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片道15分の恋人  作者: 桜庭かなめ
恋人編

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4月28日(月)-前編-

 今日も僕は午前7時30分発、各駅停車八神行きの電車を待っている。

 月曜日の朝の電車がこれほど待ち遠しいことはなかった。恋人ができるとここまで物事に対しての考えが変わるのか。あと、明日が祝日だから休みというのもあるかな。

 気付けば、高校生活が始まってから1ヶ月が経とうとしていて、もうすぐゴールデンウィーク。栞と一緒に楽しい時間を送ることができれば何よりだ。といっても、今はまだ何も予定がないけれど。


『まもなく、1番線に各駅停車、八神行きが参ります』


 そのアナウンスを聞いて潮浜方面に視線を向けると、いつもの電車の姿が見える。あの中に栞が乗っていると思うと、早く来いと心の中で急かしてしまう。

 今日も電車が到着し、扉が開くとそこには栞の姿があった。


「おはよう、悠介君」

「おはよう、栞」


 そう言って、僕は電車に乗り栞の左隣に立つ。

 程なくして、電車は定刻通りに鳴瀬駅を出発する。


「今日はいつもよりもちょっと空いてるね」

「そういえば……そうだね。ゴールデンウィークが近いからもう休んでいる人がいるのかもしれないね」


 周りを見てみると、栞の言うとおりいつもよりも乗客が少ない。有休を使って10連休をする社会人の方もいるそうだし、今日くらいから休みにする大学もあるみたいだ。羨ましい気持ちもあるけれど、満員電車じゃなくなると考えればそんな想いも薄れていく。


「ゴールデンウィークかぁ……」


 栞は楽しげな表情を浮かべながらそう呟く。


「悠介君はいつお休みなの?」

「明日と、3日から6日までかな。暦通りだったはず」

「私と一緒だ」

「そっか。じゃあ、お休みの間に2人でどこかに遊びに行こうか」

「うん!」


 良かった、自然な流れでデートに誘うことができて。待ち遠しそうな笑みをしてくれることが嬉しくて、ほっとしている。


「栞はどこか行きたいところとかある?」


 僕がそう訊くと、栞はう~ん、と考えて、


「……悠介君のお家かな」


 ほんのりと頬を赤くしながら控え目な声でそう言った。


「な、なるほどね。僕の家かぁ」


 予想外の答えだったので正直驚いている。別に僕の部屋に厭らしいものはないので栞を呼んでもかまわないけれど。


「い、いきなり悠介君のお家だなんて厚かましいこと言っちゃってごめんね。ただ、悠介君のお家に行ってみたくて……」

「厚かましいだなんて全く思っていないよ」

「あうぅ……」


 恥ずかしいのか栞はそんな声を上げ、俯いてしまう。

 恋人の家か。確かに行ってみたいな。ただ、栞と恋人になってからまだ日が浅いので行きたいと言う勇気はまだない。それ以前に女の子の家だし。


「どこに行くかはゆっくり考えよう。まだ時間もあるし。あと、僕の家なら来てくれて大丈夫だから」

「……うん」


 栞は小さく頷いた。そんな彼女もまた可愛らしい。

 時間はいくらでもある。金曜日の放課後みたいに、どこかでゆっくりとお茶でもしながら考えることもできるんだから。焦る必要はない。

 ゆっくりと考えようという僕の言葉もあってなのか、その後は栞からの提案は何も出なかった。僕も考えておこう。


『間もなく、鏡原、鏡原です』


 今日の朝も栞との別れの時間がやってくる。


「帰りにまた会おうね。それまでに悠介君と行きたいところをいくつか考えておくね」

「そうか、分かった。僕も考えるよ。帰りを楽しみにしてる」


 僕の家以外に行きたい場所は思いつかないかと思ったけど、今の言葉で安心した。

 きっと、栞と過ごすゴールデンウィークは楽しいものになるだろう。それはもうすぐそこまで来ている。

 電車は鏡原駅へと到着する。


「じゃあね、悠介君。また帰りに」

「うん。いってらっしゃい、栞」


 栞は楽しそうに手を振り、電車を降りていった。

 僕もどこに行きたいか考えておかないと。八神駅に着くまでの間、僕はずっとどこに行こうかスマートフォンを見ながら考えるのであった。

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