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第一章 3話 続・夜の公園



「……エリカちゃん……」


安祐美は、言葉を失ったまま立ち尽くしていた。


目の前の少女は――別人だった。


病室で見ていた、あの細く弱々しい身体はどこにもない。


今そこに立っているのは、健康的で、しっかりと地に足をつけた“普通の少女”。


いや――それ以上に、どこか洗練された存在にすら見えた。


黒い夜気が、その身体の周囲で静かに揺らめいている。


まるで、夜そのものが彼女を包み込んでいるみたいだった。


「……どうなってるの……それ……」


震える声。


エリカは、自分の手を軽く見つめた。


「……私ね」


静かに口を開く。


「夜だけ、動けるみたい」


「……は?」


「で、朝になったら戻るの」


「元の……動けない私に」


「ちょっと待って」


安祐美は、頭を抱えた。


「情報量が多いのよ……」


「ごめん」


エリカは少しだけ笑う。


だが、その表情がわずかに引き締まった。


「でもね」


「私っ、やらなきゃいけないことがあるの」


「……何を?」


一瞬の沈黙。


「この世界、変でしょ?」


「……うん」


「夜になると、人じゃないものが動き出す」


安祐美の背筋に、冷たいものが走る。


「そして、それを――利用してる人がいるの」


「……え?」


「私の、知ってる人……」


「ちょっと待って!!」


安祐美は思わず叫んだ。


「スケールがおかしいって!!」


「アンデッドだけでも限界なのに!!」


エリカは小さく笑った。


「大丈夫」


「ひとりでやるわけじゃないから」


「そういう問題じゃない!!」


安祐美は深く息を吐いた。


「……ひとつだけいい?」


「うん?」


「どうやってここに来れたの?……私のいる場所に?」


エリカは少しだけ首をかしげる。


「……声が聞こえた」


「“誰か助けて〜!”って」


「あっ……私っ、言った……」


「その時に、場所が浮かんで……」


「そのまま来れた!」


「……来れたって何」


「多分、転移?」


「軽く言わないで!!」


その瞬間――


『それは簡単さ』


空気が、変わった。


「……っ!」


安祐美が振り向く。


「今の……誰?」


エリカは少しだけ空を見上げた。


「あ、出てきた」


夜の空気が、ゆっくりと揺らぐ。


黒い霧のようなものが、エリカの周りへ集まり始めた。


『失礼』


落ち着いた声が、静かに響く。


『そのお嬢さんが、混乱しているようだったからね』


「……なに? バカにしてる?」


『心外だな』


わずかに笑う気配。


『私の名はセレグ』


『セレグ・ロシナンテ』


「えっ……だれ?」


『人ではない』


「もっと、ダメじゃん!!」


安祐美が叫ぶ。


『私は、少し手伝っただけだ』


「手伝った?」


『キミの中の力を、ちょっと引き出した』


「いや、意味わかんないし!!」


「説明に、なってないから!!」


エリカは小さく頷いた。


「……でも、なんとなく分かる」


「これ、自分だけの力じゃないんだ……」


『正しい』


「会話成立してるのが、一番怖いんだけど?!」


その時だった。


ドン……


「……え?」


地面が、わずかに揺れた。


ドン……ドン……


重い音が、闇の奥から近づいてくる。


空気が、一気に重くなる。


公園の街灯が、バチ……と不気味に瞬いた。


「なに……?」


安祐美の声が震える。


闇の奥から響いてくる足音は、明らかに人間のものではなかった。


セレグの気配が、変わる。


『……来るか』


先ほどまでの軽さは、完全に消えていた。


「……ねぇ」


安祐美が引きつった声で言う。


「これ……さっきのよりヤバいヤツよね?」


エリカの表情が、静かに変わる。


「……うん」


その瞬間――


闇の奥で、巨大な影が動いた。


そして。


赤黒い巨大な瞳が、ゆっくりと開いた。





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― 新着の感想 ―
なんか設定も いいし 地の文も読みやすい。けれどすごく読みにくいです。 作者様の頭の中の物語を十分にoutputできてない感じです。 作者さまには100%わかっていて ここは こんな場面 って書いてる…
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