第10章 琥珀と女王
●これまでのお話
ヴァイキングの王子にされた猫の誘拐未遂で投獄されたエレン。家出した本当の王子を探すことを条件に、牢から出されるも、見つけた王子は、妖精の女王に「年をとらない」呪いをかけられ、帰るに帰れないという。呪いを解くため、エレンは「薔薇の種」を探すが、それはもっとも入手困難な場所にあってーー
葵色の空が藤紫色に変わる頃、エレンとオレグとロロは、妖精岩の対岸の茂みに身を潜めていました。騎士であるリンが、今宵の宴の会場まで妖精の女王をエスコートするので、密かに尾行してほしいというのがエレンたちに与えられた使命でした。しかし小川の向こう岸には着飾ったリンがいるだけで、女王は一向にお出ましになりません。
「もしかして計画がばれちゃったんじゃない」
オレグは痺れを切らしました。
「まさか! ただちょっと手間取っているんだよ。ほら、女の人って準備にすごく時間がかかるだろう?」
エレンがこう切り返すと、オレグはよく分かるよという風に、すっぱいものを食べたときの表情をしてみせました。
「うちの母ちゃんもすごく時間がかかるんだ。大して変わらないのに」
すると、ロロはすかさず訂正を入れました。
「違うよ、ひどくなるんだ」
きょうだいがくっくっと笑っていると、対岸から音のない風が吹いてきて、小川にドレスのフリルのようなさざ波が立ちました。
「しっ! 女王だ! 妖精の女王がきた!」
三人は逸る気持ちを抑えて、息を潜めました。目だけは妖精岩から外さずに。
静まり返った森に、目眩のするようなライラックの香りが立ちこめると、七つの妖精岩に向かって、リンはそれぞれ違った美しい所作をしました。するとどこからともなく光の粒が漂ってきて、リンのまわりで群れたり離れたりしながら、やがて眩いばかりの光のかたまりになりました。そしてちょうどかたちも大きさも人間の女の人くらいになると、青白い強い光は穏やかな光に変わって、取り囲む妖精岩を白く際立たせました。それはまごうことなき妖精の女王、その人でした。背の高い花の王冠で飾られた豊かな銀色の髪と、見透かされるような海のグレーの瞳。ほっそりとした身体には、金糸と銀糸の繊細な刺繍の入った、象牙色の裾の長いドレスをまとっています。
「今宵もますます美しい。日々美しさを増すあなたに敵う人はいるだろうか。シンシア?」
リンが潤んだ目で見つめると、妖精の女王は冷たく微笑しました。
「今晩は金木犀を観にいきましょう。でも急いで。嫉妬にかられた私が乙女を穢す前に」
女王がリンの手を取ると、ボラーンボラーンと音がして、二輪のツユクサはたちまち紫の草馬になりました。そしてあっという間に二人を乗せて駆け出しました。
エレンたちが金木犀の園に着いたのは、ちょうど妖精たちの歓迎の音楽がはじまったときでした。スイカズラのラッパに、ヒガンバナのヴァイオリン。トケイソウのマリンバ。ホオヅキのランプに照らされた玉座へ続く小道を、騎士に手をひかれた女王がしゃなりしゃなりと進んでいきます。
「皆さん、今夜も私のために集まってくれて感謝します。今日はいまを盛りと咲き誇っている金木犀を愛でる会にいたしました。どうぞ心ゆくまでこの甘美な香りを楽しみましょう」
女王はカラーの花の杯を掲げました。すると女王と違って花くらいの大きさしかない妖精たちは、妖精のお酒が入ったツリガネソウのカップでめいめい乾杯をしました。いよいよ宴のはじまりです。
「原始の海の君。今宵はひとつ、飲み比べをしようではありませんか」
そういってリンは、女王の杯にお酒をなみなみ注ぎました。すると妖精の女王は小さな白い歯を見せて、あっという間に飲み干しました。そして琥珀の指輪が光る手で瓶をとると、リンの杯にも同じだけ注ぎました。そこでリンは負けじとぐいっと飲んでみせました。リンがなぜこんなことをしているかといえば、それは件の琥珀の指輪を盗むためでした。リンは女王とお酒の飲み比べをして、女王が酩酊しているうちに指輪を抜き取ろうと考えたのです。
しかしこの飲み比べは、予想をはるかに越えた壮絶な戦いになりました。リンはもう相当前からふらふらしているのに、女王は顔色ひとつ変わらないのです。しかし考えてみれば当然です。妖精のお酒を何千年も飲んでいる女王には、ここ最近飲むようになったリンより断然分があるに決まっています。けれどもリンのこの無謀な挑戦はしだいに周囲の耳目を集めて、もはや宴にいる誰もが固唾を飲んで見守るようになっていました。
最初それは女王とリンの二人の間のことだったのに、いまや女王が一杯飲むとリンだけでなく、その場にいる妖精全員が一杯飲みました。そして酔っぱらった妖精たちは、男を見せろとか、最初の飲みっぷりはどうしたとか、容赦ない罵声をリンに浴びせて、リンが酔いつぶれることを許さないどころか、女王が飲む前に何杯も飲ませるまでになりました。そんなわけで、リンが酔いつぶれそうになったらエレンたちが小石をぶつけるという作戦は、しばらく実行に移す必要がありませんでした。
そんな茶番劇が数時間も続いて、まわりの妖精がみな酔いつぶれた頃、リンは手に小石が当たってはっとしました。いつの間にか眠ってしまったのです。
「まだだ。まだ終わってないぞ」
そう言って女王の杯にお酒を注ごうとして、リンはふと手をとめました。女王はカラーの杯を抱くように、すやすや眠っています!
リンはまどろんだ顔を冷たい清水にそっと浸けると(手が冷たいと気づかれるかもしれないので、手を使わず顔をじゃぶんとつけました)、女王の中指に光る琥珀の指輪をそっと抜きとりました。指輪は女王の体温で生暖かく、黄金色の石には女王蜂が入っているのが見て取れます。指輪を胸のポケットに入れると、リンはそおっとその場を抜け出しました。
金木犀の園をあとにした一同は、リンの昼間の住処である樫の木までようやっとたどり着くと、泥のように眠りました。子どもたちは昨日も徹夜をしていましたし、大人のリンも意識が飛ぶくらいお酒を飲んだので、王子様には似つかわしくないひどい鼾をかきました。けれどもエレンたちも深い眠りに落ちていたので、誰もそれには気がつきませんでした。
最初に目を覚ましたのは一番年若のロロでした。
「みんな起きてよ。もう日はだいぶ高いんだから」
エレンが自分はどこにいるのかしらと考えていると、リンが大きな声を上げて、大の字でぐっすり眠っていたオレグも飛び起きました。
「太陽はもう南の空を下り始めている! 日が暮れたら、妖精の女王が目を覚ますぞ!」
蜜蜂の巣に向けて、一同は慌ただしく出発しました。
蜜蜂の木に着いたのは、太陽がかなり西に傾いて、あと二時間もすれば完全に夜になる頃でした。
「蜜蜂のコロニーよ、大切な話が会ってここへ来た! 友好的な使者を遣わしたもう!」
リンが大声で呼びかけると、昨日一同を襲おうとしたあの働き蜂が、仲間を数匹引き連れてやってきました。
「また来たのか。懲りないやつめ。陛下ならまだ戻られていない。なにしろお前の女主人の虜になっているのでな」
働き蜂は皮肉をたっぷり込めて言いました。
「分かっています。しかしもし女王陛下をお連れしたと言ったら、お話を聞いてもらえますか」
「なんだと! 信じられん。しかし本当ならもちろん取引に応じよう。何が望みだ。もっとも私たちのコロニーで奪えるものは既に殆ど奪っているが」
「あなたたちのものをいただくつもりはありません。ただ私のものを返していただきたい」
「私のもの? それは何のことだ」
働き蜂は落ち着かなそうに飛行のリズムを変えました。かなり警戒しているようです。
「妖精の女王が薔薇の種を預けたと思うのですが」
「薔薇の種? そんなものは見たことがない」
エレンは思わず、聞き直しました。
「種といっても実に入ったままかもしれません。薔薇の実が巣にありませんか」
「本当に知らないのだ。我々だって女王を還してほしい。嘘をついたりはしない」
働き蜂の誠実な黒い目を見て、エレンはそれが本当だと分かりました。そしてそれはリンも同じだったようで、ひどく狼狽しました。
「ないのであれば仕方ありません。薔薇の種はともかく、女王陛下にはお帰りいただこう」
そう言ってリンは女王蜂の入った琥珀を働き蜂たちに差し出しました。すると部下の働き蜂たちは、声をあげておいおい泣きました。
「こんな姿になられて、おいたわしい!」
「妖精は陛下になにをしたのだ! 妖精を八つ裂きにしろ!」
働き蜂たちは女王蜂の入った琥珀をリンからかっさらうと、木のてっぺんまで浮上しました。それはさながら棺を担ぐ葬列のようでした。
「お前たちのせいでないことは分かっているが、もうお前たちとは関わりたくない。仲間たちの気持ちも察してくれ」
琥珀にすがる仲間たちを見て、働き蜂の長は頭を垂れました。見れば、その数はだいぶ少なくはなりましたが、哀悼の意を表明する蜂たちがあとからあとから出てきて、女王を囲む蜂の群はいまや小さな黒い雲のようになっています。
エレンたちは女王が巣に戻れば、魔法が解けて琥珀から出られるとばかり思っていました。しかし琥珀に閉じ込められたまま動かない女王や、それを嘆く蜂たちを見ているうちに、それがもう手遅れであることが分かってきました。妖精の女王は女王蜂を幽閉していたのではなく、とっくに殺害していたのです。エレンたちは、誰からともなくその場から離れはじめました。しかし小さいロロだけは死ぬということが分からなかったので、ただぼんやりと蜂の球を見上げていました。そしてふと雨が降ってきたよ、とこの子は言いました。
「雨だって? こんなに晴れているのに!」
オレグはこんなときに間の悪い発言をした弟に腹を立てました。
「嘘じゃないよ。僕の顔に当たったんだ」
「わかったわかった。とにかくもう行かないと」
オレグはロロの手を引いて、無理矢理歩かせはじめました。しかしエレンは何か胸騒ぎがして、空を見上げました。すると目の前に液体が落ちてきて、エレンは慌てて目をつむりました。それはオレグの頭にも落ちたようで、オレグは小さな悲鳴をあげています。エレンは頬についた液体を手で拭いました。それはなにかどろっとした褐色の液体で、エレンは手で庇を作ると、視線を空に戻しました。
エレンは思わず息を飲みました。蜂でできた黒い雨雲から本当に雨が降っていたのです! 普通の雨に比べれば、大きくてまばらな雫ですが、天から降り注ぐ液体を雨と呼ぶなら、間違いなくこれは雨です。しかも一粒一粒が、夕陽を受けて宝石のように輝いています。
「蜂たちの球の熱で呪いが解けたんだ!」
両手に琥珀の雨を受けながら、リンがやってきます。彼によると、この黄金の雨は、雲を構成する蜂たちがせわしなく飛び回って作られた熱で解けた琥珀なのでした。
「蜂が降らせた金の雨! なんてすてきな雨なんだ!」
いつの間にか戻ってきたオレグは、エレンの手をとって、喜びのジャンプをしました。
「ねえリン。はちみつが降ってるの?」
服の裾を引っ張るロロを、リンはよいしょと抱き上げました。
「甘い樹液もあるけど舐めない方がいい。なにしろずっと昔のものだからね」
「この島が冷えて固まったくらい?」
リンはとびきりのウインクをすると、ロロの手だけを持ってぐるぐるまわりました。するとロロはプロペラみたいにその場をぶんぶん飛行して、きゃっきゃと笑い声をあげました。
琥珀の雨が全部降りきってしまうと、近衛兵を付き従えた女王蜂が一同のもとにやってきました。それは紛れもなく、指輪に囚われていたひと際大きなあの蜂でした。
「片方の森の騎士、そしてそのお友達のみなさん。話はみんな聞きました。助けていただいて本当にありがとうございました。おかげでコロニーは滅びずにすみます」
女王蜂は王冠をいただいた頭を恭しく下げました。
「お礼なんてめっそうもない。僕は妖精の女王に遣えていた身です。それに知らなかったとはいえ、大切な王乳を食べてしまいました」
「女王に反抗して私を救い出してくれたいま、あなたはもう妖精の騎士ではありません。それに私が救い出された今、もう妖精の女王に王乳を差し出す義務はありません。これから作る王乳を、私の時代が終わりに近づいた頃、次の女王に与えればよいのです」
女王の黒曜石の瞳にあるのは慈悲と友愛だけでした。
「森の騎士。いまお話したように、私たちの命には限りがあります。それをあなたは哀れだと思うかしら」
「そんなことはありません。むしろ羨ましいくらい」
リンは感情が高ぶって、女王に対する礼節を欠きましたが、女王はそのことを咎めませんでした。
「ではもし選択を迫られたら、このまま不老不死を享受するのではなく、死すべき運命を選びますか?」
「僕は人間です。それが当然でしょう」
リンが凛と答えると、女王は微笑を浮かべました。
「あなたはそう言ってくれると信じていました! さぁ、あれを!」
女王が合図すると、働き蜂の長が蜜蝋でできた小箱を持ってきました。蓋をあけると、中にはつやつやとした真っ赤な薔薇の実が入っています。
「女王陛下、これは」
「臣下のご無礼、お許し下さいね。私が秘密の王台に隠させた唯一の蜜蜂が死んで、彼女たちはそんなものがあることも知らなかったのです」
リンは首を横に振って、感謝の気持ちを何度も口にしました。すると女王蜂は伏し目がちにこう応えました。
「さきほどは偉そうなことを言いましたが、死すべき運命を受け入れられなかったのは私も同じ。私はそのせいで妖精の女王の虜になりました」
蜂の世界では、結婚できる雌は女王だけですが、彼女と結婚する雄の蜂は、結婚した一夜しか女王と過ごすことができません。花婿は翌朝には死ななければならないのです。しかし女王蜂はそれを受け入れることができませんでした。
「私は愛するひとの運命を変えたかったのです。しかし妖精の女王は私を騙して、琥珀に閉じ込めました。私が何も感じなくなれば、ともに生きられない悲しみもないだろうというわけです。しかしおかげで私は、愛するひとにお別れができなかったばかりか、彼の子どもたちを危険にさらしてしまいました。だからあなたには同じ過ちをしてほしくないのです」
女王蜂がそう言うと、先ほどとは別の働き蜂が、透明な液体の入った小瓶を持ってきて、しずしずとリンに差し出しました。
「これはこのコロニーに伝わる毒。私たちはこれを針に塗って敵から国を守っています」
「どうして僕に?」
「本来なら門外不出。いたずらに使うことはなりません。しかし本当に危機に陥ったとき、何かの役に立つかもしれません。毒を以て毒を制すといいますから」
リンは深くお辞儀をして小瓶を恭しく受け取りました。しかしその手が小さく震えているのをエレンは見逃しませんでした。と、突然、背後で大きな悲鳴があがりました。
「うわぁ!」
振り返ると、一匹の大きな熊がロロを庇うオレグに襲いかかっているところでした。オレグはすでに腕から血を流していて、顔は真っ青です。
「オレグ!」
エレンが叫ぶと、熊は視線をこちらに移して、その海のグレーの瞳をかっと見開きました。それが妖精の女王の昼の姿であることは、エレンにもリンにもすぐに分かりました。
「指輪がなくなったことに気がついて追って来たんだな。僕が囮になるから、オレグとロロを木の上に!」
リンはそう言って、蜜蜂の木から遠ざかるように走り出しました。エレンは足ががくがく震えていましたが、手で足を持ち上げてでも二人を助けなくてはいけません。エレンは心を鞭打って駆け出しました。
腕を負傷したオレグを、ロロと協力して木に登らせてしまうと、子どもたちは嫌がおうにもリンの動向を見守らなければなりませんでした。しかし戦況は決して芳しくなく、いまはなんとか逃げ果せていますが、リンが女王の手に落ちるのは時間の問題です。
「このままじゃリンがやられちゃう!」
ロロが泣きべそをかくと、オレグは無駄だと分かっているのに、自分が助けると豪語しました。
「いま助けにいってもみんなやられるだけだ。なにか作戦を立てないと」
「そんなの、分かってるよ! でも早くしないと・・・!」
大きな黒い塊が、ものすごい勢いでエレンたちの横を飛んでいったのはそのときでした。それは、この木の蜜蜂の呼びかけで集まった、この森の蜂たちで組まれた義勇軍で、鉄砲玉のように熊へ突っ込んでいきます。
「熊がリンから離れた!」
群がる蜂を振り払うのに熊が精一杯なのを見て、ロロは興奮気味にオレグの肩を揺すりました。
「喜ぶのはまだ早い。味方はどんどん減っている!」
エレンが指摘した通り、熊への毒針攻撃はリンへの関心を削ぐという点では一定の効果を上げていました。しかしこの作戦は、個々の蜂の捨て身の攻撃があって初めて成立します。そのため熊のまわりには、攻撃して命尽きた蜂たちの死骸がぱらぱら降り積もっていくのでした。しかも熊は煩わしそうではありますが、弱っている素振りはまったく見せません。
このままでは、熊からそう遠くないところで気を失っているリンに、再び牙が向けられるのは時間の問題です。一同は再び意気消沈しました。すると総指揮官を務めていた女王蜂が戻ってきて、叱咤激励しました。
「何をしているのです。仲間が戦っているうちに、早く騎士を連れてお逃げなさい」
エレンたちがそんな卑怯なことはできないと伝えると、女王は冷静沈着に言いました。
「私たちのことを気にする必要はありません。私の臣下は減ってしまいましたが、女王の私さえ無事ならばコロニーは維持できます。そしてそれは協力してくれた他のコロニーも同じなのです。さぁ仲間の死が無駄にならないうちに早く!」
女王蜂に檄を飛ばされ、エレンたちは無我夢中で片方の森から逃げ出しました。手傷を負ったオレグがいる中、どうやって失神したリンを運んだのか、誰も思い出せないくらい必死に。しかしそんな朦朧とした中でも、エレンの記憶に鮮明に刻まれるものがありました。
それは、ブーンと低く響く特攻隊の羽音と、気高くも儚く墜ちていく蜂たちをものともしない、凶暴な熊のシルエット。それから紫色の空を切り裂く妖精の女王の呪いのことば。
「薔薇の種を取り戻したところで、お前の時は止まったまま。臆病者のお前が、真実の愛と英雄的死を手にして、再び時を刻むことはない。しかしお前は愚かにも私を怒らせた。いままでは不憫に思い、手をこまねいていたが、こうなればお前は私の生贄。死の行進が迎えにゆくその日まで、ありあまる時を使って逃げられるだけ逃げるがいい! しかし逃げれば逃げるほど、怯えて過ごす時は長引くだろう!」




