十一話
二度目の別れ
朝、僕はいつもより早い時間に目が覚めてしまった。
昨日の夜、これから僕はどうなってしまうんだろう?
殺されてしまうのだろうか?とそんな事ばかり考えながら寝たせいか
悪夢を見てしまったからだ。
朝ご飯を食べた後、
斜めがけのかばんに母の形見の鏡、母から貰った銀でできた守護の短剣を入れた。
高価なはずの銀でできた、それも純銀でできた剣を、何故母は持っていたのだろう?
それから昨日、大神官様に渡された木札を入れて大神殿に行くことにした。
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。これはお小遣いだよ。」
おばさんは言って僕に銅貨を二枚、二ラマート渡してくれた。
僕がそれを財布として使っている巾着にいれ、ありがとう。とおばさんにお礼を言うと
「お礼なんかいいんだよ。それより、早く帰っておいでよ。」
おばさんは笑顔で言った。
僕が帰ってくると、帰ってこないという事をかけらも思っていない顔で。
僕はその言葉にうん。と返事をした。
だけど、心ではおばさんに謝っていた。
ごめんなさい。僕はもう、この家には帰ってこられない。
だからおばさん、今まで本当にありがとう、さようなら。と。
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