表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/134

第37話 迷惑系ライバーを成敗してみた⑥

 刺されて刺されて切られる。

 切られて切られて刺される。


 僕はトラップメンのリーダーから一方的に攻撃されていた。

 目を潰されたので見えないが、かなり必死な様子が伝わってくる。

 単純なフィジカルでは僕に敵わず、隙を突いた今こそが好機だと分かっているからだろう。

 足の腱を切られた僕は転倒し、仰向けの姿勢のままナイフで抉られる。

 配信中のスマホを保持できているのが唯一の救いだった。


『やばいやばいやばい』


『さすがに死んだ?』


『再生能力が追い付いてない』


『トラップメン勝利エンド』


 何十回も攻撃されるうちに、ナイフの動きが大雑把になってきた。

 太刀筋から隠し切れない疲労が窺える。

 どこまでやれば僕が死ぬか不明瞭なので、リーダーは常に全力で攻撃し続けねばならない。

 そのプレッシャーは想像以上に大きいのだ。


(ピンチの演出はもう十分か)


 僕は再生能力を片手に集中させて一瞬で治した。

 その手でリーダーの首を掴んで力を込める。

 リーダーが驚愕して硬直した。


「ぬがっ!?」


「あばいでず、ねぇ……」


 喉を切り裂かれていたせいで上手く発声できなかった。

 僕はリーダーの頭を地面に叩き付けて、滑り落ちたナイフを蹴飛ばす。

 そして馬乗りになって動きを封じた。


『なんで一気に再生できたの?』


『スキルランク低かったよね』


『たぶん再生箇所を絞って回復速度を上げたんだ』


『器用だな』


 僕はリーダーの顔をスマホで撮りつつ、笑顔で首を絞める。

 リーダーが執拗に腹を殴ってくるが気にしない。

 もう内臓やら何やらが飛び出してぐちゃぐちゃなのだ。

 今更、新たな痛みが加わったところで誤差の範囲である。


 僕は足腰に再生力を注いで立ち上がり、リーダーを高々と持ち上げた。

 少し遠くでは、死屍本さんが釘バットを振りかぶっていた。

 彼女はワクワクした顔で待ち構えている。


「いきますよー」


「はーい★」


 僕はリーダーを豪快に投げる。

 死屍本さんはフルスイングの釘バットで迎え撃つ。

 釘バットの打撃はリーダーの顔面に炸裂し、軽々と吹っ飛ばして天井に激突させた。


 天井にへばりついたリーダーは死んでいた。

 死屍本さんによる渾身の一撃を食らったのだから当然だろう。

 リーダーから垂れた血が枯れた噴水広場に滴っている。


 グロテスクな惨殺死体を目撃したことで、周囲の探索者が騒然とし始めた。

 大半の人間が出口へと殺到し、一部の実力者は僕達を注意深く観察してくる。

 突発的な企画だったが、なかなか盛り上がって僕は満足だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >天井にへばりついたリーダーは死んでいた。 悪足掻きした割にはあっけない。w まあ、同情心が欠片も湧かない悪党だから、相応の末路だな。 [一言] 続きも楽…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ