スクランブル交差点の記憶
月が息を引きとる時
最後の光を投げかける
世界の混乱
スクランブル交差点の真ん中で
彼はコンビニで買った記憶を
レジ袋ごと捨てようとしている
渡るべき信号の色を
忘れることが勇気だと
真夜中の救急車がアナウンスした
スクランブル交差点の真ん中で
彼は行きたいところもわからない
青信号で立ち止まる明日、
赤信号を進む昨日
どちらも「道をあけてください」と
叫んでる
世界の混乱
彼の記憶は救急車の担架に固定され
サイレンを聞きながら
事故のない自由はなかったと思い出す
夜明けのカラスは泣いていた
その答えを
クラクションのように
世界の混乱を
翼を持つ言葉は見下ろしていた
読んでくださりありがとうございました。