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第39話 迷惑系ライバーを成敗してみた⑧

 扉の先は大きな円形状の穴が開いていた。

 底ではトラップメンの三人と無数の魔物が殺し合っている。

 既に殺された魔物の死骸が山積みとなり、血と臓物で滅茶苦茶になっていた。

 それなりの距離があるのに濃密な臭いが立ち上ってくる。

 トラップメンは悲壮な声を洩らしながら戦っていた。


「うぅ……」


「苦しい……」


「もう、殺してくれ……」


 彼らはこの穴に閉じ込められている。

 そして、地面の隙間から這い出てくる魔物と戦うことを義務付けられていた。

 魔物の出現が治まったタイミングで死骸を回収し、それが終わればまた戦わねばならない。

 地獄絵図を映しながら、僕は意気揚々と実況する。


「ご覧ください。トラップメンの皆さんは頑張っております。己の罪と向き合い、真摯に償っているのです」


『いやいや』


『どう見ても後悔しているだけだろ』


『強制労働にもほどがある』


『というか拷問じゃね?』


 リスナーはドン引きしている。

 まさかトラップメンがこんな状態になっているとは思わなかったのだろう。

 配信中に惨殺したのだから当然である。

 僕は死屍本さんにスマホを向けて補足説明をする。


「ご存じかもしれませんが、死屍本さんは【死霊術A】のスキル持ちです。その効果でトラップメンをアンデッド化させて、ダンジョンの労働力にしているのです」


「集まった魔物素材を売ったら、その資金でライブを開催しまーす☆」


『最高じゃん』


『やったーーーーーー!!!』


『は? 天使か?』


『一生ついていきます!!』


 コメント欄の盛り上がりが瞬時に最高潮に達する。

 やはり死屍本さんの人気はすごい。

 彼女が関わっていると知った途端、この有様である。

 あまりにも華麗な手のひら返しなので怒る気にもなれなかった。


 ちなみに、トラップメンのアンデッド化は死屍本さんのアイデアだ。

 たまに死霊術を使ったパフォーマンスをするらしく、今回もその流れで閃いたのだという。

 アンデッド化した人間は術者に決して逆らえず、命令されたままに行動するしかない。

 だから裏切りのリスクも考慮しなくていい。

 アイドルが持っていいような能力ではないと思うのだが、リスナーの反応から考えるに受け入れられているようだった。


「トラップメンの死体は損壊が激しかったので、半月もすれば崩れて消滅するでしょう。それまでしっかり反省してもらいます」


「たす、けて……」


「ゆるして」


「もう嫌だ……」


 眼下ではトラップメンが魔物に喰われていた。

 多少のダメージはアンデッド化の恩恵で回復するので、ぜひとも頑張ってほしいものだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりこうなった… アンデットになっても意識は残るんだ
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