第40話 遺品商にインタビューしてみた①
トラップメンの末路は大好評だった。
彼らはよほど恨みを買っていたのか、再生数はハイペースで増え続けており、投げ銭も次々と行われている。
死屍本さんとのコラボも反応が良く、早くも第二弾を熱望されていた。
僕との配信で死屍本さんのチャンネル登録数も増加したらしく、互いに得をした形になって安心した。
また近いうちに連絡を取ってコラボの予定を入れてしまおうと思う。
さて、佐藤キツネの知名度は現在進行形で上がり続けている。
チャンネル登録者数はとてつもないペースで伸びて、今日の時点で五百万人を突破した。
これは大手ライバーにも並ぶ数字で、異例とも言えるスピードだった。
あちこちのネットニュースで取り上げられて、一部界隈ではカルト的な人気があるらしい。
有志の作った僕のファンサイトも確認している。
これまでに投稿した動画は軒並みランキング上位を独占しており、もはや敵無しな状態を保っていた。
僕を真似たスタイルのライバーも出てきているが、今のところ劣化版しか現れていない印象だ。
立場を脅かされることはまずないだろう。
有力そうなライバーが出てきたら、それ以上に過激なことをすればいい。
或いはコラボ配信で親睦を深めるという手もある。
何にしても僕の配信活動の邪魔にはならない。
配信の収益が僕の口座に続々と入ってきているが、既に驚くような額に達していた。
ライバー業の瞬間火力を思い知った瞬間だ。
やめられなくなるのも分かる。
今がピークであるのを加味しても、ここまで儲けられる仕事はそうあるまい。
しかし、この収益もまだ序の口だ。
今後さらに増えていくのだから笑いが止まらない。
いずれ使い切れない資産になってくるはずだ。
企画の経費として活用するのもありだろう。
というわけで今日も配信をしよう。
注目されている時期だからこそ、新たなコンテンツを提供していくべきだ。
今までと比べて見劣りしない企画も考えている。
僕は三脚付きスマホを置いて、画角をチェックしてから配信を開始する。
さっそく流れるコメント欄を見ながら、僕は元気よく挨拶をした。
「皆さんこんにちは、佐藤キツネです。本日は皆さんから募ったリクエストの一つを採用して、とある商人に突撃取材をしようと想います!」
『リクエスト企画か』
『いいじゃん』
『俺が考えた企画だ!!』