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Lv1、召喚士の日常  作者: きょーりゅー
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Lv1、召喚士の日常 3日目

「リリアン…さん。」

「ダークエルフ!?なんだこいつ!」

リリアンさんは僕に笑いかける。そんな、だって、背中にフライパンが当たったんだよ。痛くないわけない。笑いかけるなんて、できるわけがない。

「トモヤさん、怖い思いをさせてしまってごめんなさい。」

リリアンさんは、僕を抱きしめた。周りの大人たちは、急に出てきたリリアンさんにびっくりして、少し後ろに離れた。

そして、リリアンさんは僕から離れると、大人たちの方を向いて言った。

「こんな無抵抗の子供に、何をするつもりですか!?」

「も、モンスターを連れて歩いていたんだ!!!この村に危害を加える存在だ!!子供だからって容赦はしないぞ!」

一人の大人が、声を張り上げて言った。僕はビクッとしてリリアンさんの後ろに隠れた。リリアンさんは、僕を後ろに隠すようにする。

その時、僕のお腹がまた熱くなってきた。リリアンさんを見ると、小さい声でぶつぶつと何かを言っているようだった。うまく聞き取れない。

「…バンショウ、か……いか…しれ…」

「お、お前!何をしようとしている!」

急に空が暗くなってきた、それを見た他の大人たちは、リリアンさんを見て大きな声を出した。僕のお腹は、さらに熱くなっていく。

リリアンさんが両手を上げ、そして

「果てより来たれ!!!サンダーライト!」

大きく叫ぶと、すごく大きな音がして、目の前に空から雷が降ってきた。

リリアンさんは、手を前に出し、続けて言った。

「貴方達に危害を加える気はありませんが、トモヤさんを貶めた狼藉、今回は見逃します。私たちは、村に危害を加える者ではありません。下がりなさい!!」

雷を見た大人達は、悲鳴を上げながら遠くに見える村の方へ、走って逃げていった。

お腹の熱さが和らぐと、僕はとても眠くなってきた。それに気づいたリリアンさんは、僕をおんぶしてくれた。

「ごめんなさい、トモヤさん。魔法エネルギーを使いすぎました。」

リリアンさんは僕に謝ると、ヨイショと僕をおんぶし直し、

「転移魔法を使います、トモヤさん。少し我慢してくださいね。」

リリアンさんは僕に笑いかけると、またブツブツと何かを言い出した。僕のお腹が、熱くなる。

「森羅万象、風の神カキアスの力をここに。デボリューション!」

目の前が白くなる。体が軽くなる感じがした。リリアンさんにくっついているのは、わかった。



「あれ…。」

僕は、ベッドに横になっていた。今度は知っている天井。ここは、僕たちが住んでいる古屋だ。

横を向くと、リリアンさんが台所に立っていて、何かを作っているようだった。甘くて美味しそうな匂いがする。

僕が起き上がりベッドから出ると、リリアンさんが音で気がついたようで、こちらを振り向いた。

「おはようございます、トモヤさん。今朝食の支度をしていますから、ちょっと待ってくださいね。」

「朝食?」

僕はなんでだろうと思った。だって、出かけたのがちょうどお昼過ぎくらいだったはずなのに。

僕が不思議そうにしていると、リリアンさんが朝ご飯をテーブルに並べながら教えてくれた。

「あの後、魔法エネルギーが不足していて、トモヤさんは寝てしまったんですよ。それから今までずっと寝てたんです。」

「そうなの?」

「はい、召喚士であるトモヤさんからの魔法エネルギー供給で、魔法を使いました。なので、疲れて寝てしまったんですよ。」


「いただきます。」

「アイテル様、御加護に感謝いたします。」

僕とリリアンさんは、朝ごはんを食べながら、昨日のこと、そして僕とリリアンさんの契り(ちぎり)の話をした。

リリアンさんと僕が、アイテルさんの加護によって契りを結んでいること。お友達になっていると、魔法エネルギーが共有されるということ。昨日、リリアンさんが魔法をバーンと使ったことで、僕の中にある魔法エネルギーをたくさん使ったこと。

「トモヤさんは、魔法エネルギーをたくさん持っているんですよ。でも、トモヤさん自体は、魔法をほとんど使えません。この前教えた『馳せ』という魔法は、召喚士が元々持ち合わせている魔法です。馳せ参じた契約者は、その時だけトモヤさんの魔法エネルギーを使うことができるんです。」

「よくわからないなぁ。」

「魔法原理は、魔法学校に通わないと人間は解りませんからね。私たちのような亜人族は、生まれた時から魔法と共に過ごしているので理解が早いのですけれど。」

僕はうーんと言いながら、甘いスープとパンを食べた。わからないけれど、きっと、魔法エネルギーはすごいんだなあと思った。

続けて、リリアンさんはこうも言った。

「トモヤさんは、こちらにきたばかりの可愛い新米召喚士さんですから仕方ないですよ。レベル1ですけれど、魔法エネルギーだけで言ったらレベルの桁が変わってしまいますから。」

「レベル?」

「わわ、この話もしていませんでしたね。それはまた、ご飯が終わった後に話しましょうか。」

僕たちは、お話をしながらご飯をたくさん食べた。リリアンさんのご飯はとても甘くて、なぜかお腹が熱くなったけれど、とても美味しかった。


「ごちそうさまでした」

「アイテル様、ご加護をありがとうございました。」


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