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レベル4

作者: Q作くん

 簡単な話なんです。移民が職を奪う。A・Iが職を奪う。だったら、職を増やせばいいんです。細分化ってやつですよ。例えば、殺人。法治国家においては罪であるところの殺人を、人口増加地帯(エリア)において「人口管理」という職種として認めてしまうのです。中国では、人口増加に対応するために、「一人っ子政策」を実施しましたでしょう。アレと一緒です。

 人口増加地帯は、主にアフリカなどの発展途上国になりますから、人口管理職に就くためにはパスポートと職業ビザは最低限必要になりますね。え? 人材は現地調達したほうが費用(コスト)がかからない? それはそうですが、それだと「他国の人間に職を奪われる」という解釈に繋がってしまいます。ですから、採用対象はあくまで先進国でくすぶっている人間といたしましょう。


 僕が人口管理職に就いて今年で3年目。今では相手の胸にナイフを突き立てることも、命乞いする相手の眉間に銃口を突き付けニヤつくことも容易にできるようになった。業務目標50に対して、1月現在、実績54。上司からは、特別賞与の話を聞かされている。

 これも、最近会社から業務効率UPのために支給された新作駆除機のおかげだ。一つのトリガーで扇状に広がった8つある銃口全ての発射を制御。藤重工が開発した、通称「ブブカ」。弾丸もブブカ専用の散弾式で、コイツのおかげもあり複数人の駆除も一人で可能になった。同時発射と連続発射への切り替えも弾倉横のスライド式スイッチ一つで可能で、撃ち手への気遣いも忘れられていない。これぞメイド・イン・ジャパンと呼べるコイツが、僕の相棒だ。昔使っていたコルトパイソンは、昨年末にできた後輩に譲った。

 僕は今、とても充実している。

「レベル4、レベル4。繰り返す、レベル4」

 サイレンと共にアナウンスされたレベル4。事務所内が慌ただしくなる。事務の内田さんは日本国へ緊急連絡を行い、所長の泉さんは金庫を開けて中から回転式小型電磁砲を取り出す。他の所員も、各自ロッカーへ急ぎ装備を整える。

「先輩、レベル4って?」

 後輩にとっては初めてのレベル4。いい経験となるか、それとも――。

「今日はコルトのほかにショットガンと手りゅう弾も持っとけ。あっ、あと防護マスクな」

「何なんすか、レベル4って」

「お前が映画やゲームでしか観たことない災悪の襲来だよ」


 簡単な話ですよ。お財布ケータイ、SNSによる個人レベルでの気ままな情報発信etc。それらが、どれだけのリスクを孕んでいるかなんて、普段は気にも留めないでしょう。怖いものですよ、順応能力(アダプテーション)っていうのは。


 

 



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