第48話 ダンジョン大会を開催してみた③
僕はスマホを出入り口に向けつつ大声を発する。
「さて、ルール説明の前に大会の選手に入場していただきましょう!」
発言が合図となって出入り口が開く。
そこから整列して現れたのは、総勢百人の参加者だった。
配信に出演してくれた知人から顔も名前も知らない誰かまで、老若男女問わず集まってくれている。
彼らの登場にコメント欄が一気に加速する。
『おおおおおおおおおおおおおっ!!』
『は!?トラップメン!?』
『なんでボブもいるの??』
『有名ライバーが多いな』
『公務員の探索者もいるっぽい』
『レイちゃんだーーーーーーーーー!!!!!!!』
『すげー豪華だな』
『誰が優勝するか予想しようぜ』
日本国内に絞っても有名な探索者は多い。
テレビに出演していたり、ネットニュースで紹介されるからだ。
僕のようにライバー活動で脚光を浴びる者もたくさんいる。
そういった探索者を抜きにしても、なかなか実力者が揃っている。
佐藤キツネが主催する、という時点で応募を見送る者が少なくないだろう。
ダンジョンに入ったことがない人間や、初心者は特にそう感じると思う。
だからここにいる参加者達はよほどの自信があるか、スキル石が必要な理由があるか、目立って売名したい無謀な人間ということだ。
僕は参加者をじっくり映しながら説明する。
「SNSで募集をかけたのですが定員を超過してしまったので、やむを得ず抽選を行いました。今回の反響次第で第二回も開催しますので、その際はまたご応募くださいね」
『早くも第二回!!』
『いいなー、参加しようかなー』
『スキル石がもらえるのはデカいね』
これだけ人気なのだから第二回をやる価値は十分にある。
短期間に連続で開催すると話題性が薄れてしまうので、頃合いを見て実施するつもりだ。
「それでは選手の皆さんに意気込みを聞いていこうと思います」
僕はマイクを持って参加者に一人ずつ話しかけていく。
人数が多いのでなるべくスピーディーに意気込みを聞いていった。
ついでに有力者っぽい探索者は記憶に入れておく。
タイムアタックでは僕が実況する予定だ。
ちゃんと盛り上げられるように、注目選手をピックアップしないといけない。
参加者のリストは手元にあるものの、やはり実物を見るのとは違う。
彼らの意気込みに相槌を打ちつつ、僕はここから先の展開について考えを巡らせていた。