十三話
神殿の中は聖域だから悪しき者達、悪霊や妖霊が入ってこないよう、
入ってきても神殿から出られないようその造りを複雑にしているのだ、と前に母さんが教えてくれた。
特に大神殿の通路は複雑な造りになっている。と、母さんは言っていた。
母さんは本当にいろいろな事を知っていた。
何故なんだろう?と考えているうちに大神官様のいる所に着いたのか補佐の青年が歩きを止めた。
「ここだ。」
と、僕に言って扉を叩いて言った。
「ゼセア様、クラウを連れてきました。」
と。補佐の青年が扉越しに声をかけるとすぐに、中から返事が返ってきた。
どうぞ、入ってきていいですよ。と。
その言葉を聞くと補佐の青年が扉を開けて、僕を部屋の中に入れてくれた。
「失礼します。」
そう断ってから部屋に入ると、大神官様は優しい笑顔で僕を迎え、
座り心地の良さそうな椅子をすすめてくれた。
「どうぞ、そちらにお座りください。」
と。僕はその言葉に一言お礼を言って、
ありがたくすすめられた椅子に座らせてもらうことにした。
椅子に座ると改めて、僕はこれからどうなってしまうんだろう? という不安が強くなった。
それが顔に出ていたのだろう。
「そんなに緊張なさらなくて大丈夫ですよ。」
大神官様は優しい声で苦笑交じりに言った。
だけどそう言われても、僕は緊張しないでいることは出来なかった。
何かお聞きになりたいことはありますか?
続けて大神官様にそう聞かれ、僕は不安に思っている事を聞いてみることにした。
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