第46話 ダンジョン大会を開催してみた①
ボブとの配信後、僕の生活は多忙を極めた。
スキル石を賞品にした大会を開催すると宣言してしまったからだ。
その反響が想定以上に凄まじく、通常の配信ができなくなるほどであった。
さすがにこの状況を長引かせるのは得策ではない。
配信活動に支障を来たすのは良くないだろう。
何より話題性が高まっているうちに実行してチャンネル登録数を伸ばしておきたかった。
だから僕は最速最短で根回しを開始した。
まず大会の舞台となる会場からだ。
これはとある企業の施設を借りることにした。
少し前にその企業から案件の打診があり、ちょうどよいタイミングだったのだ。
向こうからしても好都合なはずなので、さっさと企画書を作って送信した。
企業の返信を待つ間にも他のタスクをこなしていく。
とりあえず欠かしてはならないのが宣伝だ。
SNSで大会について告知しつつ、配信サイトにもPR動画を投稿しておいた。
現段階では詳しい情報は載せていない。
小出しにすることで注目度を保つ作戦である。
それなりに考えた甲斐もあり、僕のSNSのフォロワーは爆発的に増加していた。
有名なライバーや企業からもコラボ打診が次々と舞い込んでパンク寸前となっている。
配信から三日ほど経った頃、連絡していた企業から返信が来た。
大歓迎なのが分かる文面を見て僕は安堵する。
これで企業との提携企画が決定した。
かなり突発的だったが、担当が優秀かつフットワークが軽くて助かった。
企画にかかる資金は僕が負担するという条件も効いたに違いない。
まあ、この程度は必要経費である。
配信の収益で簡単に取り返せる程度の額だった。
既にボブとの配信で使った分は収益で回収できたどころか、そこからハイペースで利益を叩き出している。
今回の大会ならば、さらなる黒字も狙えるだろう。
それからは大会の参加者を募集したり、会場の設営や調整に着手する。
事前準備は最低限にして、とにかくスピードを優先した。
昼夜を問わず打ち合わせを重ねて企画の方向性や流れを固めていく。
寝不足気味になりながらも気合で進め続けた。
そうして二週間後、ついに大会の日がやってきた。
僕は早くも達成感を覚えながら現地へと向かう。
あとは企画が盛り上がることを祈るしかない。
そのためにも張り切ってやっていくつもりである。