表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/134

第90話 賞金首になってみた⑩

 ハンドルを回したところで、右手首が割れて分離してしまった。

 断面からボタボタと血がこぼれる。

 まだ再生するには時間がかかりそうだ。

 虹田から受けた銃撃のダメージが大きすぎた。

 注射された迷宮薬物の回復力が働いているものの、今度は副作用のせいで体調が良くない。

 我ながらよく生きているものだと感心する。


 手首が取れたままでは運転しづらいので、とりあえず魔力の糸で大雑把に縫合しておく。

 放っておけばいずれしっかり繋がるはずだ。

 ぎこちなく動く指を見て、僕は満足して頷く。


「あ、そういえば」


 シートの上に転がる虹色の二丁拳銃を拾って、ジャージのポケットに押し込む。

 穴だらけだが辛うじて収納することができた。


 この武器が有能なのは既に分かっている。

 せっかくなので貰ってしまおう。

 ついで車も僕のものにするつもりだ。

 ただし、レインボーカラーは趣味に合わないので塗装し直したい。

 虹田のセンスはとても理解できない。


 空中を走る車は失速の気配がなく、快調に突き進んでいた。

 行き先を決めるまでは惰性で飛び続けるつもりだ。

 一箇所に留まるより安全だと思う。


 運転中、僕はリスナーからの質問に答える。


『なんで佐藤の補正は消えないの?』


「僕も迷宮人間だからですねえ。場所を問わずステータスやスキルの恩恵を受けられるようになりました」


『前まで外に出たら補正が消えてたよな。いつ移植したんだ?』


「あの対談企画の直後に手術しましたよ。最近の世の中は物騒ですので、自衛手段を増やしてみました。手術費で資金の大半が吹っ飛びましたが後悔はしていません」


 体内に移植した小型ダンジョンは六つ。

 場所は手足と心臓と脳である。

 これらのダンジョンは既に僕の肉体に馴染み、原形を失って溶けていた。

 補正の継続機能が少し劣化する代わりに、ダンジョンを破壊されない仕様にしてもらったのだ。

 再生能力を持つ僕にぴったりだった。


 実を言うと、僕が金儲けをしていた理由の一つがこの手術のためだった。

 とにかく馬鹿げた額の手術費と、必要なアイテムを自前で集めなければいけなかったのである。

 自分の適性を加味して金儲けをするとなると、必然的にダンジョン配信となったのだ。


 手術の時期はもう少し後のつもりだったが、状況的に前倒しすることになった。

 まあ、こればかりは仕方あるまい。

 急ぎの割増料金をむしられた点以外は問題なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 第90話到達、お疲れ様です!
[一言] これでもう佐藤を殺せる奴はいねえ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ