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専業主夫の探偵推理  作者: 如月いさみ


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12/16

探偵事務所トゥルースジャスティス

 12月20日に冬季集中講座が最終日を迎える。

 

 正義は冬季集中講座の最終日に白露真理から笑顔で

「あ、正義」

 明日空いてるか?

 と聞かれた。

 

 娘の心は一途と共に国立図書館へと毎日通っている。

 

 正義は来年の1月から始まる共通テストと大学二次試験に向けての勉強と家事だけとなっており

「掃除と洗濯が終わったら大丈夫だけど」

 と答えた。

 

 真理は頷いて

「じゃあ、前に言ってた探偵事務所に案内しておく」

 と告げた。

 

 正義はそれに

「え?」

 探偵事務所って……書類だけじゃないの?

 と聞いた。

 

 真理はあっさり

「いや、事務所あるから」

 取り敢えず箱物だけだけどな

「この前、梓に会ったんだろ? 依頼も貰うように頼んでるからな」

 と告げた。

 

 探偵事務所の経営が着々と進んでいるようである。

 

 正義は思い出しながら

「わかった、明日何時に何処に?」

 と聞いた。

 

 真理は笑みを深め

「新宿に10時で頼むな」

 と言うと

「じゃ、よろしく」

 と立ち去った。

 

 正義は戸惑いつつも

「明日、新宿で10時か」

 と帰宅の途についたのである。

 

 今年こそ受からねばならない受験追い込みの時期であった。

 

 専業主夫の探偵推理

 

 塾から帰ると自動掃除機トンボを走らせながら夜ご飯の準備をするのが日課となっていた。

 正義は大根をお米のとぎ汁で茹でながら

「今日はおでん」

 と呟き

「心ちゃんも歯が生え揃ってきて離乳食から少し卒業しているから小さく切ったものも用意しないとね」

 明日はおでんうどんも出来るから一石二鳥だよね

「事務所を見た帰りにうどん買って帰ろう」

 とガッツポーズをとった。

 

 一途が心を連れて帰宅すると正義は

「お風呂とご飯どっちにする?」

 と告げた。

 

 一途はそれに

「お風呂に入るわ」

 と言い、心を抱っこしたまま浴室へと向かった。

 

 一途が仕事場に心を連れて行くようになってから正義は先にお風呂に入り、一途と心が一緒にお風呂に入るようになっている。

 

 その間に正義が夕食の準備をするのである。

 

 正義はおでんを温めテーブルの上に置くと浴室から聞こえる一途の声に席を立った。

「正義くん、心お願い」

 

 正義はバスタオルを持って浴室から心を受け取ると

「心ちゃん、綺麗にしてもらったね」

 と丁寧に拭いた。

 

 心はハフハフと言いながら

「きえー」

 と胸を張った。

 

 ピカピカと言う意味である。

 

 正義は「きえーって気合いの声だよね」と思いつつ

「綺麗だよね」

 とトレーニングパンツをはかせた。

 

 家にいる時はトレーニングパンツで練習をしている。

 それも最近はちゃんと「ちっち」と言ってトイレへ行こうとするのでトレーニングパンツもそろそろ卒業かなぁと思っている正義であった。

 

 愛娘の成長は本当に早かったのである。

 

 翌日、正義は一途と心を送り出すと洗濯と掃除を済ませて三ノ輪駅から新宿駅へと向かった。

 考えれば探偵業をしようと思ってはいたが……事務所とか色々な部分でまだまだ夢見心地であった。

 

 そう言う意味では白露真理はちゃんと地に足をつけて探偵業をしようとしている。

 

 正義はハフゥと息を吐き出すと

「真理はしっかりしているよな」

 とぼやいた。

「俺もあっちこっちでおんぶに抱っこ状態にならないように頑張らないとな」

 

 家では一途に経済的な側面を面倒見てもらい。

 仕事場では真理に事務処理から何から何まで面倒見てもらうというのは些か甘えすぎのような気がする。

 

 正義は列車に揺られながら腕を組み

「じゃあ、俺は何をどう頑張ればいいのかなぁ」

 とぼやいた。

 

 その答えはあっさりと新宿駅で待ち合わせをした白露真理から言われたのである。

「ん? 正義はもちろん探偵として走り回ってもらうから」

 正義が探偵してくれないと廃業だからな事務所

「頼りにしてるぜ」

 

 ……。

 ……。

 

 正義は思わず

「え!? それだけで良いのか?」

 と驚いて告げた。

 

 反対に真理が

「おいおい、それがメインじゃねぇのか?」

 とビシッと返された。

「俺は事務方、お前は実務」

 普通の会社でもそうだろう?

「経理や事務の人間は営業したり製造したりしないだろ?」

 反対に製造や営業はそれぞれの分担をしごとするじゃねぇか

 

 正義はフムッと考え

「確かにだよね」

 と答えた。

 

 そして

「俺、すっげぇ頑張るからね」

 真理宜しくお願いします

 と笑みを浮かべた。

 

 真理は笑みを浮かべ

「ああ、頼むぜ」

 その分俺もバックアップ頑張るからな

 と答えた。

 

 新宿駅を出ると正面にある大通りに添って商業施設が入っているビルが立ち並んでいた。

 ビルは主に高層ビルで正義は思わず「おお」と見上げた。

 

 東京の中心地にあり、駅へのアクセスも悪くない。

 また、車での移動も首都高へと繋がっている抜群の立地のため様々な会社のビルが建っているのである。

 

 その中の一つに東都グローバルビルがある。

 それが白露家の持っている俗に言う白露ビルである。

 

 その一角に探偵事務所のフロアがあった。

 入口は格調高い白を基調にした大理石で飾られ、ガードマンが常時警備についている。

 

 中には有名な企業のフロアがあり足を踏み入れた瞬間に正義は

「……なんか一流企業に面接に来た気分だ」

 と感想を述べた。

 

 真理は笑って正義に入館許可証を渡すと

「入り口だけな」

 と言い、エレベータに乗ると認証カメラにそれを見せた。

 

 するとエレベータは自動で三階まで登るとドアを開けた。

 最新の技術である。

 

 真理は降りながら

「一応、入館許可証と顔認証で自動的に行ける階が決まっているんだ」

 まあ俺らの場合は全ての階を選べるように設定はしているんだけど

「何も押さなかったら自動的に基本階に止まるようになってる」

 俺達は三階な

 と告げた。

 

 正義は感心しながら

「凄いな」

 と言い真理の後について足を進めた。

 

 エレベータから降りて通路を歩き角のフロアに着くと

「ここが事務所」

 と親指でロック画面を押さえた。

 

 自動でドアが開き中に広々とした空間が広がっていた。

 

 入口だけでなくフロアも綺麗で格調高い作りである。

 中には机が二つあり両側の壁には本棚が設置されていた。

 

 そして左手にはドアがあり応接室の札も掛かっていた。

 本当の事務所である。

 

 真理は驚く正義に

「一応、停電対策として自家発電はあるんだけど」

 それも効かなくなった時の為に自動ドアは手でも開けられるようになっているんだ

「出られなくなったら大変だろ?」

 と笑って告げた。

 

 正義は「確かに」と周囲を見回しながら

「凄いな」

 家賃とか高いだろ?

 と告げた。

 

 真理は考えながら

「しらん」

 と告げた。

「けど事務所を構えてちゃんとするって言ったら、親父がここ以外は認めんって言って用意してくれた」

 一応、経理は藤堂がするから資本金とか利用するだろ

「梓の依頼とそれから渡井静子さんって人からも依頼をもらうように手配はしてる」

 正義が探偵するって言ったら渡井さん喜んで

「じゃー、お願いねって言ってた」

 

 正義は驚きながら

「本当に着々とだよな」

 凄いな~でも嬉しい

 と答えた。

 

 真理は笑顔で

「ここなら東京近隣の大学から通うのも問題ないだろ?」

 と言い

「一応、大学行きながら依頼があったらこなしてもらう形で行こうと思ってる」

 もちろん正義の家庭第一でな

 と告げた。

 

 正義は真理に頷いて

「ありがとう」

 絶対に受かるから

 と告げた。

 

 真理はそれに

「でさ、正義は何処受けるつもりなんだ?」

 と聞いた。

 

 正義は「東都大学法学部と東育大法学部と横大法学部辺りを狙ってる」と言い

「一番は東都大学かな」

 と答えた。

 

 真理は頷いて

「俺も一緒だから」

 東都大学一本で受ける予定

 と告げた。

 

 正義は「一本か、凄い」と感心して

「俺は一応三か所受ける」

 お父さんもお母さんもそれで良いって言ってくれてるし

「一途さんの許可も貰ってるし」

 と答えた。

「頑張ろうと思ってる」

 

 真理は笑顔で

「お互い頑張ろうぜ」

 と言い

「出来たら同じ大学に行けると良いけどな」

 と告げた。

 

 正義は頷いて

「うん」

 と答えた。

 

 その時、フロアにある机の上の電話が鳴り響いた。

 

 真理と正義は驚いて顔を見合わせた。

 真理は「あれ? ここの電話知ってるの二人ぐらいなんだけど」と言いながらディスプレイの番号を見て

「渡井さんだ」

 と言い受話器を手にした。

「はい、探偵事務所トゥルースジャスティスです」

 

 正義は目を見開き

「名前決まってたんだ」

 と思わず心で突っ込んだ。

 

 渡井静子は受話器の向こうで

「神楽君はいるのかしら?」

 と聞いた。

 

 真理はちらりと正義を見て

「はい、います」

 ご依頼ですか?

 と聞いた。

 

 静子はふふっと笑うと

「ええ、少し事件があってそれを」

 と告げた。

 

 真理は頷いて

「かしこまりました」

 今から神楽と参ります

「ご自宅でかまいませんか?」

 と聞いた。

 

 静子は笑って

「ええ、よろしくね」

 待ってるわ

 と答えた。

 

 真理は受話器を置いて

「渡井さんから依頼だって」

 家へ送るついでに俺も行く

 と告げた。

「その時、話したい事あるから」

 

 正義は頷いて

「わかった」

 と答えた。

 

 真理は藤堂に電話を入れて呼び寄せながら

「実は梓と渡井さんともう一人……依頼人がいるんだ」

 と告げた。

「俺が探偵事務所を作ろうと思った理由の人なんだ」

 

 正義は真剣な表情の真理を見て

「真理の大切な人?」

 と聞いた。

 

 真理は頷いて

「ああ、津村向日葵っていう人なんだけど」

 彼女は不思議な夢を見るんだ

「本当になる夢を」

 だから必要な時に止めるために動いてもらいたい

「俺が事務所を作ろうと思ったのはそれもあったから」

 と告げた。

 

 正義は「本当になる夢をって凄いね」と言い

「いいよ」

 真理には沢山世話になっているから

 と答えた。

「頑張るよ」

 

 真理は微笑み

「ありがとう、ごめんな」

 最初から言わなくて

 と告げた。

 

 正義は首を振り

「言ってくれて俺は嬉しい」

 俺もこれから真理に色々頼るから

「ウィンウィンだから気にしないで」

 と告げた。

 

 真理は手を差し出すと

「改めて宜しく」

 俺の名探偵

 と告げた。

 

 正義も手を握りしめ

「こちらこそ改めて宜しく」

 俺の名相棒

 と笑った。

 

 2人は迎えに来た藤堂の車に乗り込み、正義のアパートへと向かった。

 そこで渡井静子が待っていたのである。

 

 近くの小岩公団で起きた警察に言えない事件を相談されて困っている彼女であった。

 静子はふぅと息を吐き出し車が到着する音に部屋を出ると降り立った正義と真理を出迎えた。

「待っていたわよ」

 悪いわね

 

 言われ、正義は首を振ると

「いえ、それで何かあったんですか?」

 と聞いた。

 

 静子は頷いて

「取り敢えず、相談しに来た浅野さんの家へ行った方が良いと思うの」

 と言い、歩き出した。

「前に行った公団なのよ」

 

 正義は「あそこだよね」と心で呟きながら、真理を見ると

「前に宝石強盗が潜んでいた公団なんだ」

 と説明した。

 

 真理は「宝石強盗が」と言い

「まさか今回も?」

 と呟いたが、静子はそれに

「今回は違うわ」

 と答えた。

 

 公団までは歩いて10分ほど。

 2人は静子に連れられて公団に辿り着いた。

 

 静子はその中のC3棟の702号室に案内すると『浅野』と表札のある家のインターフォンを押した。

「実はここの浅野啓子さんから相談を受けたのよ」

 

 中から女性が出てくると

「渡井さん、来てくれたの?」

 ごめんなさいね

 と告げた。

 

 静子は首を振ると

「いいのよ」

 と答え

「この二人が前に話していた探偵君達なの」

 と紹介した。

 

 正義は頭を下げると

「初めまして神楽と言います」

 と告げた。

 

 真理も頭を下げて

「白露と言います」

 それで何があったんですか?

 と聞いた。

 

 啓子は三人を中に入れると

「散らかっているけど……ごめんなさいね」

 色々整理をしようと思って

 と溜息を零した。

 

 確かに部屋の中は散らかっていた。

 衣類の整理のようである。

 

 正義はそれを見て僅かに目を細めた。

「この人のじゃないよね」

 そう心で呟き

「あの、それで」

 と彼女に勧められた台所の椅子に座って問いかけた。

 

 啓子は携帯を彼らの前に置くと

「実は昨日から娘が帰ってこなくて……電話をしても出なかったので心配していたら夜遅くにこの動画メールが送られてきたの」

 と告げた。

 

 それは猿轡と両足と両手を後ろ手に縛られ何処かの部屋に監禁されている少女の姿であった。

 

 つまり、誘拐である。

 

 啓子は顔を伏せて涙を流すと

「去年、夫が事故で亡くなって……娘までと思ったら」

 でもメールには警察に知らせるなと書いていて

 と告げた。

 

 静子は困ったように

「直ぐに武に連絡を入れようかと思ったんだけど……彼女に泣いて頼まれて」

 犯人に警察に知らせたと分かったらと

「それで神楽君と白露君に」

 と告げた。

 

 真理は頷いて冷静に

「メールの文章の方を見せてもらっていいですか?」

 と聞いた。

 

 啓子は頷いて文章を見せた。

『娘は預かった。金はないと思うのでお前の家にある一番価値のある宝を持って多摩川用水公園へ12月22日の午後2時に来い。警察には知らせるな。来なければ娘は二度と帰らないと思え』

 

 真理は腕を組み

「多摩川用水公園に明日午後2時か」

 と言い

「その例えば特別なお宝を持っているとか?」

 と告げた。

 

 啓子は首を振ると

「いえ、夫は課長でしたが普通の会社員でしたし……私は専業主婦で」

 家も普通の家庭で特別な高価な宝なんて

「生活も大変なので娘と実家へ帰ろうと思っていたんです」

 と告げた。

 

 正義は立ち上がると隣の部屋の衣類を見て周囲を見回した。

 衣類が煩雑に出ている以外は綺麗に整頓され洋服ダンスの上の並んでいる写真の内の倒されている二つを手に取って立てなおした。

 

 正義は笑顔で

「……警察には知らせない方が良いですよ」

 と言い、振り向くと

「その動画の格好に一人でなることはできないので誰かに縛られたのは間違いないです」

 と告げた。

 

 真理は狂言かと思っていたので驚いた。

「え!?」

 

 正義は動画を動かし

「だって、自分で後ろ手に縛るって出来ないよね?」

 猿轡は出来たとしても

「まあ、運動選手とかそういう訓練を受けていたら別だけど」

 と告げた。

 

 確かに普通の中学生の少女が出来るとは思えなかった。

 

 啓子は目を見開くと

「そんな!」

 と顔を両手で覆った。

 

 正義は彼女に

「でも、娘さんの命に危険はないと思います」

 と言い

「かなり内情を知っているし、貴方の携帯のメールアドレスを知ってる」

 しかもアドレスがフリーじゃないよね

 と説明した。

「本当の誘拐の時は足が付かないように短時間通話が普通だよ」

 これじゃあ警察に言ったらメールアドレスから直ぐに辿れるから

「真理もそれで狂言だと思ったんだろ?」

 

 真理は頷いて

「ああ、けど……」

 と呟いた。

 

 そう、彼女の動画の姿は彼女一人では難しいのだ。

 

 正義は啓子に

「それに金が無いのがわかっていて……敢えて『家にある一番価値のある宝』と書いているので『高価なモノ』ではないんだと思います」

 と告げた。

「貴方にとって価値あるモノは何ですか?」

 

 啓子は困ったように

「それは……一番は娘です」

 私にはもうあの子しかいない

「あと……」

 と言葉を一旦切って

「ダメだと思うんですけどあの人の腕時計……で」

 と立ち上がると箪笥から布に包んだ腕時計を出してきた。

「あの人が課長に昇進した時に娘と二人で贈ったの」

 凄く喜んでくれて……事故の時にも付けていて

 と告げた。

「でも金銭的な価値はないんですよ?」

 宝石が付いている訳でもないし

 

 正義は頷いて

「俺はそれだと思います」

 と言い、整理しようと出されていた服を見て

「亡くなられた旦那さんの衣類とか持ち物を整理されようとしていたんじゃないですか?」

 きっと娘さんは悲しかったんだと思います

「貴方が旦那さんを忘れていくようで」

 と言い

「俺は貴方の気持ちも分かります」

 娘さんの気持ちも

「だから、それを持って行ってちゃんと話をした方が良い」

 貴方の思いを言い

「娘さんの思いを聞き二人が納得いく形で」

 と笑みを浮かべた。

「恐らく娘さんに協力している人が居ると思います」

 でも彼女を害する人じゃないと思います

 

 啓子は涙を浮かべて小さく頷いた。

 静子は息を吐き出し彼女を優しく抱きしめた。

「私も分かるわ」

 見ると辛くて前へ進めなくなるものね

「だからその気持ちを話したらいいわ」

 忘れるためじゃなくて前へ進みたいからと

 

 正義はそれに静子自身もそう言う思いを抱いてきたのだと感じ

「何時も助けてもらってばかりで」

 俺は何も知らなかったんじゃないのかな

 と思った。

 

 考えれば自分は一途のことも彼女のことも知らないことが多かったのだ。

 真理は自ら言ってくれるけど……それでも自分が知らないことを抱いているのだろう。

 

 翌日、時計を手に多摩川用水公園へ行った彼女は娘と向き合い話し合った。

 そして、公団を後に彼女の実家へ引越ししたのである。

 衣類などは整理したが写真や時計などは大切に実家でも飾ることになった。

 

 同時に娘が協力を求めた父親の会社の同僚の息子と深く交流することになったのである。

 

 正義はその報告を静子から聞き

「俺、ここを離れても時々帰ってきますから」

 と告げた。

 

 静子はそれに笑みを深めると

「ありがとう」

 と答え

「心ちゃんも時々一緒してくれると嬉しいわね」

 と告げた。

 

 正義は頷いた。

 年末を越えると直ぐに共通テストが待っていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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