表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/134

第54話 ダンジョン大会を開催してみた⑨

 アンデッド化した選手達は不気味な足取りで突き進む。

 負傷をものともしないタフネスにより、たとえ大きなダメージを受けて倒れても平然と立ち上がる。

 ある程度の再生力も付与されているらしく、部位欠損から回復したり、他の死体と合体することで行動し続けていた。

 たった数体だが粘り強く前進している。


 よく見るとコース上に撒き散らされた血液が蛇のように流動し、罠を暴発させていた。

 アンデッドが潰し切れなかった罠を作動させて安全なルートを築いているようだ。

 血液の蛇は死屍本さんの視線を合わせて動いていた。

 彼女は死霊術以外にも魔術を使えるらしい。


『レイちゃんすごい!!!!』


『ネクロマンサーの特性を最大限に活かしてるね』


『世界一のダンジョンアイドル』


『宇宙一の間違いだろ!』


 たまに負傷しても、死屍本さんは魔術ですぐに回復する。

 罠を潰しながらの前進なので決して速いペースではないものの、確実性は非常に高い。

 クリアを優先した堅実な立ち回りは悪くない。

 むしろ沈み切った配信の流れを変えてくれたので感謝している。


 こうして考えると、死屍本さんはかなり優秀な魔術師だ。

 臨機応変なアンデッド運用に加え、血液の蛇で奇襲や補助ができる。

 回復魔術で治療することも可能である。

 本人のフィジカルも強靭で、最前線で殴り合いができるパワーと度胸を兼ね備えている。

 高水準なバランスタイプと言えよう。


(殺し合いで理性を失う癖がなくなれば完璧だけど……)


 今回はタイムアタックで戦闘とは違うためか、死屍本さんは冷静なままだ。

 しかし、ボルテージが上がると、彼女は狂戦士のような状態に変貌する。

 攻撃特化で思考力が低くなり、作戦の幅が大きく狭まるのが弱点であった。

 探索者としてさらに強くなるなら、精神面の改善が課題だろう。


 そんなことを考えている間に、死屍本さんは無事にゴールへと到達した。

 僕はすぐさま彼女のもとに向かって褒め称える。


「おめでとうございます! 初のクリア者となりましたが、どんな心境でしょうか」


「皆さんの応援のおかげで頑張れました! ありがとうございます☆」


『レイちゃんおめでとう!!』


『佐藤以外にクリアできる難易度だったんだな……』


『素直にすごいな』


『ナイス~~』


『ファンになりました。チャンネル登録します!』


 リスナーの反応も上々だった。

 死屍本さんのチャンネル登録数が急速に増えているらしい。

 それは良いことだが、ちゃんと僕のチャンネルも登録してほしいものである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ