バレバレ…?
前回と同じく四話ぐらいのあっさり読めるやつです。
…今年こそは、
「ね、くる、一緒に行こう?一人は嫌だし…」
私、小鳥遊くるみは今、親友に頼まれ事をされている。私の親友、伊月優花はバレンタインのチョコレートを一緒に配る、というか男子の家を回って欲しいらしい。友チョコならともかく、義理チョコが沢山あるところがやっぱり子供だなと思ってしまう。まぁ、私に至っては頼まれたチョコ以外は渡したいと思った人にしか渡さないので男子でも友チョコと言い張っているのだが。
「彩花は?毎年、二人でいってない?それか、 他の人と三人で。」
彩花とは、優花の双子の妹だ。
「彩は今回友達と行くんだって。あっちの方は道覚えてなくて心配だけど、くるなら完全に分かるでしょ?」
「もちろん、それは大丈夫だけど…私がいく意味がない。」
「なら、一緒に配ろ!」
「…学校で渡せばいいじゃない。」
「できる限り先生にばれる確率は減らしたいし…ちょっと歩くけどそこまでって距離じゃないでしょ?」
「んー…」
「お願い!」
両手を顔の前に持ってきてお願いポーズをする優花は結構必死みたいだ。学校で渡す数を少なくしたいのも分かる。優花は毎年凄い量をあげるから。しかし、歩くのはめんどくさいし…。
あ。
「…ちょっと帰り、遠回りになるけど、」 「ん?」
「竜の家、寄ってくれる?」
「…!もちろん!それくらい喜んで!」
優花は満面の笑みで微笑んだ。了承するだけでここまではしゃがれるとは思ってなかった私は理由を聞いた。
「え、くる、竜弥君に毎年あげてるでしょ?他の人とはちょっと違うやつ。」
竜弥とは、沖竜弥という私の想い人だ。誰にもいってないが。もう、好きになってから数年た つ。
「え、あ、ば、ばれてた…?」
誰も知らないと思っていたのは私だけかもしれない。照れながらいうと、
「当たり前でしょ!大体、見てれば分かるから 。」
苦笑しながら、自覚なしなんだね…と呆れられた。
「今年はなにあげるの?」
「んー、ひみつ。」
「てか、毎年、他の男子へのチョコとの差に気づかない竜弥君に驚きだよ。」
「はは…仕方ないよ。あいつ鈍いんだか、鋭いだかよくわかんないし。」
次は私が苦笑する番だった。
…田舎の小、中学生のあるあるだと思うのですよ