第101話 真実を告白してみた⑩
僕は違和感を覚える。
視線を落とすと、その正体がすぐに分かった。
前へ進むために出した右足が、いつまでたっても地面に到達しない。
透明のクッションでも踏んでいるかのようにだが、完全に止まっているわけではなかった。
本当に、本当にごく僅かだが足は下がり続けている。
あまりに遅すぎて止まっていると錯覚したのだ。
(空間の歪みか)
足から地面までの距離が疑似的に引き延ばされている。
見かけ上は同じだが、体感では数キロの長さに細工されていた。
魔術による干渉を受けている。
言うまでもなくメイソウの仕業だ。
まったく地味な嫌がらせである。
僕は足を戻そうとして、それができないことに気付く。
ほぼ固定されたように動かない。
厳密には徐々に動いている気がしないでもないが微差だ。
僕の片足は既にはまり込んでいる。
とりあえず一歩踏み出すため、僕は手刀で右足を切断しようとする。
次の瞬間、両手がドロドロに溶けてしまった。
残った骨はなぜかネジと釘の塊に変化し、間もなく崩れ落ちる。
ものの数秒で左右の腕の肘から先が無くなってしまった。
メイソウはその場から動いていないが、誰かが能力を行使したのだろう。
単独か複数人かは不明だ。
厄介な魔術師が紛れているのは間違いない。
どうにか対策を講じて倒さなければ。
どうにか対策を講じて倒さなければ。
今、思考がループした気がする。
気のせいだろうか。
気のせいかもかもしれないしれない。
それより早く動かないと。
右足が固定されている。
両手もダメだ。
あとはスキルしかないこの場で役立つ能力はと
あれ。
意識が飛んだ、かもしれない。
戦闘開始から何秒経った?
直前まで何をするつもりだったのだろう。
記憶が曖昧だった曖昧曖昧曖昧だった。
ごちゃごちゃしてててててて上手く整理でき整理できなななな整理ない。
うん、わかった
のうをいじられている
のうがあつつつつつつつつついたいたいたいたいたいたいたいたいたいたたたたたたたたたた
危ない。
脳を軽く爆破させて再生することで立ち直った。
こういうタイプの魔術師は面倒だ。
認識をずらされると、現実と幻の区別が付かなくなってくる。
思考力も劇的に落ちるので戦いにくくなる。
とりあえず常に脳を破壊することで干渉を防いでおく。
再生力による魔術防御も促進されるので一石二鳥だ。
こういうタイプの魔術師は面倒だ。
認識をずらされると、現実と幻の区別が付かなくなってくる。




