表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

流れ事務員・宝条美咲の華麗なる妄想

流れ事務員・宝条美咲の華麗なる日常的妄想

作者: 華月蒼.

 私、宝条(ほうじょう)美咲(みさき)。24歳の流れ事務員よ。

 え? 流れ事務員って何かって? 文字通り、流れで事務員やってるってコトよ? わかりやすく言えば、事務職派遣社員よ! 悪かったわね、正社員じゃなくて!

 でも、別に私、雇用の形態には拘っていないのよ。むしろ、正社員として一つの会社に縛られるよりも、流れで職場環境が変わる方が、妄想が滾るじゃない!

 え?勤務中に妄想なんかするなですって? 冗談言わないでちょうだい、こちとら忙殺されてる上司のせいで仕事が回ってこなくて暇なのよ! やる事なんか面倒くさいデータ取りと妄想くらいしか無いのよ! 勤務中じゃスマホもいじれやしないし……。流れ事務員の悲しき(さが)よ……。

 と、まぁ私の悲しい現状なんか置いておいて、今は楽しい妄想タイムよ。昼休みだって職場のオバサマ連中相手に愚痴を聞かされるんですもの、勤務中くらいしか自由に妄想出来ないわ!


 今日のターゲットは、隣の島(今の職場では、部署ごとにデスクを合わせて島のようにしているのよ。まぁ、どこの会社にもよくあるレイアウトね)の若手営業職。もちろんイケメンよ。ちなみに左手の薬指に指輪を確認……この年頃の女子はそんなところも観察してしまうものなのよ。


 例えばそうね、彼が異世界に転生するとしましょうか。まぁよくある設定よね。これだけじゃただの異世界転生モノにしかならないわ。そこで、伝家の宝刀・現地のイケメンよ。彼と現地のイケメンがタッグを組んで、異世界を救って無事に帰還……ところが異世界の住人であった現地イケメンまでついて来るのよ……。

 ……え? 何だか腐女子が湧きそうですって? そんなものは勝手に湧いていれば良いのよ。むしろ、同じ工場でホモを生産しているから、アレルギーをお持ちの方はご注意願いたいわね……。あら、最初に言ってなかったかしら、ゴメンナサイね。

 とにかく、異世界でタッグを組んで世界を救った彼と、異世界のイケメンが、今度はこちらの世界でタッグを組んで事件を解決!ってのはどうかしら?

 ……イマイチ萌えないわねぇ……何故かしら。もっと具体的に妄想しなければならないわね。

 例えば、若手営業職の彼は、剣士よ。物理極振りでとにかく敵を薙ぎ倒すの。でもそれだけじゃ敵との相性によってはかなり不利になってしまうわね。そこで、現地のイケメンを補助魔法特化のジョブにしましょうか。彼は自分の補助特化という現状を理解しているから、物理特化の相方を探し求めていた。それが若手営業職の彼よ……!!


 何だか本当に腐女子が湧きそうな展開になってきたわね……。こんなはずではなかったのに、おかしいわ……。

 やっぱり私には、いわゆる王道的なネタは合わないのかしら……。中二力には多少の自信はあったのだけど……。

 ちなみにここから営業職の彼と、異世界のイケメンのベーコンだとかレタスだかなそんな展開にはならない予定よ?そういう展開にするときは、最初から伏線を張り巡らせるモノよ。


「宝条さーん、ちょっとゴメンよー」


 あら、上司が何か仕事を頼もうとしてくれているわね……。ちょうどデータ取りも妄想も一段落したところだし調度いいわ。

 ……もっとも、今日の妄想ネタはハズレもいいところだけれど。


 それじゃあ、私は資料のコピーを取りに行って来るからと今日はここでお別れね。

 全国のオフィスワーカーに、良き妄想を!!


 それでは御機嫌よう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 妄想が面白かったです。文にもリズム感がありこれもまた良かったです。
2014/08/08 08:33 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ