十九話
「どうぞ、こちらがクラウ様のお部屋でございます」
そう言って、開かれた扉の向こうには同じ年頃の少年が一人いて、こちらを笑顔で見ていた。
「これはリヴァ様、なぜこちらに?」
バトラが―部屋に案内されているときに敬称をつけなくていいですよと言われた―
少年に聞いた言葉にダルク陛下の言っていた通りだと思っていると
「ん? そりゃ少しでも早くクラウに会いたかったから」
リヴァ様はそう言って僕に近づくと聞いてきた。
「で、お前がクラウ?」
「うん。僕がクラウだよ、クラウ・ゴーデス。えっと、これからよろしく?」
で、いいんだよね? と思いながら言うと、リヴァ様は少し呆れたように
「なんで疑問形なんだよ。まあ、いいけど。
知ってるだろうけど俺はリヴァ、リヴァ・アスター。リヴァでいいぜ、敬称なんてつけるなよ!」
それにわかった、と答えるとリヴァに
「そうだ! 城の中案内してやるよ」
そう言われ
「ホント! …行ってきていい?」
始めはリヴァに、後のほうはバトラに言うと、バトラは
「はい、いってらっしゃいませ」
と、快諾してくれた。それを聞くと
「じゃあ、行こうぜ」
とリヴァに腕をつかまれ、そのまま引っ張られた状態で部屋を出ると
「…そうだなぁ、どこから連れてってやろうか?」
言うとどこか行きたいところあるか? と聞かれ、それに少し考えると
「えっと…じゃあ、書庫ってどこにあるの?」
本を読むのが好きだからそう聞くと、リヴァは少し嫌そうな顔をして
「もしかして、クラウって本好きなの?」
と聞いてきた。それにうん、好きだよ?と答えると
「俺あんまりあそこ行きたくないんだけど…こっちだぜ」
嫌そうに言いながらもちゃんと案内してくれた。
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