海で泳ごう
「おいおい、こんなのまであるのかよ」
俺は運営が侘びとして送りつけてきた水着を手に、呆れた声を出した。
ラルーニャは手にした水着(?)を見て、顔を赤くして絶句している。
俺が持っているのはマイクロビキニ。
ラルーニャが持っているのは……ヒモ? ツッコミどころが多すぎて何も言えない。
少なくとも、人前で着るには勇気が要ると言うより、羞恥心を捨てられるかどうかだろう。
この場にいるのは俺とラルーニャの二人だけ。
こんな子供の教育に悪そうなものをアセリアに見せずに済んだので、正解だった。
子供には、まだ早い。
こういったアイテムはジョークグッズではなく、18禁にならないギリギリのエロスを追求するプレイヤーの為に用意されたものだ。
NPCをただの人形として見ることが出来る勇者ならいざ知らず、俺にはこれを着てくれと頼む事は出来ない。
色々と、捨てたくないものが俺にもあるのだ。
だからさすがにアウトと言いたくなる品を横にどけ、使えそうなものをピックアップ。無難な、一般的なものを選んでみる。
今の俺なら、ちょっと大胆なビキニでも普通の水着と思えるはずだよ。
感覚が狂ってしまったかもしれない。
忙しい時間の後の休暇。
ちょっとしたレクリエーションのつもりで、海に行こう。
そんな計画を立てたのだ。
「これなら大丈夫だと思うけど、どうだ?」
「いいわねー。パレオを合わせればそこまで恥ずかしくないかも」
ラルーニャにビキニを勧め、着れそうかどうか確認してみる。
ラルーニャはそのままだと恥ずかしいが、もう少し布地を足せばなんとかなると俺に返す。
なら、ラルーニャはこれでいいか。
俺はアセリア用にフリルの付いたワンピースを、レーラに別のビキニを確保し、海遊びの準備を終えた。
ただし。
なぜかレーラはスクール水着をいたく気に入り、それを着用することになった。
頑丈そうな分厚い布地が気に入ったポイントである。
……見た目はどうでもいいのかと言いたい。
それでいいのか、年頃の娘さん。
おしゃれ方面でレーラがちょっと心配になる俺だった。