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片道15分の恋人  作者: 桜庭かなめ
特別編 in 2019

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5月1日(水・祝)

 夕食は栞のお母さんの恵美さんが作った元号越しそばを食べた。栞のお父さんの大介さんと、今日は絶対におそばを食べようと考えていたらしい。

 肝心の元号越しそばというと、以前いただいた年越しそばとさほど変わりなかった。もちろん、とても美味しかった。


「さて、元号越しそばも食べ終わったし、あとは新しい元号を迎えるだけだね!」

「うん。まさか、このタイミングでそばを食べるとは思わなかったよ」

「夕食がそばなのは知っていたけれど、元号越しそばとして食べるとは思わなかったよ。ただ、これも生前譲位で改元の日が予め決まっていたからできることなんだよね」

「そうだね」


 予め改元すると決めたからこそ、去年の今ぐらいの時期から「平成最後」を意識することができた。

 個人的には、新元号である令和が発表されてからは、まだ平成なんだという感じでもあった。それまでは平成がもうすぐ終わるから寂しいと思っていたのに。


「ねえ、悠介君」

「うん?」

「……後でさ、一緒にお風呂に入らない? 平成最後だから」

「ははっ、分かったよ」


 これまでに栞とは何度も一緒にお風呂に入ったことがあるけれど、一生にそうそう体験しない改元という節目にはちゃんと入りたいのだろう。

 その後、平成最後のお風呂を栞と一緒に入った。その際は栞に髪を洗ってもらい、背中まで流してもらってしまった。ここまでしてもらうと、本当に忘れられない入浴になりそうだ。


「気持ち良かったね、悠介君」

「そうだね」


 春の夜はまだまだ涼しいので、栞と一緒に入った湯船はとても気持ち良かった。

 それから、令和が目前に迫るまで、コーヒーを飲みながら栞がとても好きな日常系アニメ『ご注文はねこですか?』のBlu-rayを観る。栞にとって、この作品が平成で一番のアニメ作品だという。ちなみに、栞はこの作品に出てくるルゼちゃんという凜々しい女性キャラクターが大好きでもある。

 僕も『ご注文はねこですか?』は好きなアニメなので、あっという間に時間が過ぎていく感じがして。気付けば、令和になるまで10分前になっていた。なので、新元号を迎える特番を観ることに。


『平成もまもなく終わり、令和まであと10分を切りました!』


「あと10分だね、悠介君!」

「平成も終わるんだね」


 僕らにとって初めての改元なので、何だかドキドキしてくるな。こういう風に改元を迎えることができるのも、生前譲位に伴う改元だからなんだよな。僕の両親曰く、昭和から平成になるときは今回のような雰囲気ではなかったという。


「悠介君、平成時代もお世話になりました」

「うん。こちらこそお世話になりました」


 こういうやり取りをしていると、これから新しい年を迎えるみたいだな。

 テレビを観ていると、令和を迎えるまでの時間が表示されていた。秒まで表示されているので本当にあと少しで令和なのだと分かる。


「滅多にないことなんだし、令和になる瞬間に何かしていよう? 何かしたいことはある?」

「えっ、そ、そうだね……」


 令和目前になって急に言われてもなかなか思いつかないな。栞とすぐにできることと言えば、


「じゃあ、手をしっかりと繋いでいよう。恋人だから恋人繋ぎで」

「いいね! じゃあ、令和になっちゃう前に……」


 栞は僕の左手を恋人繋ぎの形で握ってくる。そのことで彼女から確かな温もりが伝わってくる。栞と目が合うと、彼女は可愛らしい笑みを浮かべる。


『あと10秒で平成から令和になります!』


「いよいよだね!」

「うん」


『3、2、1……日付が変わり、今日5月1日から令和という新しい時代が始まりました!』


「悠介君。新元号あけましておめでとうございます。令和もよろしくお願いします」

「お正月みたいな挨拶だね。こういう形で新しい時代を迎えたからいいのかな。新元号あけましておめでとうございます。令和という時代もよろしくお願いします」


 平成が終わって、ついに令和という時代がスタートした。まさか、平成から令和に元号が変わる瞬間を恋人の部屋で過ごすとは。感慨深いものがあるな。


「令和の時代はどんなものになるのかな」

「う~ん、実際に過ごしてみないと分からないなぁ。ただ、僕らにとっていい時代になるように、僕らなりに頑張っていくしかないんじゃないかな。まずはゼミとか就活とか」

「そうだね。あとは、令和もそうだし、その次の時代も、いつまでも悠介君と一緒にいられるように頑張りたいな」

「……そうだね」


 僕は栞に令和になって最初の抱擁をする。お風呂に入ったからか、シャンプーやボディーソープの甘い匂いがしてくる。


「ねえ、悠介君。平成の間に私達は恋人になったけれど、令和の間にその関係って変わっていくのかな」

「……変わらせたいな。もちろん、よりいい方向に」

「……具体的に言ってくれないと分からないな」


 すると、栞は頬をほんのりと赤くして視線ちらつかせる。分からないって言っているけれど、絶対に分かっているだろう。僕に言わせたいのかな。


「……夫婦とか」

「……うん」


 栞は顔全体を真っ赤にしながらも笑みを浮かべて、僕のことを見つめてくる。本当にかわいい女の子と付き合っているんだなと思うよ。


「約束だよ。令和の時代がどのくらい続くのか分からないけれど、令和の間に結婚するって」

「うん。約束するよ、栞」


 僕の方から約束の口づけをする。

 平成の間に僕は栞と恋人になった。令和の間に夫婦という更に確かな関係を築くことができるように頑張ろう。もちろん、令和から次の時代を迎えるときも、こうして栞の温もりを感じることができれば何よりだ。


「じゃあ、令和になって初めて一緒に寝ようか」

「そうだね」


 それから程なくして、僕は栞と一緒に彼女のベッドの中で眠るのであった。

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