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第42話 遺品商にインタビューしてみた③

 僕は店の前でおもちゃのマイクを取り出した。

 今日のために勝ったものだ。

 それをボブに向けて話を切り出す。


「ではインタビューを開始します。事前に質問を用意していますが、気になったことがあればコメント欄で訊いてくださいね」


『はーい』


『了解』


『何を聞こうかな』


『たのしみ』


 こういう企画はテンポが大事だとネットで見た。

 だから僕はスムーズに質問へと移る。


「まず一つ目。商人になったきっかけは何ですか?」


「元は探索者だったが身体を壊してな。現役バリバリで戦えなくなったから商人になったのさ」


『今も十分に強いだろ』


『現役バリバリの筋肉だ』


『商人って顔じゃねえよな~』


 ボブの怪我はまだ残っているらしい。

 実力も全盛期から大きく落ちているそうだ。

 ただしリスナーが察している通り、それでも彼の力は非常に高い。

 そこらの魔物では掠り傷すら付けられないだろう。


「なぜダンジョン内に店を?」


「ロマンだよ。秘境にある店ってカッコいいだろ。そのために色んなダンジョンを転々としてるんだ」


『移転理由が草』


『おもしれーなボブ』


『まあ確かにロマンは大事』


 ボブの店は不定期に場所を変える。

 その動きに規則性はなく、彼の商品を求める者はあちこち捜し回る必要があった。

 なんとボブの現在地をリアルタイムで追うサイトがあるほどだ。

 僕にはよく分からないが、それだけの需要があるのだと思う。


「ここにはどんな商品がありますか?」


「よくぞ聞いてくれた! ダンジョンで役立つ物ならなんでも売ってるぜ!」


 嬉しそうなボブが店内に招いてくれた。

 広いスペースにはブルーシートが敷かれて、その上に商品が乱雑に並べられている。

 メモ用紙に値段を書いたものが、それぞれの商品にセロテープで貼られていた。


 率直に言うと、物を売る気がない光景だった。

 フリーマーケットや文化祭の方がよほどちゃんとしているだろう。

 しかし、これでもボブの店は超人気なのだ。

 その理由は品揃えにある。


 並べられた商品は、武器や防具に始まり、カバンや衣服、ポーション、懐中電灯といったダンジョン探索用のアイテムが大半だった。

 魔物の素材や人間と思しき死体の一部もなぜか置かれている。

 用途不明の道具やゴミ同然の物体もあって非常にカオスなことになっていた。

 ボブ自身、整頓する気はないのだろう。


 この中には大量の掘り出し物が眠っている。

 値段以上の価値を持つお宝があり、それを探索者達は欲しがっているのだった。

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