レーラ先生、お願いします!⑥
いくつもの試作品が製品に変わるが、実際に売れ行きが良い、採算がとれる商品は半分あれば良い方だ。
「売れなければ失敗作扱いだけど、まぁ、それを作るまでにどれだけの取捨選択があるかなんて、消費者には分からんよな」
「値段に見合わないものを生産して世に送り出した、それだけの話ですからね。消費者にしてみれば」
苦労が報われるかどうかと言う話をするなら、ほとんど報われない。
俺はプレイヤーであり、他でどれだけでも補填を聞かせられるので破産なんてしないけど。
個人経営のチマチマした農家であれば、ぶっちゃけ一つ二つの失敗で破産までまっしぐらだ。品種改良に挑戦なんて、やりたくても怖くてできない。
「恵まれている、だよな」
「はい。忘れないようにしないといけませんね」
ゲームだから気にせず挑めるけど、リアルで新しい品種の作成とかをしてコストに見合う結果を出す連中は、本当に凄い。
この間は乾燥した土地に耐えられる、砂漠緑化の草花を作ったとか言う話を聞いた。
なんでもマングローブのように海水で育つ草を作る為、海藻のDNAを取り込んだとか。
ゲームでは交配させる事ができない組み合わせだけに、ちょっと悔しい。
ゲームがリアルに負けるとか。あってはならないようでよくある話。
自由度という意味では、ゲームがリアルに叶うはずも無い。
それこそご都合主義だけに、できない事も多々あるんだ。
俺は俺で出来る事をするしか無い。
それだけの話だ。
俺はきな粉餅を一口で食べると、お茶に手を伸ばす。
きな粉も大豆製品だ。炒った大豆を粉にした、大豆粉よりも低カロリーで食物繊維豊富な主力商品の一つである。
もっとも、糖質について言えば小麦粉よりも高カロリーなんだけどね。
「うん。美味い」
「食べ過ぎないでくださいね」
「と、言いつつ。ラルーニャの方が食べている気がするけど?」
「女の子は、甘い物は別腹なんですよ?」
「疑問形って段階で、語るに落ちてる気がするけどねー」
甘い物に渋いお茶。
最高だね。
ちなみにこのきな粉、品種改良の時にできた大豆を使っている。
くっそ甘い大豆で作ったのだ。
きな粉にするなら、ちょうど良い甘さだけど。
だけど、そんな事を気にする奴なんてほとんど居ない。
レーラがどれだけ頑張ったのか。わざわざ主張する話じゃないんだ。
それは、俺が知っておけば良い事なんだよ。




