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SCHWARZ DRACHE  作者: 勇丸
第Ⅰ章DAS WECKEN
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第七録WOMANーOFーDESTINY-運命の少女-


「・・・すべきこと?・・・」フレイヤは何をするために生まれ育っ

た村を出てきたというのだろう。だがフレイヤはそのことについて話

す前に幾つかエリアに確認してきた。

「お尋ねしますが、貴女のご両親は人間ですか?」

 突拍子も無くおかしなことを尋ねられ、思わず、はあ?と言ってし

まう。

「何訳分からないことを言ってるんだ、人間以外に何がいるというん

だ。狼に育てられた子供じゃあるまいし・・・」フレイヤは何が言い

たいのだろう、長旅でおかしくなってしまったのだろうか。だがフレ

イヤの表情はいたって真面目で、気が触れてしまっている様子は微塵

も無い。

 フレイヤは続ける。

「貴女のその左頬の黒いものは生まれつきですか?その服は何処で手

に入れましたか?」捲し立てる様に喋ってくるフレイヤに圧されなが

らも、エリアは質問に答える。

「・・・生まれつきのもので、父は私が生まれたばかりの時、知り合

いのとある有名な民族の族長に彫って貰ったと聞いた・・・それにこ

の服は昔からあった・・・・・・」

 4年ほど前に父から聞いた話を思い出し、要約し伝える。しかしフ

レイヤは納得していないようである。

 今の説明に何か不満か?とエリアは眉間に皺を寄せる。それを読み

取ったのか、慌てて取り繕う。

「いや、別に貴女を疑っているわけじゃないんです。ただ・・・」

「?・・・ただ、何だ・・・」

 フレイヤは目を瞑り、スッと息を吸うと目を再び開く。

「・・・単刀直入に言わせていただきます。貴女の左頬の紋章、真っ

黒な髪に真っ黒で特徴的な服。そして真紅と漆黒のオッドアイ・・・

・・・貴女は竜人族です!!」

 

 何を言ってる?


「信じられないのも無理はありません、ですが今から私が話すことを

黙って聴いて下さい。」と勝手に続ける。

「・・・その昔、人間との戦いに敗れた竜人族という竜に変化できる

者達は、ある時闇竜族を追放しました。それは闇竜族が竜人族を滅ぼ

す、と、ある霊術師が言ったからです。その時から闇竜族は追放され

弾圧されました。話し変わって竜人族は8の種類に分かれており、子

は両親の力のみを受け継ぎます。話し戻して、弾圧され村からいなく

なった竜人族は数が減り、そして遂には絶滅しました。それにより闇

竜族が生まれることはなくなった筈でした・・・・・・」

 そこで一旦フレイヤは深呼吸をし、また話し始める。

「しかしある時、炎竜種の竜人と木竜種の竜人との間に、闇竜族の子

が生まれたのです。人々はそれを闇竜の呪いとし、生まれてきた子供

を殺し、清めの儀式によって封印しました。しかし、その後も極々稀

に闇竜が生まれました。闇竜の子を生んだ親は大抵はその子を殺しま

した。しかし中には掟を破り、人間に預ける者もいました。そしてエ

リアさん、恐らく貴女もその一人です」 

 フレイヤは話し終えると、ふぅと溜息をつき両手で丁寧にグラスを

持ち上げると、グラスの水を飲み干す。

 フレイヤの話は、ファンタジー小説の一説に思えてくる。それほど

信じ難い話であった。大概の物語の主人公は否定したり信じられない

という反応をしてやきもきするのだろう。現実にこんなことが起きれ

ば、皆そんな反応をするのだろうかと考える。

 しかしエリアは違った。数秒考えると、すぐにフレイヤのほうを向

き直った。

「・・・そうかでは私はその闇竜の呪いとかいうもので生まれてきた

生まれるべき者ではなかったというのだな・・・・・・」

 割とアッサリ受け入れたエリアにフレイヤは驚きを隠せないでいた。

「エッ!?・・・そんなアッサリ受け入れられるものなんですか・・

・?・・・・・・」

「そんな話をする位だ、うそなわけが無い。それともあーだこーだと

騒いで欲しかったのか?」冗談を飛ばすエリアにフレイヤは安堵の表

情で微笑む。

「よかったぁ〜〜もし受け入れてくれず、どこかに行ってしまったら

どうしようかと思いましたよ」随分肩の力を入れていたのか、フレイ

ヤはドサッと干し草の上へ倒れこむ。

「・・・それで用は何だ?・・・」エリアの言葉にハッとし、思い出

す。すぐに座りなおすと、予言夢の話をする。







「・・・そうか・・・・・・そうなのか・・・・・・・・・それは本

当に私だと言えるのか?」黒い竜ならもしかしたら他にいるのではと

思う。だがフレイヤは否定する。

「いえ、あの体格は女性の竜人が変化した姿です。それに男性の竜に

は我々竜人の言葉でクロークという角があります。ですが私が見た黒

い竜には角がありませんでした。その点からしてももう貴女しかない

かと・・・」

 仕方ない、どうやら覚悟を決めるしかないようだ。エリアは腹を括

り、運命に従うことに決めた。




まことに勝手ながら更新は二週間毎とさせていただきます。

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