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第31話 人気ライバーとコラボ配信してみた⑩

 通路の奥を見つめたまま、僕は独り言を洩らす。


「ふむ、あの人達が罠を仕掛けたんですかね」


 少なくとも死屍本さんが罠にかかった姿を撮影していたのは間違いない。

 つまり僕達と同じ配信者だろうか。

 逃げたということは後ろめたい事情があるのだと思われる。


 無言で推測を立てていると、リスナー達が情報提供をしてくれた。

 僕はコメント欄に目を通していく。


『あいつら知ってる。トラップメンだ』


『誰それ』


『迷惑系ライバーだよ』


『ダンジョンで探索者を罠にハメたり、安全地帯に魔物を誘導したりしてる』


『ヤバい奴らじゃん』


 その後も使えそうなコメントが次々と投稿される。

 迷惑系ライバーグループの"トラップメン"は、ダンジョン内でのイタズラ行為がメインコンテンツらしい。

 彼らの動画は大人気らしいが、巻き込まれた大怪我をした人は多いという。

 最近のイタズラは過激な傾向にあるそうで、被害者が死ぬことも珍しくないという。

 総じてかなり悪質な活動と言えよう。


『今回は配信やめた方がいいよ』


『さすがに危険』


『他にも罠があるかも……』


『レイちゃんが傷付くのはもう嫌だ』


 トラップメンの悪評のせいか、リスナー達も弱気になっている。

 死屍本さんが同行しているのも大きいだろう。

 穏便に済ませてほしいのがよく分かる。


 ところが、当の死屍本さんはハイテンションだった。

 拳を握り締めた彼女はカメラ目線で宣言する。


「決めました! 私達でトラップメンを懲らしめます! 他の探索者の皆さんのためにも放ってはおけません☆」


『え?』


『おお!』


『マジか!』


『さすがダンジョンアイドル』


 意気消沈していたコメント欄が復活する。

 あっという間に死屍本さんを崇める言葉で埋め尽くされてしまった。

 やはりとてつもない影響力である。


『佐藤さんはどうするの?』


「もちろん死屍本さんのお手伝いをしますとも。誰に喧嘩を売ったのか理解してもらいましょう」


 僕は穏やかに頷き、持参のスポーツバッグを漁る。

 せっかく色々持ってきたのに使う機会がなく、もったいないと考えていたところだったのだ。

 トラップメンの存在はある意味ちょうどよかったと言える。


 僕はスマホを持ち直して笑う。


「というわけで企画変更ですね。題して"迷惑系ライバーを成敗してみた!"なんてどうでしょう? このまま引き続きお楽しみください」


 その瞬間、配信の高評価数が跳ね上がった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >「というわけで企画変更ですね。題して"迷惑系ライバーを成敗してみた!"なんてどうでしょう? このまま引き続きお楽しみください」 >その瞬間、配信の高評価数…
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