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十話
帰宅
「ありがとうございます」
礼を言って通路を歩いている時に
「これから僕はどうなるんだろう」
小さな声で呟くとその声が聞こえていたのか
「おそらくだが、確実に元の生活には戻れないだろう」
と補佐の青年に返され、それにやっぱりそうなるよね。と思っていると
「王宮に行く事になるだろうな」
続けて補佐の青年はそう言った。そして、しばらく歩き出口に着くと
「では、また明日会おう」
と言って、僕を見送ってくれた。
―――――
大神殿から帰る途中ぐるぐるこれからのことを考えながら歩いていると、
いつの間にか『銀の猫』の前に着いていてびっくりした。
家の中に入って最初に
「おばさん、ただいま」
そう言ったあと、
「あのね?また明日、大神殿に行ってきてもいい、ですか?」
途中から敬語になりながら言うと
「ああ、構わないよ。
そうだね、ちょうどいいから明日は一日、遊んでおいで。」
いつもたくさん手伝ってくれているからね。
おばさんは笑顔で、そう言ってくれた。
それにありがとう。と言うと
「さあ、料理を運ぶのを手伝っとくれ」
と料理の入ったお皿を渡された。
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