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桜、それにまつわる噂 6

春がやってきた。

やっぱりあの桜は明らかに他の桜の木よりも早く咲き、色鮮やかな花びらが舞っている。

つい先日、やっぱりあの現象は起きた。

夕焼けの色がおかしくなり、5時のチャイムが鳴る頃には無数の羽虫が飛び出した。

私はしっかり窓を閉めていたためなんの問題もないが、今年は自分の家の前の道路を挟んで右側の家のTさんが行方不明だそうだ。

やはりこの現象の後に消息を絶った人の共通点として家の窓が開いていたということ。

あの無数の羽虫が飛んでいる間に何が起きているのか。

どうでも良くなって諦めた気でいたが、内心やはり気になっていた。

そこで私は図書館に行き、この地域に関する古い資料などを見漁った。

だが、この現象に関係していそうな資料は何を漁っても出て来ない。

ネットで探ってみてもやはり何も出てこない。

最終手段としてもう1度祖父に聞いてみた。

すると祖父は、

「去年は先代から言い繋いで来ただけで何も知らないと言ったが、あれは嘘だ。

いや、何も知らないのは本当だが、あの夕焼けの色がおかしくなるのは俺が物心ついた頃から起きていた。ハエやら蚊やらの虫どもが飛ぶのも普通だった。

どっかの国でよくあるだろう?バッタだかなんだかが大量に湧き出てきてそこら中さ止まってたり飛んでたりする現象、あれと似たようなもんだ。

だから先代は"家にその虫達が入って食べ物を食われないように窓を閉めろ"という意味で言い繋いできたんだが、確かにここ最近は何かおかしいな。

それが起きる度にそこら辺の人が必ず居なくなる。

5年ぐらい前からか?そうなってんのは。」

と言った。

自分たちの食べ物を虫たちに食べられないようにするためなら確かに窓を閉めるべきだが、人が行方不明になる今の現実とは繋がらない。

虫が生きている人を食べるわけがない。

気が滅入った人が羽虫が大量に飛び回っている間に窓から出てどこかの樹海へでも行ってるのだろうか、確かに防犯カメラなどは羽虫が大量に湧いているせいで画面いっぱいに虫が映って見えないし、人からも目視されないだろう、そうすれば誰にも見つからず逃げられる。

だが本当に気が滅入ってるならそのタイミングまで待てないはずだ。

いくら考えても現実味のある答えには届かない。

もはやあの桜が関係あるのかすらもよく分からない。

やっぱり考えるだけ無駄な気がしてきた。

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