不純な軍人
お久しぶりです。2話です
アレイオスにて見送られたのがもう3ヶ月も前の話だった。
少尉として上官にこき使われたが、二人の姉に比べればどうってことはない。
もともと才能があったのか、養成所で訓練を受けていないにも関わらず、めきめきと頭角を表してきていた。
そして才能の有無の他に、もうひとつ理由があった。
「おやアリシアちゃん」
「アリシアちゃんと呼ばないで下さい。アヴリル大佐」
基地アレイオスの地下25階。シミュレーションルームがある訓練施設だが、そこの廊下を歩いていると、兄ルーカスの直属の上官、アヴリル・ムーア大佐にみつかってしまった。
アリシアside
思わず頬がひきつる。
いやいや、上官だし、丁寧に対応しないと。
「シミュレーションルームに何か?」
「いや。アリシアちゃんと遊ぼうかと思って」
「すいません自分もう訓練は終わったんで。失礼しま「させませんー。僕が暇だから」……ちっ」
Uターンして早く自室に戻ろうとすると腕を捕まれてしまった。爽やかに笑うこの人に殺意が沸く。
アヴリル大佐に会ったのは軍に入ってすぐだった。今日と同じように、シミュレーションルームのあるこの廊下でこの人に捕まったんだ。
まず軍に入ったらグリーンラインと呼ばれる一番下の階級になり、ランクDからEの任務をこなし、そしてテスト任務に合格すると、その上のブルーラインになる。そしてまた任務→テスト任務→合格するとレッドライン。最上位はホワイトラインである。
そのような仕組みだった。
まだおれはグリーンラインなのにも関わらず、ホワイトラインがやる任務に当たらされる。
このひとが一緒じゃなかったら完璧死んでた。
遊ぼうかと思って。
これはアヴリル大佐が、おれにとっては、すごおおおく自殺行為な任務におれを誘うときの通例文句だった。
「いやです」
「拒否権はない」
にっこり。
やばい、今日は死ぬかもしれない。二階級特進かもしれない。