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海水浴場からの帰り道

 水着美女とキャッキャウフフな体験を海岸でするというのは、とても楽しい。

 さすがに3人だけで海岸を占拠して遊ぶのは面白くないから、町の連中にも水着を貸し出して祭りのようにしてみた。

 かき氷とか焼きソバや焼きトウモロコシの露店も出させて、それっぽくしている。


 人でごった返す海岸というのはリアル同様騒がしいが、それが楽しいって見方もある。

 俺はこういった喧騒の方が楽しいタイプの人間なのだ。

 遊園地や海岸は、人が多い方が楽しいのである。



 それに、だ。

 渡した水着は余り物。きわどい水着も混じっているわけで、ときおり眼福な光景が見られるのも人を呼んだ理由の一つ。

 それを着こなす方々は当然のように良い体を持っているわけで、その自信にふさわしいお姿は素晴らしいの一言。


 問題は、それを見咎めるラルーニャに抓られるぐらいだろうか。ガン見しているつもりは無いけど、視線を向ければなぜかバレてしまう。

 視線が露骨すぎる? だって、俺も男だからね。しょうがないんだよ。





 泳ぎ、出店を堪能し、俺たちは帰路に就いた。

 アセリアは疲れて眠ってしまったので、今は俺が背負っている。


「いやー、楽しかったな」

「ええ、そうね」


 海水浴場ではお約束のナンパなどは、さすがに起きなかった。

 ラルーニャの顔は知れ渡っているので、俺の前でナンパする勇者(チャレンジャー)は現れないのである。

 それ以前に、自由恋愛という概念がまだ薄いのでナンパという考え方も無いと思うけど。


 たまに「貴族は金があるけど恋愛の自由が無く、庶民は金が無いけど恋愛の自由がある」などという言葉を聞くが、実際の庶民は自由恋愛だってない。

 家の都合で結婚相手が決まるのは、貴族も庶民も変わらなかったりする。

 まぁ、ゲーム内では自由恋愛が可能なんだけど。そこまでリアルにする理由も無いので。



 一応、このゲーム内ではフリーの女性であればそこそこ声をかけられる、はずだ。

 ラルーニャのように顔と名前が売れている人妻やアセリアのような幼女が声をかけられないのは良いとして……。


「……」


 レーラは憮然といった表情で一緒に歩いている。

 ナンパを全くされなかった事が、地味にダメージとなったようだ。


 そしてその理由というのが。


「納得いきません。なぜ私が愛人枠なのです。そんな事実は全く無いというのに」


 これである。


 レーラの側から声をかけていたようだが、それでも上手くいかず、なぜと答えた中に「レーラが俺の愛人だから」という意見があったのだ。

 俺もそういった事実は無いのだが、やはり重用している、仲が特に良いというのはこういった時に誤解を受ける。



 俺とラルーニャは、この日はレーラの機嫌を取るのに終始したのであった。



 ……そしてそれが理由で、また周囲の誤解が深まるのであった。

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