第45話 遺品商にインタビューしてみた⑥
堂々とした態度のボブに対し、コメント欄のテンションは限界を超えていた。
あまりの衝撃でよく分からないことになっている。
『死体からスキルを奪うスキル!?』
『うおおおおおおおおおおおおお!!!』
『すげーーーーーーーー!!』
『趙レア能力じゃん』
『そりゃ話題にもなるわ』
スキルを譲渡、強奪、生成、物質化するような系統の能力はとてつもなく希少だ。
持っているだけで一生どころか数世代は食うに困らないような価値がある。
それをボブが所持しているのだから、リスナー達が仰天するのも無理はない。
死体から得たスキルを物質化できるという効果も汎用性が高く、同系統のスキルの中でも使い勝手は抜群だろう。
カオスなコメント欄を見て、ボブは愉快そうに大笑いする。
「はっはっはっは! こりゃすげえ反応だな! そんなにびっくりしたかっ! まあそうだよな!」
「でもそんなに珍しいスキルを明かしてもいいのか……とコメントが来てますが」
「もちろん大丈夫だ! もう各国の組織に知られているからな! 何度も命を狙われているし、ここで言っても誤差の範囲だ!」
『それ大丈夫じゃなくね……?』
『心もタフガイだったか』
『さすボブ』
便利なスキル持ちはあらゆる勢力からスカウトされる。
場合によっては拉致されることも少なくない。
ボブは実力で自衛できるため、こうしてハイリスクな言動を取れるわけだ。
それにしても危険なことには変わりないので、いずれ唐突に行方不明になるんじゃないかと思っている。
まあ、ボブなら相手の組織を壊滅して何事もなく戻ってきそうだが。
その後も僕はインタビューを続けた。
ボブは積極的に答えてくれた。
配信的にはギリギリの内容を挟みつつ、様々な情報を届けることができた。
インタビューが一区切りついたところで僕は棚に目を向ける。
「スキル石を一つ買ってもいいかな?」
「おう、構わないぞ。しかしお前がそういうアイテムに頼るのは珍しいな」
「僕が使うものじゃないよ」
棚からスキル石を掴み取る。
それリスナーに見せながら僕は宣言した。
「今回の配信はこれで終わりです。次回はスキル石を優勝賞品にして大会を開きます!」
『は?』
『まじで?』
『もらえるの!?!?』
「大会の概要は後ほど告知します。僕のSNSをチェックしてくださいね。ではお疲れ様でしたー」
僕は半ば強制的に配信を終了させる。
ここで詳しく説明するより、あえて引き延ばした方が盛り上がると思ったのだ。
明日以降の反響が楽しみである。