開戦
「……では、僕たちはモンスターの住処へと向かいます、村の人達は念の為に村の中央広場でひとかたまりになって厳重警戒していて下さい。安心してください、この勇者レイスと彼のS級冒険者ふたりでかかれば万が一にもモンスターを取り逃す事なんてありません!」
依頼の村に着くと、早速村長の家で作戦会議が開かれた。勇者がテキパキと作戦を立てて指示を出す。俺は最後に「…俺も異議はない」と一言言っただけでスムーズに会議は終わった。
初めは2人しか来なかったことに不安げだった村長たちも勇者と言う称号とその爽やかで輝かしい自信に溢れたオーラに完全に信頼したのか、「勇者様が仰るなら間違いありません!」と異議は無いようだ。
それにしても勇者と言う存在は俺が考えていた以上に絶対的な存在のようだ。
ーー勇者とは女神によって加護を受けた存在で、身体に勇者としての証《紋章》が刻まれている。(レイスの場合は右手の甲にその《紋章》がある。)そして勇者はなぜ、どの様な基準で選ばれるのか、それは女神にしか分からないが、今まで誕生した勇者達は皆歴史に名を残す偉業を成し遂げてきた……らしい。
村長達に見送られてモンスターの住処へと向かう。
目撃情報によればフォレストウルフと言う狼型モンスターの群れのようだ。おそらく縄張り争いに敗れてこんな人の生活圏まで逃げ延びたのだろう。
「僕の武器はこの剣、君の戦闘スタイルも教えてくれないかい?」
「俺は…素手だ…。」
「おおっ俗に言う武闘家だね!」
いや、厳密には違う気がするのだが…出来ることはそう変わらないと思い肯定する。今回の作戦は簡単でこちらから仕掛けて一気に殲滅する作戦だ。もはや作戦とも言えないようなレベルではあるが、前衛2人だけなら変に策を弄するより確実だろう。
ここから先は縄張りに入るので一気に片をつけに行く。レイスとアイコンタクトを交わすと二人で駆け出す。




