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片道15分の恋人  作者: 桜庭かなめ
特別編 in 2019

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2月14日(木)

特別編-The Valentine's day in 2019-




 当初、この冬は暖冬になると言っていた。

 しかし、実際は晴れている日はとても多いものの気温はいつもと変わらない気がした。また、2月になってからは関東でも何度か雪が降り、かなり寒い日が何日もあった。



 年が明けてから、僕と栞は秋学期の期末試験や最終課題があったけれど、どの科目もしっかりとできたと思う。多分、単位落とすこともないだろう。

 2月の初旬から、およそ2ヶ月間の年度末休みに突入した。去年と同じようにバイトをしたり、たまに栞と一緒に茶道サークルに参加したり。もちろん、栞と一緒の時間を過ごしたり、楽しい毎日を過ごしたりすることができている。



 ただ、今日は前から栞と一緒に過ごすことを決めていた。バレンタインデーだからだ。



 また、バレンタインデーだけではなく、『ご注文はねこですか?』という日常系アニメ作品に登場するルゼちゃんという女の子の誕生日でもある。かっこいいけれど可愛らしい一面もあるルゼちゃんのことを栞は大好きであり、彼女の誕生日を毎年祝っている。

 今日はルゼちゃんが歌うキャラクターソングのCDの発売日なので、それを買いに畑町駅近くにあるアニメ専門ショップに行った。

 ショップではルゼちゃんの誕生日とバレンタインデーのフェアをやっており、CDを買うときに合言葉を言うと、ルゼちゃんのメッセージカードとチョコレートをくれた。そのことに栞はとても幸せそうにしていた。


「何だか、ルゼちゃんにバレンタインデーのチョコをもらった感じがするよ」

「確かに。明日以降もチョコをもらえるみたいだけれど、今日もらうと特別な感じがしていいね」

「うん!」


 栞のこの笑顔を引き出すことができるルゼちゃんに毎年嫉妬している気がする。ただ、一番好きな女の子はルゼちゃんで、一番好きな男の子は自分なのだと納得するようにしている。これも毎年恒例のことだ。



 CDを無事に買うことができたので、栞と一緒に彼女の自宅へと向かう。

 午後3時くらいなので、電車の中は空いていた。混んでいる電車に乗ると栞と出会ったときのことを思い出せるけれど、空いている方が快適でいいな。

 栞の自宅の最寄り駅である上津田駅に降りると結構寒いな。あと半月経てば春になるのが信じられないくらいだ。

 栞のお父さんの大介さんは仕事、お母さんの恵美さんは学生時代の友人と会うために外出しているので、栞の自宅でも彼女と2人きりで過ごすことに。

 自宅に戻ると、真っ直ぐ栞の部屋に向かい、先ほど買ったルゼちゃんのキャラクターCDをさっそく聴く。


「いい曲だね。今日はずっとルゼちゃん関連のCDを聴こうっと」

「これまでにたくさんキャラクターソングがリリースされたもんね」

「うん! じゃあ、今日のために色々なものを作ったから、悠介君はここで待っていてくれるかな」

「分かった」


 色々なものを作ったというのは、今日がバレンタインデーであり、ルゼちゃんの誕生日だからだよな。

 そういえば、去年の今ごろは冬季オリンピックが開催されていたんだよな。もうあれから1年経ったんだ。あっという間だったな。去年と変わらずに栞とこうして一緒に過ごすことができるのは嬉しい。そだねー。

 ――コンコン。

 ノック音が聞こえたので、ゆっくりと扉を開けると、そこにはトレーを持った栞の姿があった。トレーにはチョコロールケーキとホットコーヒー、赤色の紙でラッピングされた箱が乗っていた。


「悠介君、お待たせ」


 多分、ロールケーキはルゼちゃんの誕生日ケーキだろう。ということは、ラッピングされた箱が僕へのバレンタインデーチョコなのかな?


「去年も同じように過ごしたから分かっているかもしれないけれど、このチョコレートロールケーキはルゼちゃんの誕生日ケーキで、このラッピングされた箱は悠介君へのバレンタインデーチョコレートです。……大好きです。受け取ってください」

「僕も栞のことが大好きだよ。受け取ります、ありがとう」


 栞からチョコレートを受け取ると、その流れで口づけまで受け取ることに。ここで口づけをされたらチョコレートが霞んでしまいそうだ。


「……食べてみて」

「うん」


 丁寧にラッピングを外して、箱の蓋を開けると、中には何種類ものチョコレートが入っていた。ハート型はもちろんのこと、ホワイトチョコレート、抹茶チョコレート、アーモンドチョコレートなどたくさんある。


「たくさん種類があるね。もしかして、全部手作り?」

「そうだよ。いつものハート型のチョコレートを作ったら、もっと色々なものを作りたくなっちゃって。そうしたら楽しくて、こんなにたくさん作っちゃった」

「そういうことだったんだね。じゃあ、今はこのハートのチョコレートを食べようかな。いただきます」


 ハートのチョコレートを食べると、甘味はもちろんのことカカオの苦味もしっかりとあった。チョコレートのレベルが年々上がっている気がする。


「とても美味しいよ、ありがとう」

「良かった」


 今度は僕の方から口づけをする。それは今食べたチョコレートよりも甘く感じた。もう、幸せすぎるバレンタインデーだ。

 唇を離すと、そこには嬉しそうな笑みを浮かべる栞がいた。


「美味しくできたんだって分かったよ」

「ははっ、そっか。あとは家に帰ったらゆっくりと食べようかな」

「うん。他のチョコも楽しんでくれると嬉しいな。じゃあ、今はこのチョコレートロールケーキを食べようか。もちろん、これも私の手作りなんだ」

「凄いね! ルゼちゃんの誕生日ケーキだけれど、どんな感じなのか楽しみだな」

「気合いを入れて作ったから美味しいと思うよ」


 今の栞を見ていると、僕へのチョコレートよりも気合いが入っているように思える。

 その後、栞と一緒にルゼちゃんへの誕生日ケーキを食べる。去年は甘めのケーキだったけれど、今年はビターなテイストに仕上がっている。去年より美味しいかも。これもルゼちゃんへの愛情が出せる味なのだろうか。毎年、チョコとケーキをしっかりと作る栞が凄いなと思う。

 平成最後であり、20代最初のバレンタインデーは例年以上にルゼちゃんの誕生日を祝った感じがするけれど、楽しい一日となった。

 来年の今ごろはゼミや就職活動などで忙しくなるかもしれないけれど、バレンタインデーは栞とゆっくり過ごしたいなと思うのであった。




特別編-The Valentine's day in 2019- おわり

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