそらく決戦が起こるであろう部屋へと移動する。

広めの部屋にいたのは、身長3メートル弱の、灰色の肌を持つ大男だった。

その筋肉質で灰色の肌はまるで人間らしくなく、しかも禿げた頭には角が生えている。

まさしく非現実的な存在であり、おそろしい生物である。



愛原優真 心判定 1/1D3+1 85⇒56  成功

愛原優真 心 85 ー 1 = 84



鋭い目でこちらを睨み、鋭い牙をむき出しにして狂暴な唸り声を上げる。

その敵意に溢れた瞳を見て、俺もわざと口元に笑みを浮かべる。

戦闘の開始だ!



愛原/怪物 俊敏対抗 50⇒51  失敗



俺達は同時に走り出す。

しかし、リーチのためか、俺の恐れのためか。

相手の攻撃の方が速い。

怪物は大きく振りかぶり、その拳を振るう。



怪物 拳 ??⇒35  成功

愛原 武道受け流し 71⇒52  成功



怪物の拳は強大な威力を秘めているだろうが、その攻撃は大ぶりだ。

俺は内側から弾くように受け流し、そのまま蹴りを放つ。



愛原 武道・蹴り 70⇒46  成功

怪物 回避 ??⇒62  失敗

ダメージ6



俺のあいさつ変わりの蹴りはしっかりと命中するが、その筋肉の鎧はかなり頑丈だ。

相手は体の大きさや角などは人と違うが、形は人型だし、関節なども人と同じように思える。

相手の体から弾かれるような勢いを利用して体を動かし、追撃を掛ける。



愛原 武道・蹴り 70⇒42  成功

ダメージ8



追撃の蹴りはそれなりに良く決まった。



怪物 拳 ??⇒99  失敗・ファンブル

ファンブル効果:次の自分の手番終了時まで、全防御行動半減かつ装甲半減



怪物は懐深くにいる俺を攻撃するため、無理なパンチを放ってくる。

チャンス!

俺は軽く足払いを掛けると、怪物は見事に前のめりになった。



愛原 武道・蹴り 70⇒02  成功・クリティカル

クリティカル効果:このターン自分の攻撃時、相手の全防御行動半減かつ装甲半減

怪物 回避不可

ダメージ12

愛原 武道・蹴り 70⇒92  失敗



俺の渾身のかかと落としが、這いつくばった怪物の後頭部に激突する。

衝撃で怪物は頭から床に叩きつけられ、悲痛の声を上げる。

かなり効いている、あと少しだろう。



愛原/怪物 俊敏対抗 50⇒79  失敗



怪物は素早く起き上がると咆哮を上げる。

その凶悪な牙のせいで、おそろしい形相だ。

しかしおそろしいのはその形相だけではない。

筋肉が動き出し、盛り上がっているのだ。

大分、いやそれなりに、今の一瞬で体が膨張する。

筋肉だるまが更に大きくなってしまった。

ただでさえ高い筋力と体重が更に増え、いよいよパンチにあたるわけにはいかなくなってきた。

俺も恐ろしさを感じると共に、戦闘の昂揚に身を任せ、歯をむき出しにして笑う。



愛原 武道・蹴り 70⇒69  成功

怪物 回避 ??⇒48  失敗

ダメージ8

愛原 武道・蹴り 70⇒25  成功

ダメージ9



俺の跳び蹴りが、動きを止めていた怪物の頭にめり込む。

確かな手応え。

怪物から力が抜けたような感覚がする。

倒したか…?

そう思ったがしかし、怪物はまだ倒れなかった。

すぐにその敵意を取り戻し、先ほどまでとは比べものにならないほどの拳を振るう。



怪物 拳 ??⇒72  失敗



怪物の拳が自分のすぐ横を素通りする。

それだけで俺は、その拳にかなりの威力があることを察知する。

俺の蹴りを軽く上回る威力であり、くらったら最悪一撃死もあり得る。



愛原 武道・蹴り 70⇒06  成功

怪物 回避放棄

ダメージ10



!?

こいつ、回避しなかったぞ!?

そしてその手応えもおかしい、俺の蹴りは確かに怪物に命中したものの、ダメージを与えたという手応えがない。

これは…?



愛原/怪物 俊敏対抗 50⇒17  成功



そこで俺は思い出す。

元々のストーリーでは少年は刀を使って怪物を退治していたはずだ。

そう思い出し、俺は刀を抜き放って切りつける。



愛原 青く輝く刀 15 + 50 = 65⇒59  成功



刀は、初心者である俺が振るったとは思えないほどに綺麗に動いた。

怪物は避けることもしなかった。

輝く刀に切りつけられた怪物は悲鳴をあげ、そのまま煙になって消え去った。

それを見届けた直後、目を瞑った様に周りが真っ暗になった。









気がつけば、そこは記念館の中。

その建物に薄暗さも薄気味悪さもなく、窓の外は太陽に照らされて明るい。

腰を見てみれば挿していた刀も帯もなくなっている。

帰ってきた?

窓から下を見下ろし、いつも通りに人々が歩いているのを見て、ようやくそれを信じる。

俺はその場に座り込み、大きく息を吐いた。


「生還、おめでとう」


俺のちょっとした命がけの冒険を、姿の無い声だけが祝福してくれた。






「記念館と少年の追憶」クリア:True End

・生還

愛原優真



報酬


・技能成長

視覚     成功・クリティカル  95

武道     成功・クリティカル  71 + 8 = 79

蹴り     成功・クリティカル  85 + 3 = 88



・非現実上昇

非現実 0 + 24 = 24

愛原 Lv0 → Lv2



・心回復 2D3 = 2

愛原 心:84 + 2 = 86



・獲得

「空のリストバンド」

「神器・霊光桜」

「絵画・怪物屋敷」


試験的に投稿してみました。

今まで書いたことなど一度も無いTRPG小説です。

試行錯誤しながらの投稿になると思います、というかなってます。

そして主人公が愛原ですが他作品とは直接関係ありません。


第一章はプロローグ扱いです。

今回は愛原君が軽いノリで攻略しましたが、次回は四人で立ち向かいます(ノリが重いとは言っていない)。

とはいえ愛原ソロプレイはこれからもあります。

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