表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/134

第62話 暗殺中継をしてみた④

 運転中、リスナーから気になるタレコミがあった。

 僕はコメント欄のスクロールを止めて確認する。


『抗議団体のバックにいる人間を特定した』


 続くコメントを読んだところ、抗議団体の後ろ盾は有名な政治家らしい。

 この情報に他のリスナー達が食い付く。


『知ってる人だ』


『テレビで見たことあるぞ』


『選挙にも出てたね』


『大物が釣れたな』


 デマの可能性もあるが、コメント欄には根拠となるサイトも掲載されていた。

 他のリスナーが精査しても嘘が出てこないことから、どうやら真実らしい。

 僕は笑顔で頭を下げる。


「情報提供ありがとうございます。行き先を変更して件の政治家さんに会いに行こうと思います」


 その時、後ろからサイレンが聞こえてきた。

 サイドミラーで確かめると、一台のパトカーが接近してくるところだった。


「そこのトラック止まりなさい」


 襲撃者ではなく警察だった。

 メガホンを持った警察がしきりに忠告を繰り返す。


「あー、見つかっちゃいましたね」


『そりゃそうだろうな』


『通報されたか』


『空気を読めない警察』


『この状況で止まれるかよ!!!』


 警察の対処を考えていると、さらに後方から霊柩車が現れた。

 窓から上半身を出した男が何かを肩に担いで構えている。

 それは旧式のロケットランチャーだった。


 発射されたロケット弾は、狙いがそれてガードレールに命中する。

 突然の爆発に警察は動揺していた。


「な、なんだっ!?」


 ひょっとすると、駆け付けた警察は僕の状況を知らないのだろうか。

 だから止まるように言っているのかもしれない。

 襲撃者がいると分かっていれば、もっと別の動きをすると思う。


 やがて二発目のロケット弾が放たれた。

 それはパトカーに炸裂し、爆炎を噴出させて吹き飛ばす。

 中にいた警察は即死だろう。


 このまま三発目を撃たれると面倒なので、僕は手榴弾を投げ落とす。

 手榴弾は霊柩車の真下で炸裂した。

 突き上げられた霊柩車は、黒煙を噴きながら減速する。

 エンジン系統が破損したのだ。

 霊柩車はそれ以上は走行できずに停止し、渋滞を起こしていた。


 僕はハンドルを握り直してカメラ目線になる。


「さて、気を取り直して政治家に会いに行きましょう。夜も遅いですが、最後まで観てくださいねー」


 下手に長引かせると二次災害が広まってしまう。

 被害者の立場と言えど、僕にも非難が寄せられるのは必至だ。

 やはり短期決戦で終わらせるべきだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >抗議団体の後ろ盾は有名な政治家らしい  ここまで大ごとになったら主人公だけでなく件の政治家とやらも法的にタダで済むまいに。  ダンジョンが常識となっている異世界の、日本(に相当する…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ