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邂逅fleaky/clever 1

超絶遅筆で無学文盲な自分ですが、自分の妄想、書きたいことを少しでも表せればと思います。ご意見やご批判など何でも糧にしたいと思っております。


厨二成分満載ではございますが、どうかよろしくお願いします

小悪党なおっさんとどこまでも自由な少女の物語


 雨の音、夕立がそのままさめざめと降り続いていた。ここはあるバー。儲ける気がないのか、妙齢

の女主人はぼんやりとしながらロックグラスを傾けていた。客は無し。ただ静かに雨音が屋根を叩く

音だけが響いていた。


 どうしたってどうにもならない現状。そんなのはずっと前からわかってる。何者かもわからないも

のの重圧が重くのしかかって首が上にあがらねぇ。そんな鬱屈とした気分からもはや十数年、俺は

最早きたねぇ大人になっちまった。昨日は宝石強盗、今日はしょうもない政治家の暗殺、明日は某

国要人の娘誘拐。忙しすぎて吐き気がするね


                            悪運不殺の小悪党

                              シリウス・レーベンカイル  


そのバーには客が増えていた。といっても一人なのだがどうやら常連客のようでずぶ濡れになった

コートをハンガーにかけ振り返ったらもうウォッカのロックグラスが注がれていた。

「で、その後どうなったんだい? シリウス」

「ああ、観測地点の聞き間違いでターゲットを乗せたと思しきトレインは輸出用オレンジの貨物車

 、ならばターゲットを乗せた空車が難なく地点を通過するは必然。俺の眼前にはターゲットの鮮

 血ではなく天然百パーセント絞りたて果汁、とんだお笑い種だ」

「笑いもんですんだのかい、たかが暗殺、されど暗殺、失敗したら相応のしっぺ返しは当然だろう

?」

「その点もぬかりは無くてな、俺がオレンジ果汁にまみれた下の露天の婆さんを傍目に呆気にとら

れていたその時にはもうターゲットの命は無かったようだ」


今日の日付の新聞をマスターに投げる。それの三面記事には事の全容が記されていた。暗殺に成功

した男がその場で始末されたこと、その騒動が起こった場所がシリウスの張った場所とは正反対

の位置だったことも…


「でまんまと囮役を仰せ付かったわけ。いいじゃないか、自らの手を汚さずに済んで。流石悪運不

 殺のシリウス。ギルドで名前が知られてるだけあるねぇ。今回も例によって殺せなかったわけ

 だ」


くっくっと笑いを押し殺しながらもその新聞を投げ返すマスターにシリウスは苦々しげに噛み付

く。


「あぁっ!? 元はといえばこの仕事よこしてきたのマスターだろ!? 最初っからわかってたん

だろうが、俺が今回も“殺せない”って!」

「ああ」

「そりゃ無いぜ、今回こそはと意気込んで前金全部はたいて能力強化してきたんだぜ?当てにして

た褒章が無けりゃおまんまの食い上げだぜ」

「だから言ってるだろう、それでこその明日だ。明日のは本当にでかいぞ」

「ホントかよ……。まあ、殺しが無けりゃ、あんたの持ってくるヤマと俺との相性は毎回バッチリ

なんだけどなぁ」


 大して飲めるようになったわけでもないウォッカを一気にあおる。くらくらする頭を振ると彼は立

ち上がった。飲み終わったグラスにブロン煌貨を一枚弾き入れる。


「見てな、マスター。ちまちましたのはもう今日で終いだ。明日のターゲットはまさしく金のなる

木だ。俺はぜってえものにして見せるぜ。あんたから負った借金はチャラどころかおつりが来るく

らいのお返しをしてやらぁ」

「ふふ、その台詞はもう何回目だろうね。あんたとはプロメリオがまだ生きてたころからの付き合

いだからねぇ、まあ期待しないで待ってるさ」


ある男の名を口にするマスターの顔は少し寂しげだった。


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