それいけアセリア探検隊⑤
「ああ、これはアセリアでないと気が付きにくいかな」
アセリアが見つけたのは横穴だ。
大人が何とか通れる程度のサイズでありながら、岩の配置などにより、かなり低い位置から見ない事には見つけられない、そんな横穴であった。
洞窟が暗く、『ライト』の魔法で道を照らしているが、それでも死角は出来てしまう。
むしろ、照らした光で闇が濃くなり余計に分かりにくくなる部分もある。
これまでは全員大人だったので灯りの位置が高く、闇に隠されていた。
しかしアセリアという子供がいた事で低い位置も照らされ、横穴の存在が見付かったのだ。
「お手柄だな、アセリア」
「えへへー」
俺はアセリアの頭をなで、褒める。
アセリアは役に立ったと褒められたことで嬉しそうに笑った。
当たり前だけど、アセリアを撫でる手は壁に触っていない乾いた手である。
べたべたの手で撫でるのは嫌がらせだからねー。
もしかしたらこっちが本命である可能性もある。
本道は、いま整備を進めているルートで間違いないが、謎の水没はこの横穴が関わっている可能性がある。
調べる価値はある。
だけど。
「おにーちゃん、中には何があるのかな?」
「んー。気にはなるけどね、今日は駄目」
「え?」
「他の人に話をしていないからね。まずはみんなにも教えてあげないと」
「あ! はーい!!」
勝手な事をするのはNGだ。
大発見であるが、探索するのはみんなに話して、計画を立ててから行くべきだろう。
「見つけたので探索してきました」などと、事前の予定を狂わせるのは子供のする事だ。勝手な行動をしてはいけない。
一応、魔法の灯りを飛ばして先を確認すると、本道よりも海水が多く流れ込んでいる。
水深は膝下ぐらい。
もし探索するなら、膝下ぐらいまで海水に浸かりながら歩かないと駄目なようだ。
俺は横穴の存在が分かるように旗を立てておくと、この日の探索を早々に切り上げて洞窟の外に出るのだった。
色々と準備しないといけないからね。
探検は楽しいが、無為無策に突っ走る趣味は無いからな。




