十八話
そして、気づいた時には大きな門を通り抜け王宮内に入っていた。
馬車が静かに扉の前に止まると馬車の扉が開いた。
馬車を降りると、それまで口を閉ざしていたバトラさんが口を開いた。
「これからクラウ様をダルク陛下のもとへお連れいたします。
陛下との話が終わられましたら、クラウ様のお部屋へご案内いたします」
その説明にうなずいて
「わかりました」
と答えると
「では、私についてきてください」
そう言って歩き始めたバトラさんについていくと、
着いたのは豪華だけど派手ではなく落ち着いた広間だった。
そこが謁見の間と呼ばれている場所だと知ったのは陛下と会った後、城の中を案内されてからのことだった。
「クラウ様をお連れいたしました」
と、目の前の扉が開かれ、バトラさんに言われるまま前に進むと
二段高い場所に男性が一人、椅子に座っていた。
男性は黒く長い髪を背中の中あたりでまとめた整った顔立ちをしていた。
この人がダルク陛下?そう思っていると声をかけられた。
「お前がクラウか。
この一年でどれほど成長するだろうな。その様子、見せてもらうぞ」
そう言った声は低く通りの良い落ち着いたものだったが、威厳を感じさせるものだった。
その声に背を伸ばすと
「はい、僕がクラウ・ゴーデスです。
期間は短いですが僕にできる限りのことはしようと思います」
まっすぐに王を見据え、そう言うとダルク陛下はそれまでの無表情を緩ませ
「そうか、楽しみにしていよう。
…もう部屋に行ってよい、気に入るかはわからぬがな。またあとで話をしよう」
と言って、付け加えるように
「部屋にはおそらくリヴァがいるだろう。リヴァに付き合ってやってくれ」
そう言った。王の話が終わるとバトラさんがどうぞついてきてください、と言ってきた。
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