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第12話 ダンジョンのヤクザと対決してみた⑤

 僕は死体から銃だけ奪って歩き出した。

 三脚付きスマホを掴んで公園を出る。


「邪魔者もいなくなったことですし、今度こそダンジョンに向かいましょうか」


 コメント欄は直前の戦闘に関するもので埋め尽くされていた。

 これでは新たな話題を出すことができない。


『強すぎ』


『三人がかりでノーダメか』


『こうなると思った』


『ヤクザさんドンマイ』


『南無南無』


 概ね好評みたいなのでよかった。

 僕の戦闘術は効率と実用性を重視しており、見栄えに関してはあまり自信がない。

 余裕がある時は配信ウケをしっかり考慮していこうと思う。

 心の中で反省していると、リスナーが疑問を投げかけてきた。


『ダンジョンの外ってステータス補正がないよね。なんで戦えるの?』


『ホンマや』


『言われてみればそうじゃん』


『チートか?』


 同じようなコメントが一気に増えてきた。

 静かな住宅街を歩きながら、僕は質問に答える。


「もちろん各種補正は無効になってますよ。ここではレベルによる身体能力の向上も、取得したスキルもすべて使えません。もちろんチートなんかもないですね」


『じゃあなんで?』


「答えは簡単です。素の能力で戦っただけですよ」


 僕はスマホに向けてピースをする。

 コメント欄は絵文字で返してくれた。


「ちゃんと鍛えておけば、ダンジョン外でもそれなりの動きはできます。ステータス補正に頼る人はこの辺りを疎かにしがちですよねえ。さっきの三人なんてまさに典型例でした」


 ダンジョンのもたらす恩恵は地上では通用しない。

 どれだけ熟練の探索者だろうと、外に出れば常人のスペックに落ちるのだ。

 だからこそレベルやスキルに依存しない立ち回りを目指す者もいる。

 僕もその一人だった。


「探索者の皆さんはレベル上げだけではなく、地道なトレーニングも欠かさないようにしましょうね」


『うーん?』


『理論的には分かるけど……』


『言うのは簡単』


『俺は共感できるな』


『エアプ乙』


『実際にやってみろよ。絶対に無理だから』


 コメント欄の議論を見ているうちに、ダンジョンのある雑居ビルに到着した。

 入り口付近には十数人のヤクザが集まっている。

 彼らが僕に反応する前に、僕はスポーツバッグからサブマシンガンを取り出した。

 改造されたロングマガジンを装着し、狙いを付けてトリガーを引く。


「こんにちはー」


 挨拶と共に放たれた無数の銃弾がヤクザを蜂の巣にした。

 彼らはまともに反撃できずに屍となる。


 ここからはスピード勝負だ。

 僕は死体をまたいでビル内に侵入すると、地下に続く階段へと進む。


「さあ、パーティー開始です。一緒に盛り上がっていきましょう! 配信の拡散もお願いしまーす」

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