表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冠を抱きし者  作者: 藍雨
第一章
19/25

十七話


僕とバトラさんの二人が乗った馬車が動き出してしばらくすると、バトラさんに話しかけられた。

バトラさんの声は落ち着いていて、人を安心させる響きがあった。


「クラウ様、少しよろしいでしょうか?」

聞かれ、それに笑顔で


「いいですよ」

と、答えると


「では、差し出がましいかもしれませんが。

クラウ様、王宮では突然現れた貴方に対して快い感情を持たない者も多くいるでしょう。

ですが、どうか気を落とさないでください。

少なくともリヴァ様は貴方が王宮に来られるのを楽しみしておられますよ。

貴方と仲良くなりたいと申しておられましたから」

始めに言われたことは何となく予想できていた。

だけど、リヴァ様が僕と仲良くしたいと言っていた、という言葉に驚いて


「リヴァ様が、僕と?」

思わず声に出すと、バトラさんはひとつうなずいて言った。


「ええ。昨日、ダルク陛下からクラウ様のお話をお聞きになられたとき、

リヴァ様は嬉しそうにしておられました、新しい友達ができる、と。

陛下のご子息であられますフィアン殿下も貴方に興味を示しておられましたよ」

いきなり現れた僕は歓迎されていないだろう、と思っていた。特にリヴァ様たちには。

そう思っていたから、バトラさんの話を聞いて少し気が楽になった。

それは本当に少しだけだったけれど。


「仲良くなれるといいなぁ」

今まで友達っていたことないから、バトラさんに言うわけでなく小さくそうつぶやくと、

目の前にいたバトラさんの顔が少し強張った。だけどそれはすぐに元の表情に戻っていた。


そのあとは特に何を話すでもなく、僕は外を眺めていた。

眺めていると王宮に近づくにつれて人が多くなっていくのがよくわかった。



.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ