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片道15分の恋人  作者: 桜庭かなめ
恋心編

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4月16日(水)

 今日の僕の心は、この雲一つない青空のように明るい。


 今までも、彼女の顔が見ることができることを満員電車の楽しみにしていた。しかし、彼女毎日乗るかどうかは分からなかった。


 でも、今は違う。


 彼女は好んで、あの場所に乗っていることが分かったのだ。それに、昨日の去り際で彼女は「また明日」と僕に言ったんだ。だから、彼女に会えるのは確実なことで、しかも話すことだってできる。

 昨日、勇気を持って彼女に話しかけたことがどれだけ大きかったのかを、今日になって知ることになった。

 今日も待ち遠しい7時30分発八神行きの電車が定刻通りにやってきた。

 扉が開くと今日も彼女がいた。昨日とは違って、彼女が僕の方を見て笑顔で手を振ってきてくれることだ。僕もそれに答えるように手を振り返す。


「おはようございます。今日もここで待っていましたね」

「僕のお気に入りの場所ですからね」


 ああ、彼女の可愛い笑顔が眩しい。


 今日は彼女の左隣に立った。その瞬間、心なしか彼女から甘い匂いが香ったような気がした。


「その制服って八神高校の制服ですよね」

「はい、そうです」

「同じ中学だった友達の中に、八神高校に進学した人がいたので見覚えがあったんです」


 八神高校の制服はブレザーだから、男女関係なく上は同じだ。僕の友人にも上津田駅が最寄り駅の人もいる。彼女の住む地域も八神高校は人気があるのかな。


「私はどこの高校に通っているか分かりますか?」

「分かりますよ。天羽女子高校ですよね」

「正解です」


 彼女は今一度、にこっとした笑みを僕に見せる。


「やっぱり、天羽女子高校に進学したお友達がいたから分かったんですか?」

「そうですね。中学の同級生に天羽女子に進学した女子がいて」


 それも本当だけど、きっかけは鏡原駅周辺にある高校のホームページを片っ端から調べていったことなんだけどね。


「この地域だと、どの中学校にもいますよね。天羽女子に進学する女の子は」

「僕の知る女子は、みんな一度は天羽女子に行きたいと言っていましたね」

「私の中学校でもそうでした。ところで、八神高校はどんな雰囲気なんですか? 確か私立の共学でしたよね」

「ええ、私立だけあって校舎が凄いです。クラスの雰囲気は共学だからか、中学のときとあまり変わりない感じですね」

「なるほどです」


 でも、高校で初対面の生徒が多いからか、中学よりもどこか大人っぽく、自由な雰囲気な気がしている。


「そういえば、女子校ってどんな雰囲気なんですか? 僕のイメージだとみんな上品で、クラスに一人くらい王子様的なポジションの女子がいて……」

「ふふっ」


 彼女は声に出して笑っている。僕の言ったことが的外れだったのかな?


「確かに、女子に好かれそうな子はクラスにはいますね。みんな結構普通ですよ。可愛い子ばかりです。ただ、男の子がいないからなのか開放的になっている子はいるかな……」


 男子から見られることがないとなると、開放的になる女子もいるのだろう。男子生徒のいない空間そのものが、女子校最大の特徴なのだろう。


「1年生ではまだいませんけど、1学年上では学内公認のカップルが何組かあるそうです。それが女子校特有かもしれませんね」

「つまり、女子同士のカップルができるんですか」

「そうですね。一番有名なカップルはとってもかっこいい金髪の女の子と、とっても可愛い茶髪の女の子です」


 なるほど。女子校ではガールズラブの要素があると。

 何だかそれを聞いて不安になってきたな。彼女って男子よりも女子の方が好きになる確率が高いのかな。周りが女子しかいないと、そうなる可能性もありそうな気がして。もちろん、それは自由だし、彼女の考えを尊重するけど。さっそく訊いてみるか。


「……あの。もしかして、男子よりも女子の方が……ってことはあるんですか? まあ、人を好きになることは自由なので、僕は同性でもいいと思いますけど」


 女子の方がいいと答えるかもしれないので、事前にフォローしておく。

 彼女は右手の人差し指を唇に当てながら、う~んと考えている。その仕草、とっても可愛いんですけど。


「もちろん、友人としての好きになることはあると思いますけど、恋愛対象になるのはやっぱり男の子……でしょうか」


 彼女は頬をほんのりと赤くして僕のことを見つめながらそう言った。

 こ、この反応……もしかして、僕のことが気になっているのか? それとも、男子の方が良いからとりあえず僕の方を向いてみたのか?

 僕を見つめる彼女の眼差しの引力が凄くて、僕もつい、彼女のことを見つめてしまう。彼女と同じように頬が赤くなってしまっているのだろうか。


『間もなく、鏡原、鏡原。お出口は左側です』


 何とも言えないタイミングで、鏡原駅に到着するアナウンスが流れる。


「きょ、今日もあっという間でしたね。もう降りないと」


 彼女は慌ててスクールバッグを肩にかける。


「やっぱり誰かと話すと15分なんてあっという間ですね。楽しいから……かな。ま、また明日もお話ししましょうね!」


 鏡原駅に到着すると彼女は急いで電車から降りた。

 さっきの反応を見ると、彼女の気持ちが知りたくなる。一番の手っ取り早いのは僕が彼女に告白することだけど、いきなりしてしまっていいのだろうか。今日みたいに話をして彼女と親睦を深めてからの方が良さそうな気もする。

 すぐにでも告白するか否か。考えれば考えるほど、どうすればいいか分からなくなってくる。

 結局、答えが出ないまま、僕の乗る電車は終点の八神駅に到着するのであった。

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