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ツイッターという宇宙

 

 

 小説家と一口に言っても色々な方がたくさん居ます。数えた訳じゃないけれど、プロアマジャンル問わなければ小説家の大半はWeb作家が占めてます。断言します、間違いない。IT技術の進歩により、小説をいくらでも世界中に手軽に発表できますからね。すごく便利な世の中です。ただ、世界中に発表したといってもほんとにそれこそ宇宙のように広く膨張し続けているインターネットの世界ですから、読者さんに自作を見つけてもらうのにも一苦労な訳です。


 小説家になろう内での話に限ってお話しますと……。

 読者さんが作品に出会う切っ掛けの中の一つに「小説家になろう」内ランキングがあります。そこに載れば絶大な集客効果があるのは皆さんご存知かと思いますが……ランキングに載るのは容易な事ではありません。何をいまさら、とお思いでしょうが、ご容赦くださいませ。

 普通に掲載しているだけでは読者さんがなかなか来ないから、沢山の人の目に留まる為になんとかランキングに食い込みたい。しかしランキングに載るには沢山の人に読んでもらってポイントを入れてもらうしかありません。


 うーん。


 小説家になろうで活動されている方の殆どが感じているであろう閉塞感の正体……ジレンマ、そして上と下の格差社会。ランキングに載っている作品はそれだけで露出が多いのでその分ポイントが入る機会も多く、その結果上位が固定されやすい。今の日本社会の縮図みたいだな……。


 しかしこれは、本当に面白い作品だったり、読者層のニーズにしっかり応えていたり、宣伝上手な読者さんの口コミを味方につけたり、色々なアプローチで上層に斬り込んでいっている方も沢山いらっしゃると思うので、ひがんだりするよりは「人事を尽くして天命を待つ」という言葉が適当かな、と思います。とにかく地道に面白い作品を書いて、書いて、書き続ける。読者さんを味方につけて、その時を待つ。それが王道スタイルっ……!

 

 前置きが長くなりましたが、その「人事」について様々なアクションが存在している事を取り上げて行きたい。

 あのですね、さっきと言ってることが微妙に食い違っているんですけど、どれだけ面白い感動大作だろうが、手に取って読んでもらわない事には面白さは伝わらんのです。まず表紙に触れさせて、そしてあらすじを読ませて、ページを開かせないといけない。それをしてもらうために、Web作家たちはあの手この手で営業活動コマーシャルをするわけです。今回は、そんなインターネット上で繰り広げられている苛烈な小説家達の熱い活動の現状報告と、個人的な所見をつらつらと綴らさせていただきたく存じます。



 その一。飛び込み営業型。

 作者本人が作品のURL片手に個人個人に直接出向いて「絶対に面白いので読んでください! お願いします!」と宣伝するわけです。私も何度かこういう自薦を受けました。人によるとは思いますが、私はこういうのがなかなか好印象に感じるタイプで、男らしいと言うか、「じゃあせっかくなのでちょっと読ませてもらおうかな」って気になります。そこから気に入るか気に入らないかは全く別の話ですけどね。


 その二。あなたの作品読んだから私のも読んでね型。

 これはなんというか、難しいですね。凄まじく露骨なケースで「面白かったです! 俺の小説も読んでください!」っていうシンプルなコメントを送ってこられた方が居ました。

 ……うん、絶対読んでないよね。

 これも私個人の話で申し訳ないんですけど、効果は時と場合によります。普段から交流があって、でも作品は読めてなくて、みたいなのだったらこれを機会にって感じで読みに行ったりすることはよくあります。逆に私が拙いながらも感想を書かせていただいた時に、こちらの作品を読んで下さる方が時々いらっしゃるので、やらしい話、効果があると言えばあるのかな……。ただ、その報酬目当てで上っ面の感想だとかレビューを書いても下心はきっと見透かされます。単純に様々な作品を発掘して真摯に向き合い楽しむ、という過程で感想を残していけば、そういった交流は後からついてくるのだと思います。お互いに良い所を見つけられるような創作仲間が見つかるといいですね。


 その三。えーい、ここいらでタイトル回収だ。ツイッター営業型です。

 皆さまご存知のツイッター。このツイッターはね、本当にもう、いろんな意味ですごいっす。一応前もって書いておきますが、私もツイッターユーザー登録していますし、基本的に楽しく利用しています。バカな事ばっかり呟いていますが、ツイッターのお陰で交流が増えましたし、面白い作品に出逢うこともできました。優しく面白い方々に囲まれて楽しいです。

 ところでネット小説家の方々には、ツイッターを宣伝のツールとして利用されている方が多いです。というか、宣伝にしか使っていない方すら沢山います。では少しだけ、このツイッターでの小説家達の活動を掘り下げてみます。

 

 ツイッターとネット小説家の組み合わせで起きていることその一、宣伝bot。

 botって何かって言うと、自動で呟くアカウントの事ですね。設定すればどなたでもできます。数分おきとか数時間おきに、登録した文章を勝手に呟いてくれます。たとえば、

『クラスカースト最下位だった俺が、クラスごと異世界に転移した結果唯一の勇者だった件について! 好評連載中です!URL→http://www.narounarou(偽URL)』

 と登録しておけば、定期的に上記の文章をツイッター上に流してくれるのです。お、便利じゃんって思う方ももしかしたら居るかもしれませんが、その方のタイムラインを覗いたら同じ文章だけひたすら毎日呟いてたりするので人間味が無くて正直なんだか小説にも近寄りがたいです。しかもちょっと前に一度リンクを覗いてみたら小説が存在しませんって出て来たし。幽霊宣伝bot……。

 

 ツイッターとネット小説家の組み合わせで起きていることその二、リツイートにはリツイートで返す。

 リツイートって何かって言うと、簡単に言えば、Aさんが呟いた内容を、Bさんが自分の友達に対して「Aさんっていう人がこんなこと言ってますぴょん」っ通知することができるわけです。リツイートされると、友達の友達へ自分の呟きが表示されるので、そうやって友達の友達の友達の友達の……って遠いところまで自分の呟きが届く場合があります。皆さんご存知だと思いますけどね。

 つまり。自分の小説を宣伝している呟きをお友達にリツイートしてもらえたら、まわりまわっていろんな人の目に留まって、興味を持った人が読みにきてくれるかも! という夢だらけのシステムです。

 ちょっと余談というか、逸れた話になりますけど、少し前に世界中をにぎわせたピコ太郎のPPAP、ジャスティンビーバーがツイッターで「なにこれ最高にクールだよハハハ」みたいな感じで動画紹介を呟いた結果爆発的に伸びたっていうのは有名な話ですよね。何がどう影響して人気が出るかわからないものだなぁと改めて思い知らされました。まさにツイッタードリーム。

 可能性はうっっっすいですが、リツイートし続けてもらうことでそういったチャンスが巡ってくるかもしれません。ピコ太郎ほど巨大な当たりはまずないとしても、すごく自分の作品を気に入ってくれる方がリツイートを通して現れるかもしれない。だからWeb小説家達はリツイートしてもらえるとありがたいのです。そして、リツイートしてもらえたらリツイートで返す、というのがWeb作家同士でのある種のお決まりみたいになっています。

 しかし。しかしですよ。何千何万と存在するであろうツイッターユーザーのWeb小説家達がお互いの創作宣伝をリツイートしていったら、こりゃあもう大変です。宣伝が入り乱れます。そして短時間で沢山リツイートすることによって、ツイッターの性質上最初の方にリツイートされた宣伝はあっという間に下の方に流れていってしまいます。あらら。

 何が言いたいかって言うと、ひたすらリツイートするのはあまり効果がないのではないかな、ということです(かなりマイルドに書いてます)。

 自分が読んだことのある作品をリツイート、もしくは自分の言葉を少し添えてフォロワーさんに紹介する、くらいにしておきたいな、と私は思ってます。ですので「伊勢の作品紹介をリツイートしたのにお返しが来なかった! 失礼な奴!」という方が居らっしゃったならば、不快にさせてしまい申し訳ないです。作品を拝読することが出来た日には、改めてリツイートさせていただきます……。お許しを。

 

 ツイッターとネット小説家の組み合わせで起きていることその三、というか、その二の中で少しディープなところに突っ込んでいくんですけど、近頃ね #rtした人の小説を読みに行く っていうハッシュタグをちらほら見かけるんですよ。

 あ、毎度のごとく解説すると、rtっていうのはリツイートの略です。ハッシュタグっていうのは話題のカテゴライズ的な役割を担う機能です。例えば #小説 ってつけて呟けば、同じハッシュタグをつけている呟きをすぐに見つけることが出来ます。だんだん説明が雑になってきたな。

 話を戻しますが、このタグがえらい人気で、すごいのだとリツイート数が200とか300とかまで行ってたりします(本当に全部読んでるんだろうか……)。一回、「読むの遅いので先着三名様限定で」って注意書きを添えてこのタグを呟いてみたんですけど、三を超えてもポチポチとリツイートされてました。おそらくこのタグで検索して、注意書きを読まずに片っ端からリツイートしている方がいらっしゃるのでしょう。みんな読者に飢えているのです……。インターネット上にいる小説家達がいかに飢えているか伝わってくる生々しいタグです……。

 ここで考えるのは、「読む側も良い作品に飢えている」という事でしょうか。冒頭あたりで書きましたが、ランキングに載っている作品は固定されがちなので、読むのが速い人ならばだんだんと目新しいものがなくなってきます。よって、さらなる良い作品を開拓する為に、自分の好みのジャンルでタグ検索してみたり、別の小説サイトを巡ってみたり、こういったタグをつけて小説を手元に集めてみたりしているのではないでしょうか。

 だけど裏を勘ぐってしまうのが私のちょっと悪いところ。というのも、このタグをつけて、さらにこう付け加えて呟いている方を時々拝見しました。

「自分の作品を読んでくれた人限定」「自分の作品はこれです(URL)」

 つまり前述の「あなたの作品読んだから私のも読んでね型営業」をツイッター上で実践している方々です。


 やめなされやめなされ、こういう行為はやめなされ……と頭ごなしに言いたい訳ではないんですよ。こういうところからも素敵な交流が生まれたりしますからね。ただ……、ただね、友達の友達に拡散してもらうような「リツイート」を募る前に、ツイッターで相互フォローしている方の作品を先に読んでみれば良いのにな、なんて思ったりするわけです。だいたいプロフィール画面にURLが掲載されているから、ツータップでその人の小説が読めます。

「読みますよ」っていう甘い言葉を纏わせてリツイートを稼ぎつつ、その裏には自作の宣伝を潜ませていた、という実態に少し違和感を覚えた方も居るのではないでしょうか……。あれ、私だけ……?


 ぼやき出すと止まらないのでここいらで無理やりストップで……まぁ何にしろ、ツイッター上の小説家達は、度合いに差はあれど、あの手この手を尽くして自作に読者さんを呼び込もうとしているわけです。すごい情熱です。

 宣伝しまくるのも良いですが、自作の校正をして完成度を高めたり、新しい作品のネタを考えたり、そういう部分にもしっかり情熱を注いでいきたいものです。

 

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[一言] 面白かった(funnyじゃなくて興味深いinterestingのほう) 「飛び込み営業型」「好印象」のところ、 他のなろうエッセイで、事前交流なく初手でメッセージ送られてくるの「怖い」「通…
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