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片道15分の恋人  作者: 桜庭かなめ
特別編 in 2019

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93/119

4月30日(火・祝)

特別編-Change the name of an era. Heisei→Reiwa-




 2019年度が始まってからおよそ1ヶ月。

 大学3年生になった栞と僕は、一昨年や去年と同じように、春学期にどんな講義を受けるかを決めた。

 また、新3年生向けの就職やゼミ、大学院への進学に関連するセミナーにも参加した。僕らの大学生活が折り返したんだなと実感する。

 大学3年生としての生活が慣れ始めてきたところで、ゴールデンウィークに突入。今年は平成から令和への改元もあるため、例年と違って長い連休となる。祝日でも講義をすることが多いうちの大学は、4月29日の月曜日の昭和の日はお休みで、次週の5月6日は子どもの日の振替休日だけど講義がある。なので、今年のゴールデンウィークは9連休だ。

 9連休の間は、バイトがあったり、やらなきゃいけない課題を片付けたり。もちろん、栞と一緒に過ごしたり。盛りだくさんの連休を過ごすつもりだ。



 今日は平成最後の日。

 元々、栞と一緒に過ごす予定だったけれど、あいにくの雨なので、栞の家でゆっくりと過ごすことになった。栞から、改元の瞬間を一緒に過ごしたいということで、今日は彼女の家に泊まらせてもらう予定になっている。


「平成も無事に終わりそうだね、悠介君」

「そうだね。最後の日が雨だと寂しい感じもするけれど、こうしてゆっくりと栞と過ごすことができるなら、それもいいのかなって思うよ」

「私も同じようなことを思った。あっ、悠介君が買ってきてくれたこのドーナッツ、とても美味しいよ。ありがとね」

「いえいえ。こういう雨の日は家の中で甘いものを食べるのがいいと思って。気に入ってくれて良かったよ」


 この前、平成最後のバイト代が入ったので、栞の家に向かう途中で美来の両親の分も含めたくさんドーナッツを買ったのだ。そういえば、恵美さんも大介さんも凄く喜んでいたな。そんな両親だからこそ、今もドーナッツを食べて幸せそうにしている栞がいるのだと納得する。


「栞の淹れてくれたコーヒーもとても美味しいよ」

「ふふっ、ありがとう」


 すると、栞は僕と寄り添うようにして座ってきた。段々と暖かい日が多くなってきたけれど、いつでも栞の温もりはいいものだ。


「平成は30年ちょっとあって、私達はそのうちの21年近くを生きてきたんだよね。3分の2かぁ」

「平成10年生まれだからね。そう考えると、僕らもそれなりに平成を生きてきたんだなって思うよ」

「そうだね。それで、そのうちの5年間を、こうして悠介君と恋人として一緒に過ごしてきた。人生の4分の1、平成の6分の1。この5年間はあっという間だったけど、長い時間だったんだなって思う」

「人生とか平成っていう基準で考えると、凄く長く感じるな。過ごす分にはあっという間だけれど、振り返ると色々とあったね」


 付き合って間もない頃に亜実のことがあって、お互いの受験のことがあって。もちろん、それ以外にも色々なことがあって。栞と出会ってからの5年間はとても濃い時間だった。彼女と出会うまでの16年と同じくらいに。


「そうだね。色々とあったね。それでも、こうして今、悠介君と一緒にいることができるのがとても嬉しいんだ。大学生になってからは、より悠介君と一緒にいられるようになったし。毎日が楽しいよ」

「……栞がそう言ってくれて嬉しいよ。僕も毎日が楽しいし、こうしていられることを嬉しく思ってる。……好きだよ」


 僕は栞に口づけをする。

 付き合い始めてから5年経って、栞は色々と成長したけれど、この唇の柔らかさや優しい温もりは出会った頃と変わっていない。

 唇を離すと、そこにはあの頃比べると本当に艶やかで、うっとりとした笑みを浮かべる栞がいた。


「今度は私からしたい」


 栞は僕の両脚をまたぎ、正面から抱きしめて口づけをしてきた。平成の間にこうして抱きしめられ、口づけをされたことで、何度ドキドキしたことか。そんな素敵な時間をもたらしてくれた栞と恋人になることができたのだから、平成は本当にいい時代だった。

 唇を離してにっこりと笑みを浮かべる栞のことを、僕はぎゅっと抱きしめるのであった。

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